呑んで食べて1人1万円以下

|嗜む日本酒[8]|
エレガントに日本酒を嗜む和の店
日本酒と魚料理が自慢のお店

優雅な設えの中、しっかりした日本料理が食べられてかつ日本酒には一家言あり。程よく2、3杯日本酒をいただき、お腹も満たして1人1万円以下に収まる気前の良いお店をご紹介します!料理とお酒の美味しさに、ついつい杯と皿を重ねて、1万円オーバーしてしまってもあしからず…。

魚料理に合わせたい日本酒選びのポイント

日本では季節ごとに魚の旬は変わり、日本酒もあらばしりだ、秋あがりだと季節ごとの楽しみ方があります。そこで、この両者のベストな組み合わせを知れば、いつもの晩餐がより豊かな時間になるはず。今回の取材で分かったのは、例えば繊細な味付けの魚料理に合わせるならば、その味を消さないスッキリとした日本酒を合わせる。逆に味が強い料理には、香りに個性がある1本を選ぶのが良いということ。そして、より〝魚×日本酒?を楽しむなら、魚の仕入れや扱いには自信のあるお店に訪れ、様々な味覚に触れ、しかと店主の言葉に耳を向けましょう。魚の種類や調理法によって、合わせたい日本酒ももちろん変わる。知るほど奥深い酒と魚の世界へとご案内します。

はらまさ[ 曙橋 ]

旬の旨みを凝縮した1皿を引き立てる脇役としての酒

「この時期の天然うなぎは脂の乗りが抜群。その脂のうまみと、松茸の香りを存分に感じていただくため、スッキリとした1本を選びました」。曙橋で2年目を迎える「はらまさ」の店主は、15年間和食一筋の原正太郎さん。カウンター越しに取り出したのは『大地の虎』という、淡麗で軽い飲み口が特徴の新潟の銘酒でした。素材本来の味わいを楽しむなら、癖のないシンプルな1本がおススメだそう。「個性が強すぎる日本酒は、料理の味の邪魔をしてしまうんです。酒、料理とも、美味しく召し上がっていただきたい」。腕1つで勝負する料理人ならではのセレクト理由なのです。

【BEST MARIAGE】[焼]湯葉と天然うなぎ、松茸と菊花あんかけ×[淡麗]大地の虎

蒸してから白焼きにした稀少な天然うなぎは島根・宍道湖産。和食店を中心に高い人気を誇るうなぎなんだとか。また、米どころ新潟の『大地の虎』は、酒米に五百万石米を使用。吟醸、大吟醸といった特定名称酒ではなく普通酒。主張しない控えめな味わいと香りが特徴で、料理を引き立てる脇役としてファンも多いそうです

はらまさ
TEL:03・5312・7307
住所:東京都新宿区片町2・2
営業時間:18:00 ~ 24:00 不定休

いまここ[ 神泉 ]

アラの淡いうまみを引き出し強調する富士のまろやかな湧水を使った1本

昨年6月神泉駅近くにオープンした和食店。店主の大角公彦さんは、海外の大使館で料理長を務め“優秀公邸料理長”に輝いた経験もある実力派です。そんな大角さんが提案してくれたのは、アラの酒蒸しと、辛口ながら滑らかな飲み口の1本。「例えばこのアラを食べてから、グイッと『白隠正宗』を口に含ませると、不思議なことに淡白なアラの旨みがより強調されるんです」。大角さんがこだわるのは銘柄よりも、料理とのマッチング。そのため仕入れ先の酒屋とは試飲、試食会を幾度も繰り返しているとのこと。滋味深い和食材の魅力を引き立てる日本酒が、ここにあります。

【BEST MARIAGE】[焼]アラの蒸し物、秋野菜と松茸と一緒に×[切れ]白隠正宗 純米吟醸

アラは能登半島の輪島港から仕入れた旬の食材。輪島は店主・大角さんの父親の出身地で、そのつてから独自のルートを築くことができたそう。気になる日本酒は、静岡県沼津にある高嶋酒造の一本。地下150mから湧き出る富士山の雪解け水を使用して造られています。酒米には南伊豆で栽培された「愛国」を使用

いまここ
TEL:03・6277・5213
住所:東京都渋谷区円山町25・8 1F
営業時間:12:00~14:30、18:00~23:00LO 月・祝定休

霞富士[ 西麻布 ]

麻布の新鋭が提案するマリアージュ濃厚な煮付けと清々しいにごり酒

多くの飲食店が建ち並ぶ麻布に、今年4月にオープンした新店。店主である仲眞周一郎さんのおススメは、旬の松川カレイの肝煮と、山廃にごり酒『美田』のマリアージュ。「甘辛く濃厚な肝煮には、酸味を含んだ清々しいにごり酒がとても合うんです」。肝が持つ独特の苦みと白身のほのかな甘みを味わい、爽やかなにごり酒を口に含めば、さっぱりとした後味が広がります。そしてさらにもう一口と食欲が刺激され、箸と盃がどんどん進むのです。じつは、煮付けのうまみを引き出す仕上げの煮酒には、同じ「美田」を使っているそう。相性抜群なはずですね。

【BEST MARIAGE】[煮]松川カレイの肝煮×[酸み]美田 山廃純米にごり

松川カレイは白身の高級魚で、味はカレイ類の中でも最も美味とされています。こちらは刺身でも食べられる新鮮な北海道産のもの。旬を迎えて肥えた肝で煮込み、ふっくらと仕上げています。日本酒は九州の福岡・井上合名会社の天然乳酸を使用して醸造された、山廃純米にごり酒。微発泡を帯びた酸みが特徴です

かすみふじ
TEL:03・6447・1235
住所:東京都港区西麻布1・10・7 ウエストフローラAZABU 1F・B1F
営業時間:17:30~25:00LO、金・土・祝前日~翌2:00LO、日~22:30LO 月定休

旬水[ 麻布十番 ]

?酒師が作り出すアテの数々は、日本酒の魅力を存分の味わえる

日本酒の奥深さや魅力を知ってもらいたくて、ここを開きました」と語るのは店主の渡邊智之さん。料理人になる前に?酒師の資格を取得した異色の経歴の持ち主です。渡邊さんのセレクトは、鯵や梅肉、白みそなどを和えたなめろうと、大吟醸ながらキレよりもまったりとした甘味を湛えた雑味が特徴の「裏上喜元」。「なめろうは鯵の脂、梅の酸味、みその塩気、それぞれが主張します。そこに癖の強い『裏上喜元』を合わせると、複雑な味わいがまとまるんです」。料理はあくまでも日本酒を美味しく飲むためのものと言い切る渡邊さん。呑ん兵衛には堪らないお店です。

【BEST MARIAGE】[煮]鮮鯵と梅干しのなめろう×[旨口]裏上喜元大吟醸 山田錦35%押切

しっかり食感を出すために長細く裁かれた鯵のなめろう。合わせる『裏上喜元』の「押切」とは、酒を搾った時に初めに出てくる「あらばしり」、中間の「中取り」、そして酒質が荒くなる最後が「押切」。通常、押切は商品化されませんが、その荒さに目を付けた酒屋に蔵元が口説かれ商品化。だから“裏”で、ラベルも反転に

旬水(しゅんすい)
TEL:03・3452・3933
住所:東京都港区南麻布1・6・31 南麻布ビル 1F
営業時間:18:00 ~翌1:00LO、日・祝~23:00LO 月定休

Text:荒井しんご(effect)
Photo:宮崎純一(eat photo)、鈴木泰介

※こちらの記事は2014年11月20日発行『メトロミニッツ』No.144掲載された情報です。

更新: 2016年12月12日

この記事が気に入ったら
「シェア」しよう

最後までお読みいただき、ありがとうございます

pagetop