TOKYO BEERNISTA 2016 |あらためましてビールって何だろう?|ビールの作り方と原材料

いま、食のトレンドの1つになっているクラフトビールですが、より美味しくいただき、より深く知るために、まず「そもそもビールとは?」というところをおさらい。どのように造られ、どんな種類があるのか、身近な飲み物ではありますが、実は知らないことも多いのでは? 駆け足ではありますが、奥深いビールの入口へとご案内します!

ビールの原料と造り方

①レシピを描く

レシピとは、完成形のビールから逆算し、原料の配分と添加のタイミングで香りや苦味などをコントロールする設計図です。

②原料を揃える

ビールの主な原料は<麦芽>、<水>、<ホップ>、<酵母>の4つ。加えて、特にクラフトビールにおいては様々な<副原料>を使って味や香りといった個性を表現することもある重要な要素です。

<麦芽>
アルコールの素であり、ビールの色合いを決め、甘みや香ばしさを作りだします。
<水>
ビールの9割以上を占める大事な成分であり、硬水・軟水の違いは酵母の発酵に影響をあたえます。
<ホップ>
苦味、アロマ、フレーバーなどビールの最も重要なキャラクターを決定づけます。また、澄んだビールにする、泡を形作るという作用もあります。
<酵母>
麦芽のでんぷんからアルコール発酵をするとともに、エステル等の香り成分も生成し、ビールのスタイルのベースとなります。

③麦芽を使ってビールの素である麦汁を造る

麦芽(モルト)は、大麦あるいは小麦を発芽させ乾燥させたもの。麦から麦芽の状態にすることを製麦と呼びます。麦芽は、まず粉
砕機で粗挽きにし、50℃~70℃のお湯に浸して液状にして麦汁を作ります。すると、糖化(マッシング)が始まり、麦芽のデンプン
が、酵母がアルコールを発生させるためのエネルギー源である糖に変わります。この時の温度帯によって、酵母によって分解しやすい糖と分解しにくい糖ができ、ビールの味わいに多大なる影響をあたえるため非常に重要な過程です。

【column】ちなみに麦芽にはどんな種類が?

麦芽は大麦麦芽と小麦麦芽があり、多くのビールは大麦麦芽から作られます。小麦麦芽はヴァイツェン等の白い色のビールに使用されることがあります。麦芽は、乾燥させる時の熱の加え方により、淡い茶色から漆黒まで色と味わいも変わります。ビールの色と香ばしさは、どのような色の麦芽を使用するかにより決定されます。

④ビールのキャラクターを決めるホップを投入

ビールに苦味と香りをもたらし、泡持ちを良くし、雑菌を抑える殺菌作用もあるホップ。つる性の多年草で、使用される「毬花」は受精前の雌花のみ。毬花の中にある黄色い粒子の「ルプリン」に上記の成分が含まれています。煮沸の際、最初に苦味付け用のビタリングホップ、終了近くに香り付け用のアロマホップと2種のホップを投入します。

【column】ホップにも種類があり、それぞれ特徴があります

代表的なホップ3種
●カスケード(CASCADE)
1972年、アメリカで誕生したホップ。シトラスの爽やかさとグレープフルーツのような柑橘香を特徴とし、ペールエール、IPA に使われ大人気となりました。
●アマリロ(AMARILLO)
アメリカ産のホップ。シトラスとオレンジ系の柑橘香が特徴。日本の蜜柑に近いような和のテイストも感じます。小麦を使ったウィートエールとの相性も良く人気です。
●ネルソン・ソーヴィン(NELSON SAUVIN)
近年、人気急上昇中のニュージーランド産ホップ。白葡萄のようなフルーティさが特徴。名前は、白ワイン用葡萄品種である「ソーヴィニヨン・ブラン」に由来します。

⑤発酵する<上面発酵と下面発酵と自然発酵>

使用する酵母によって発酵の方法が異なります。日本のビールの約9割が下面発酵のラガービールですが、クラフトビールが広く飲まれるようになってきた昨今、大手のビールメーカーでも上面発酵のエールビールも増えてきました。

<上面発酵>
上面発酵酵母(エール酵母)によって、常温(16℃~24℃)でビールを発酵させる製法。発酵の際に酵母が液面に浮かび上がることが名前の由来です。酵母は高温になるほど、活動が活発になり、香り成分を生成するため、上面発酵のビールは酵母由来のフルーティで華やかな香りが特徴です。3日~6日と比較的短い期間で発酵を終えます。イギリスやベルギーのビールに多く、中世までは「ビール=エール」でした。

<下面発酵>
下面発酵酵母(ラガー酵母)によって、低温(4℃~10℃)で発酵させる製法。発酵後に酵母がタンクの底に沈殿することが名前の由来です。下面発酵のビールは、香り成分であるエステル等の副産物が少なく、スッキリとしたシャープな味わいです。発酵期間は、6日~10日とエールより長くなります。19世紀後半に冷蔵装置が発明されたことにより通年の発酵が可能となり一気に世界中に広まりました。

<自然発酵>
空気中に浮遊していたり、樽に付着しているの野生酵母を用いて発酵させる製法。ランビックが有名。左の写真のように冷却槽で麦汁を冷やしながら酵母を取り込みます。酸味が強いものが多く、香りは複雑にして奥行きが深い。

⑥煮沸・貯蔵・濾過

糖化が終わった麦汁は煮沸を行います。100℃で1~2時間。その間にホップ、副原料を投入。煮沸により、麦汁は殺菌され、ホップや副原料の成分が麦汁に溶けだします。その後、冷却され酵母を添加することにより発酵が始まります。発酵が終了したら、エールは1カ月、ラガータイプは2~3カ月貯蔵して熟成させると完成です。

⑦パッケージング

貯蔵が終わったビールは酵母を濾過したり、加熱処理を行うのが一般的です。その後、缶や瓶、または樽(ケグ)に移し替える際に、ビールが劣化しないようにしっかりと容器を殺菌して、充填することは出荷後の品質安定化のために非常に重要な工程です。こうして、みなさんの手元に届けられる準備が整うのです。

Text川野亮(クラフトビール東京)
※こちらの記事は2016年3月20日発行『メトロミニッツ』No.161に掲載された情報です

更新: 2016年9月25日

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