Metro min. 6/20 No.164
【特集】

日本の中華料理 # 1

この季節、街場の中華屋さんの入口には「冷やし中華、始めました」の看板が垂れ下がっているを見かけます。なんでもないメニュー看板なのに、ミニ炒飯、餃子3個付きラーメンセットと同等クラスの破壊力を持つキャッチコピー!このコピーが目に飛び込んできたと同時に、お店にもついついダイブしてしまいそうになる、そんな季節の到来です。

「揚子江菜館」Tel 03・3291・0218 東京都千代田区神田神保町1・11・3 11:30~22:00(21:30LO) 無休。
写真は、右から「担担冷麺」1,030 円、柔らかい・硬い麺が選べる「上 海式肉焼きそば」1,300円、元祖 冷やし中華こと「五色涼拌麺」 1,510円。上海式肉焼きそばは、かつて池波正太郎さんもよく召し上がっていたもの。なお、担担冷麺、 五色涼拌麺は夏に限らず、1年中 提供している。

写真の場所は、神保町の「揚子江菜館」。1906(明治39)年創業という老舗で、時に“元祖冷やし中華の店”と称されることがあります。それは、この店がメニューとして出し始めた1933(昭和8)年より以前に冷やし中華を提供していた店の記録が他に見つかっていないからです。揚子江菜館の冷やし中華は、2代目の店主・周子儀さん(現店主は4代目)が店のまかないとして食べていた上海麺と、江戸前のざるそばからヒントを得て考案されたもの。姿かたちは、当時、お店の窓から眺めることができた富士山を模し、具材は中国で縁起の良い数字「10」種類が載っています。10の具材は、チャーシューで春を(生命を育む土壌の色)、きゅうりで夏を、煮た筍で秋を、寒天で冬を表現し、頂きには錦糸卵の雲を載せ、山を崩せば中から肉団子、ウズラがコロコロ転がり出すという小粋さです。そして、エビ、しいたけ、絹さやが彩りを添えています。この特製甘酢ダレの中に佇む富士山は、姿も味も、80年以上ほぼ変わることなく受け継がれてきたものだそう。しかし、ここで振り返ってみて下さい。そう、冷やし中華は中国の料理ではなく、日本で生まれた料理だということ。私たち日本人は、お店でも家庭でも中華料理をよく食べますが、実はこのように日本ならではの料理であることが多いのです。というわけで今月は、本場の中国料理と日本の中華料理って、どう異なるのか、なぜ違うのか、そんなことを色々と考えてみる特集です。何せ今年も日本の夏の風物詩・冷やし中華の季節がやってきましたから。

揚子江菜館

1906(明治39)年創業で、現在の店主は4代目の沈松偉さん。沈さんに「日本と中国の違い」を聞けば、「中国で店をやるなら常に新しいメニューを出していかないとすぐに潰れてしまいますが、日本人は伝統の味を変えない方が良いということ」だと言います。店のメニューは、初代店主が礎を築き、2代目が品数を増やし、3代目、4代目が守り続けてきたもの。守るにしても、時代ごとに流通する醤油の風味、砂糖の甘みが変わったり、日々の気候にも左右されるため、安定して同じ味を提供することは大変なのだそう。「でも、大丈夫。池波正太郎さんが好まれた焼きそばの味も、当時と変わっていないはずですよ」(沈さん)

かくして今年も
冷やし中華が始まりました。

夏の風物詩、冷やし中華が今年も全国で始まりました。"中華"という名はついているものの、じつは日本生まれの冷やし中華。発祥は、神保町の『揚子江菜館』や、仙台の『龍亭』と言われています。その誕生から約80年、独自の進化を遂げて、冷やし中華は、すっかり日本の文化として根付いています。そして今や、具も麺もタレもこんなにバリエーション豊かになりました。美味しく、涼しく、今夏も冷やし中華をいただきましょう!

[御茶ノ水]CHINESE DINING 新北京~文豪が愛した老舗ホテルの中華~

数多の文豪らに愛された山の上ホテルのダイニング。心地よいホスピタリティと名物の北京ダックをはじめとした上質な味わいはさすが。

冷やし中華麺 (ランチ2,376円 、ディナー2,484円)
この彩りとエビ、カニ競演の豪華具材は、まさにホテルダイニングならではの華やかさ。伝統的なスタイルは踏襲しつつ、ゴマでコクを出した自家製ダレなど工夫が随所に。老若男女誰もが好きになるスタンダード冷やし中華の極みです。
※価格はサ別、ランチは杏仁豆腐付き。 

販売期間:5月9日~9月中旬
麺:特製中太ストレート麺
タレ:オリジナル醤油ベースにゴマペーストを加えた自家製ダレ
トッピング:有頭エビ、ズワイガニ、クラゲ、蒸し鶏、錦糸卵、キュウリ、トマト、モヤシ、ハム、葉物の10種類。

Tel 03・3293・2833 東京都千代田区神田駿河台1・1 山の上ホテル本館B1 11:00~15:00、 17:00~22:00(21:00LO)、土・日 ・祝は通し営業 無休

[神楽坂] 龍朋~名物のチャーハン求め行列も~

いたって気さくな昔ながらの中華料理店。しかし、ゴロゴロ入ったチャーシューと香ばしくくせになる味わいのチャーハンは都内屈指と連日大盛況。

冷中華(850円)
「忙しくて細かく切れないからいつの間にかこうなっちゃった」とご主人。錦糸卵もチャーシューも太く豪快。食べごたえたっぷりの160gの麺とゴロゴロたっぷりに入った具材、昭和の冷やし中華そのままという懐かしのタレがたまりません。

販売期間:5月1日~9月30日
麺:中細やや縮れ麺
タレ:醤油、酢、砂糖、生姜汁などの懐かしいさっぱりタレ
トッピング:玉子、チャーシュー、キュウリの3種類

Tel 03・3267・6917 東京都新宿区矢来町123 11:00~23:00(土・祝~ 22:00) 日、祝日の月定休

[広尾]中華香彩 JASMINE~郷土料理をモダンスタイルで~

名ホテルや本場中国などで研鑽を積んだ山口祐介シェフが総料理長。中国各地の伝統料理に現代のエッセンスを加えた洗練の味が楽しめます。

JAMINE名物 よだれ鶏のせ冷やし麺(1,400円)
総料理長山口祐介シェフのスペシャリテが冷やし中華に! 香辛料とラー油が香るタレが、しっとり蒸し鷄などの具、麺と一体になるともう箸が止まりません。お好みでゴマダレを加えて変化を楽しんで。裏メニューゆえ予約時に確認を。
※ランチは小鉢と杏仁豆腐付き

販売期間:7月1日~9月30日
麺:細麺ストレート
タレ:15種の香辛料、ラー油、黒酢などの四川風甘酢ダレ
トッピング:鶏、揚げなす、オクラ、トウモロコシ、トマト、キュウリ、ネギ、ピーナッツ、
ゴマの9種類

Tel 03・5421・8525 東京都渋谷区広尾5・22・3 広尾西川ビ ル1 F  1 1 : 3 0 ~ 1 5 : 0 0 (14:30LO)、18:00~23:00 (22:00LO) 無休

[広尾]広尾 はしづめ~どこまでも広がる麺料理の世界~

名だたるシェフらが名指しで仕入れる橋爪製麺による中華料理店。プレミアムな麺料理に加え、夜は旬の厳選素材を用いた本格四川料理も。

夏の彩り 梅と海鮮の冷やし麺(ランチ1,500円、ディナー1,944円)
ヌードルアーティストと呼ばれる橋爪利幸氏が生み出すオリジナル麺。今夏のおすすめは、爽やかな柚子を練り込んだ麺に海鮮を合わせた五感で楽しめる冷やし麺です。梅を用いたまろやかなタレは食後もきれいな余韻が残ります。
※ディナーはサ別

販売期間:6月20日~7月9日
麺:平打ちストレート麺(柚子麺、山椒麺など5種類から選択可)
タレ:はちみつ漬け梅、そば膳の醤油、千鳥酢などの特製タレ
トッピング:エビ、タコ、ホタテ、昆布締めタイ、チコリ、アスパラ、トウモロコシ、
ほか約10種類 ※日により多少の変更あり

Tel 03・6277・2183 東京都港区南麻布5・16・10 カルチェブ ラン広尾2F 11:30~15:00 (14:30LO)、18:00~22:30 (22:00LO) 日・祝定休

Text:静浩太
Photo:いわいあや、富澤元
※こちらの記事は2016年6月20日発行『メトロミニッツ』No.164に掲載された情報です。

更新: 2017年6月20日

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