スタイルのあるお店

|EAT GOOD[5]|
TOKYO EAT GOOD STYLE

池尻大橋/フランス料理「OGINORED&GREEN RESTAURANT」

皿の向こうに畑や牧場が見えてくる。
そんな料理が持ち味の、料理界の自然派革命児


2007年のオープン以来、常にパワフルに道を切り開いてきた「オギノ」。フランス料理店ながらTシャツにジーンズ姿のシェフも、余計なサービスを省く代わりに驚くほどリーズナブルな価格設定も、思い返せばここがパイオニア。その「オギノ」がデリ「ターブル・オギノ」をオープンさせたのは2012年のことでした。きっかけは、生育重視の農薬を多く使う慣行栽培に違和感を覚えたシェフ・荻野伸也さんが、無農薬・無化学肥料の野菜を使い始めたものの、そうした野菜は供給の不安定さを理由に買い手が付きづらく、余りがちだと知ったから。ならばと店で引き受けるうち、1店舗では使い切れず、デリを開いたという訳なのです。ちなみに、そうした野菜のことを、「無農薬野菜」と呼ばない荻野さん。曰く「ちょっと長いですが、“食べる人のことを最優先にする野菜”と呼んでいます。生産者さんは、必ず食べる人のことを思って作っている。単なる無農薬の野菜とは思えないんです」。並々ならぬ熱意が伺えますが、それをことさら謳わないのもオギノ流で、「『これ無農薬なの?』と聞かれて『そうっすよ』って返すくらいがちょうどいい」というさりげなさ。そう、言葉より饒舌に思いを伝えるものこそ、料理の味わい。料理人というアイデンティティへの、荻野さんの確固たる思いが垣間見えます。さて、現在も次々と新しい取り組みを続けるザ・先駆者な荻野さん。最近では自然栽培(無農薬・無肥料・無堆肥)の自社農園も本格始動し、その野菜を売るオンラインショップも整備中とか。そして今、もうひとつ力を入れるのが「オーダーメイド和牛」。はて、牛のオーダーメイドとは?「沖縄の宮古島で作っている肉です。一般的な和牛は霜降りがすごいですけど、欲しかったのはしっかりした健康的な赤身肉で。実は、牛に穀物を与えるから霜降りになるんですよ。赤身にするには草を食べさせればいいのですが、そこでひらめいたのが同じ宮古島のさとうきびでした」。そもそも、荻野さんが最初に宮古島を訪れたのは、自然栽培の砂糖を作るため。「宮古島は山がなく、生活用水はすべて地下貯水。農薬を使うと染み出て水質汚染が起こりやすいため、島全体でエコな生態系の循環を目指しているんです。『奇跡のリンゴ』で知られる木村秋則先生に指導を仰ぎ、自然栽培のさとうきびから砂糖を作ったのですが、その過程で出る大量の搾りカスが気になっていて。搾りカスを牛のエサに、さらに牛糞を堆肥に利用すれば、うまく循環させられるわけです」。生産者の協力の末、そうしてできたオーダーメイド和牛は、島のモデルケース事業となっているそう。これだけのことを、個人店のシェフが実現させた事実に驚愕します。昨年11月には店名に「Red&Green Restaurant」と付け足し、赤=肉、緑=野菜、双方の個性を際立たせた店にリニューアル。毎月1、2回、“Red day”と“Green day”を設けるという楽しげな試みも。今後も目が離せない、気鋭という表現がぴったりハマるレストランです。

1.荻野さんが愛を込めて「不細工」と表現する規格外の野菜。箱を開けるまで何が届くか分からないため、レストランもデリも、メニューは毎日即興で決めている2.不細工なにんじんが、色鮮やかなラぺに。この時期特有の甘みを生かし、シンプルに塩、こしょう、酢で味付け。「デリ盛り合わせ」スモール1,200円/ノーマル1,800円で味わえる1品。大皿から好きな分量を取り分ける名物「お好きなだけパテ・ド・カンパーニュ」1,000円は、スパイスが主張する一般的なパテとは違い、玉ねぎ、きのこなど野菜の旨みで深みを出す3.宮古島の自然栽培さとうきびで作った砂糖と蜜がこちら。木村さんの「奇跡のリンゴ」から名前を取った。レストラン店頭で購入可能

オギノレッドアンドグリーンレストラン

TEL:03・5481・1333
住所:東京都世田谷区池尻2・20・91F
営業時間:11:30~15:00(13:00LO、土日祝のみ)/18:00~23:00(21:00LO)/月定休

CPSFARM

自然栽培の自社農園がスタート

2、3年前から準備していた自社農園が本格始動。木村秋則さんの指導の下、約10ヘクタールの耕作放棄地を耕し、現地スタッフが自然栽培に取り組んでいます。現在は青森県弘前市で米とりんごを、北海道札幌市で主要な野菜や各種ハーブなど約55種の野菜を栽培中です。農業ICTと呼ばれる最新の管理システムを導入。東京にいながらにして、データ化した圃場の状態をスマホなどで逐一チェックできるそう。まさにアナログとハイテクが融合する次世代オーガニックファーム!

TABLE OGINO

現在「ecute品川」内の品川店、「東急百貨店渋谷駅・東横店」内の渋谷店、「湘南T-SITE」内の湘南店等テイクアウト及びイートインカフェ併設などで営業中。http://french-ogino.com/shop

スローフードを、ファストフード感覚で

レストランでは使い切れない食材を活用するため、デリを作る…知名度の上がった店が支店を作る一般的な流れとは、まったく逆の展開で始まった惣菜店。丁寧に作られたスローフードを、ファストフード感覚で手軽に購入できるのがコンセプト。全国80以上もの生産者から届く無農薬や有機栽培の余剰野菜・規格外の野菜を使ったカラフルな惣菜や、添加物を一切使わないパテ、ソーセージなどのシャリュキュトリの他、本格的なスイーツが並びます。

Text:唐澤理恵
Photo:高橋宗正

※こちらの記事は2016年6月20日発行『メトロミニッツ』No.163掲載された情報です。

更新: 2016年10月24日

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