日本酒新時代のムーブメント

|SAKE INNOVATION[6]|
日本酒の進化を紐解く12のキーワード
12 Keywords of Evolving Sake
【02 GLOBAL】

日本酒の進化について、大きな流れを掴んでいただけたでしょうか? こちらでは、さらに12のキーワードから、日本酒に関わる様々な現場で起きているイノベーションな事例を、シリーズでご紹介していきます。

【02 GLOBAL】 世界中が“SAKE”に夢中!?

ヘルシーな和食ブームにのって、日本酒に対する評価は世界中で高まっています。財務省の貿易統計を見ても、輸出量は年々増加傾向。いったい今、日本酒は世界でどのように受け入れられているのでしょうか。各地の実情を知るキーパーソンに話を聞きました。

★MILANO

低アルから山廃・生?まで、嗜好もさまざま

イタリアの食文化は非常に多様で奥深いので、様々な味わいや香りの特徴を楽しむことには慣れている人が多いそう。「ミラノではまだ日本酒経験の浅い方が大半ですが、日本酒の酸味の良さや必要性、そして旨味のことをしっかりと理解されている方もいらっしゃいます。自分は様々な形式で日本酒イベントを企画していますが、いわゆる飲みやすい低アルコール酒や活性系のお酒だけではなく、熟成・古酒系や山廃・生?系の魅力にも気づいていただいたり、参加者一人ひとりが“自分にとってのおいしい”を見つけて楽しんでいる状況が非常に面白いですね」(ピースキッチン/ジャスティン・ポッツさん)

(右)ピースキッチン主宰ジャスティン・ポッツさん( 写真上・中央)。和食をピースフードと捉え、イベントやコンテンツをイタリアから発信

★NEW YORK

和食×日本酒がひとつのステイタス

日本酒の輸出数量が最も多い国、アメリカ。なかでもNYは日本食に対する理解も深く、お鮨屋さんをはじめ和食店が連日賑わいを見せています。「セレクトされている日本酒は現地でもJIZAKEと表記されています。普段からワインを楽しんでいる方が日本酒を飲んでいるので、自分の舌で味わい、おいしければ評価するのがNY市場です」(「奈良萬」夢心酒造代表取締役社長/東海林伸夫さん)。「当蔵ではアメリカへの輸出額が2000万円を超えているので、NYは重要な商圏のひとつですね」(「栄光冨士」冨士酒造統括責任者/米山茂朗さん)

NYでは飲食店関係者向けのイベントが頻繁に行われています。異文化に寛容な街なので、いいモノはすぐに受け入れてくれるそう。

★PARIS

仏人初の「酒サムライ」として日本酒の普及に努るシルヴァン・ユエさん。 2010年パリに「日本酒アカデミー」創立。日本酒イベント「サロン・デュ・サケ」も主催。

ひと口飲めばみんな虜にメディアも注目しています

「一般的なフランス人が抱いている日本酒=蒸留酒というイメージを払拭するには、さらに時間とメディアの力が必要ですね。あと、5~10年はかかるでしょう。でも今はメディアもどんどん日本酒に興味を持ち始めていますし、中国人が経営するお鮨屋さんでも最近は本物の日本酒を出すようになりました。日本人がオープンしたラーメン屋や餃子バーに続いて日本酒に特化した居酒屋も賑わっていますし、フレンチレストランやミシュラン星付きのレストランでもフランス人のソムリエが日本酒をワインリストに加えているところです。パリで楽しめる日本酒の選択肢は、ずいぶん広がったと言えますね。(シルヴァン・ユエさん)

★HONG KONG

一皿の料理に一杯の日本酒を合わせるコース料理を提案しているGODENYA。日本酒を世界に広めたいと今年6月に香港へ進出しました。http://www.godenya.com

広東料理には燗酒が合うんです

香港では冷たい飲み物は身体に良くないと考える人が多いこともあって、リピーターのお客さんを中心にジワジワと燗酒ファンが増えているそう。「広東料理は塩分が少なく旨味が強い料理が多いので、燗や古酒がすごく良く合います。お客さまの反応を見ていても、日本の食文化へのリスペクトは西洋以上のものがありますね。日本酒の魅力がきちんと伝われば、香港の食中酒市場がワインから日本酒に大逆転する可能性もあると思いますよ。ワインのような提供の仕方も一つの方法ですが、日本酒にしかできない方法を表現していくことこそ、香港をはじめ世界中の方々が求めていることではないでしょうか」(GODENYA店主/五嶋慎也さん)

★MALDIVES

高級リゾートホテル「ワン&オンリー・リーティラ」で開催された奈良萬イベント。おりがらみも人気とか。

南国リゾートでも飲まれています

「和食人気によって、南アジアのリゾート地でも日本酒が受け入れられています。ただ、モルディブは禁酒国で、奈良萬は超高級ホテルのお鮨屋さんに入っているので、実際飲んでいるのは世界のセレブたちですね。」(奈良萬/東海林さん)

★SINGAPORE

日本酒の乾杯イベントはじめ、レストラン向け日本酒レクチャーなど日本酒の普及活動を行っている清永さん

可能性を秘めた魅力的なマーケット

 

「日本酒専門バーが立て続けにオープンし、富裕層向けだったマーケットが広がりつつあります。ひやおろしなどの季節のお酒や、生酒なども普通に呑めるようになりました。ブームと呼ぶにはまだ早いかも…ですが、今後注目です」(五代目酒サムライ/清永真理子さん)

★CHINA

富裕層はとにかく高価な日本酒

「日本で3000円の純米大吟醸が、中国ではなんと1350人民元(約2万7000円)! 需要は高い酒か安い酒かのどちらか。中途半端はダメなんですね。純米大吟醸は主に和食屋さん、普通酒は大衆居酒屋で飲まれています」(栄光冨士/米山さん)

Edit:浅井直子
Text:馬渕信彦
Photo:Matthieu Zellwege(Paris)
Coordinate:勅使河原加奈子(Paris)

※こちらの記事は2015年10月20日発行『メトロミニッツ』No.155に掲載された情報です。

更新: 2016年11月16日

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