ラディカルでアバンギャルドで革命的な

|前衛派日本酒[8]|
学ぶほどにもっと美味しく楽しめる。
【日本酒の基本】ー1限目ー

最近、日本酒を飲み始めてから知ったことがいろいろあります。飲み始めてから知りたくなったこともたくさん。このページでは、そんな「飲み始め」の時期に合う日本酒の知識を簡単に提供したいと思います。飲み始めると体験も知識もどんどん増やしたくなるのは、やっぱり今、日本酒が最高に最高に美味しいから!

[01]原料・お米の磨き具合で 差が生じる 日本酒の8つのタイプ

以上8タイプとも、農産物検査法で3等以上に格付けされるか、それに相当する品質の米を使用していること。また、米麹の使用 割合は15%以上することを定められている。 ※ 例えば「精米歩合60%は以下だが、吟醸酒に値するまでの醸造方法をしてい ない」など、何らかの特別な理由があるもの。これには酒税法で定められた基準はなく各蔵の醸造基準のため、要説明表示。

「特定名称」で区分される日本酒は、左の8タイプ。この8タイプに当てはまらないお酒は「普通酒」と呼ばれます。最もシンプルなお酒の原料は、米、米麹、そして水。米麹というのは、蒸した米に麹菌を繁殖させたもののこと。アルコールは酵母(菌)が糖分と水を食べることで生じますが、米には糖分がないため、まず米に含まれるデンプンを麹菌の力で糖に変える必要があるのです。また、米は酒専用の〝酒米?をよく磨いて使用します。それは米の表層部にはたんぱ質や脂肪が含まれており、それが雑味となるため。お茶碗のご飯は精米歩合が約90%に対し、大吟醸酒は50%以下のサイズになるまで磨き上げます。「醸造酒タイプ」とは、醸造アルコールも添加するお酒(通称アル添)。アル添は、かつて戦後の米不足の頃は増量目的で行われたもので、加えすぎれば辛く、薄くなってしまいますが、少量ならスッキリとした風味やキレ味、程よい風味を生み出すこともあり、現在は風味を調整するために使われていることもあります。

[02]ボトルを読む。ラベルに何が 書いてある?

ボトルのラベルには何が書かれているのか?と裏側を見てみれば、単に製造者データだけのこともあれば、稀に蔵元からの手紙が書かれていることもあります。あとは、使用したお米や酵母の品種から、酸度、日本酒度などの「お酒の構成要素」が1つずつ書かれていることも。ここでは、そんなお酒の構成要素にまつわる言葉の意味をご紹介します。

○原料米
ご飯になるお米と違い、粒が大きく、心白(米粒の中心部にある、白色不透明部分。粗いでんぷん質の集まり)がある「酒造好適米」(別名:心白米、酒米)が酒造りには使われる。品種は約180以上あると言われるが、下記の4品種が有名。


早稲(わせ)タイプ
成熟が早い品種。やや硬くて水に溶けにくく、淡麗で爽やかな酒質になりやすい
■五百万石: 新潟県内の米の生産量が500万石を超えた昭和32年に、新潟で誕生。“淡麗系”のお酒になる。
■ 美 山 錦:昭和53年、長野県で誕生。寒さに強い品種。スッキリとクリアで引き締まった味わいをもたらす。


晩稲タ(おくて)タイプ
成熟が遅い品種。水分が多めで、味わいにボリュームを出しやすい

■ 山田錦:大正時代、兵庫県で誕生。豊潤な味わいに定評がある“酒米の王様”。生育条件が厳しく、栽培困難。
■ 雄 町 :江戸末期、岡山県で誕生した最古の酒米。風味が非常に独特で、「雄町らしいお酒」ができやすい。

○アルコール分
約10~20度と幅広くあるが、15~16度が一般的。22度以上は、たとえ日本酒の製法で造られていたとしても酒税法上、リキュール扱いとなる。


○酸度
平均値は1.3~1.5で、数値が高いと「濃醇」(濃くて辛め)、低いと「淡麗」(サッパリ甘め)と言われる。酸味の正体は、コハク酸、乳酸、リンゴ酸など。


○使用酵母
日本醸造協会が頒布する「きょうかい酵母」他、地方自治体、大学、各醸造所が開発したものなど様々ある。お酒から立ち上る果実香は、酵母の仕業。

○日本酒度
+10もあれば、-5ということもある…。「数値が+になるほど辛口、-になるほど甘口」とされる甘辛口の目安で、お酒に含まれる糖分量の指標。


○アミノ酸度
甘み、旨み、酸み、苦みなどを持つ、旨み成分・アミノ酸も味の濃淡の目安に。基準値1.0より上が濃醇、下が淡麗。日本酒は約20種類のアミノ酸を含む。


BYBrewer Year
醸造年度。お酒の年度始まりは7月1日(~翌6月30日)で、例えば「23BY」は平成23年の秋に収穫された酒米を用い、平成24年6月までに造られた酒。

写真上は、「東一」純米吟醸Neroのボトルの裏。下は「新政」No.6R-typeで、「24By」と記載されています

[03]好みの「前衛派」と出合うために、味わい・香りを言葉に。

例えばお店で「どんなお酒にしますか?」と聞かれても、飲みやすいの、甘いもの、重めの…、そんな一言で答えるのがせいぜい。また、「爽やかなものをください」と言ったら、思ったよりも辛くて失敗したりなど、日本酒初心者は、お店で自分好みのお酒をオーダーするのがなかなか難しいような気がます。そもそもお酒にはどのような味わい・香りのバリエーションがあり、それらをどんな言葉で表現したらいいのか?少し探ってみました。

日本酒スタンド?で、「バランスがいいお酒」をオーダーしたら、出てきたのは「上喜元純米吟醸雄町」。香り、酸味、甘み、お米のうま味、苦み、どれも目立って強いことはないけれど、スルスル飲みやすく清らかな味がした

日本酒には、甘口と辛口があります。甘口は糖分が多く、酸の量が少ない。辛口は、糖分が少なく、酸の量が多い酒。その甘・辛の指標となるのが、「日本酒度」。酒の比重を計り、その糖度の割合を示したもので、数値が高いほど辛口となります。

…という知識の正否は別として、「前衛派」を追いかけているとよく耳にすることがありました。「辛口や甘口という言葉はあまり使わない方がいい」、「日本酒度が高くても辛いと感じないもの、反対に低いのに辛みを感じるものもある」と。そもそも「前衛派日本酒」と「クラシカルなお酒」の違いについて考えてみれば、「クラシカル」は、昔、お父さん達が飲んでいたようなお酒で、世の中に多く広く流通し、例えば「辛口」といえば誰の想像も裏切らないようなあの辛みがあるお酒。

「前衛派」は純米酒タイプのものが多く、シンプルな原料がゆえに造り手の個性が出せる、クラフト的なお酒。つまり「前衛派」の味わいは、多様で複雑。〝定番の味?がないため、お店で単に「辛口ください」と言うと、唐辛子、わさび、塩辛…どの辛さを求めているのか、伝わり難いようなのです。では、お酒の味わいや香りはどんな言葉で表現すれば?どんな風に飲みたい味を伝えればいいのでしょう?「日本酒スタンド?」の店主・千葉さんに聞いてみれば「桃みたいな甘み、ライチみたいな香りなどと、他の食べ物に例えてみてもいいですし、最後にピリっと残る、キレがある、ジューシーな感じ…でも大丈夫。決まった言い回しはありませんので、思ったことを何でも好きなだけ言ってみてください」。

では、ちょっと個人的に。今までの日本酒の概念を覆すほど初体験な味わいだったお酒を表現してみれば、「甘みと酸味をしっかり感じ、フルーティな香りがするお酒」で、これは特に白ワインがお好きな前衛派ビギナーにオススメしたい台詞なのですが、あとは銘柄名や蔵元も覚え始めると「これに近い味わいを」とオーダーすることもできるようです。

Text:メトロミニッツ編集部


※こちらの記事は2013年9月20日発行『メトロミニッツ』No.131に掲載された情報です。

更新: 2016年11月4日

この記事が気に入ったら
「シェア」しよう

最後までお読みいただき、ありがとうございます

pagetop