さしつさされつ、 今宵はエレガントに
|嗜む日本酒[2]|
大人に嗜むために。日本酒の作法&文化

「さしつさされつ」という日本文化を考えてみた時、酒の席で大人に過ごすために何か作法はあるだろうか?と思いました。酒の席の初めの挨拶と言えば「乾杯」でしょうから、そのあたりから調べてみることに。

ごく基本的な酒席の作法

酒の席で、最低限度のマナーは「酔い過ぎない」や「他人に迷惑をかけない」だとは思いますが、酌み交わす時、乾杯の時に知っておきたい、ささやかな作法をご紹介します。

※STEP1:お酌をする時

徳利の胴の真ん中あたりを右手で持ち、左手は下側に添えましょう。熱燗の場合は、火傷をしないよう、徳利の首部分を右手で、左手は徳利の底部分にタオルを添えてください。注ぐ量は盃の8分目程度に

※STEP2:お酌される時

親指と人差し指で盃の縁近くを持ち、中指は下部に、薬指と小指は中指に沿うように。盃は両手で持つのが基本ですが、男性の場合は片手で持っても構いません。飲む時は親指と人差し指の真ん中あたりから

世界的にも類を見ない“季節感”があるお酒日本酒の1年

酒造りは、秋に収穫された新米を使い、10月~翌3月(最盛期は12月~翌2月)頃に行われます。そんな風に、お酒を造る時期は限定されているのに、夏のお酒、秋のお酒など、日本酒には季節感がある。ちょっと不思議ではないですか?その答えは、右の表をご覧いただけば何となくわかってくるかもしれません。

嗜む日本酒

昨年1月、全国有数の清酒の産地、京都市で「京都市清酒の普及の促進に関する条例」が制定されました。これは、京都から「清酒による乾杯の習慣」を広めることで、清酒の普及と様々な伝統産業の素晴らしさを見つめ直し、日本文化の理解の促進に寄与することを目的としているそうです。京都の例がきっかけで、同年3月に佐賀県鹿島市が「日本酒で乾杯を推進する条例」を制定。以後、現在では全国80を超える自治体で同様の「最初の乾杯を日本酒でやろう」条例を立ち上げる動きに。「乾杯の起源」と言われることがある説の1つを見てみれば、幕末の1854年、「日英和親条約」締結後に、幕府の官僚井上清直がイギリスのエルギン伯爵から「我が国は、お酒を飲む時に国王陛下の健康を祈り、盃を交わすしきたりがある」と聞き、パッと起立。「乾杯」と叫んだ、とか。その「乾杯」には笑いが起こり、宴の空気が瞬く間にほぐれたそうです。今、私たちの酒の席では「乾杯」が付き物で、それがあるからこそ酒の席は和やかに始められます。その所作に堅苦しい作法はあまりないようですが、もしかしたら「乾杯」や「酌み交わす」を行うこと自体が受け継いでいきたい日本文化で、酒の席の作法なのかもしれません。一方で、飲み方が美しかったり、タイミング良くお酌ができたり、自分がまた一緒に飲みたい相手と思われるような人でありたいと願うわけで。今夜からは「とりあえずビール」ではなく「乾杯は日本酒で」、自分の作法を磨いてみてはいかがでしょう?

※STEP3:乾杯する時

正式な場での乾杯の作法は、盃やグラスを合わせないことが良しとされています。目のあたりまで盃を持っていき、目礼を交わしてから一口いただく。相手が目上の方の場合は、自分の盃を高く上げないようにするのを心がけた方が良いそうです。しかし、さしつさされつ、親密な場ではごく軽く盃を合わせ(良い器の場合は、ぶつけて傷をつけないようご注意を)、2人で静かに「乾杯」を言うのも悪くありません

?日本酒は〝要冷蔵?なのか?

お酒を冷蔵庫に入れるかどうかは、「火入れ」かどうかをぜひ指標に。火入れとは低温加熱殺菌のことで、発酵を止め、品質劣化を防ぎ、日持ちするようになります。よって、長期間貯蔵して熟成を味わう「ひやおろし」や「寒おろし」は火入れを1回行いますが、「初しぼり」や「夏の生酒」は行いません。また、通年発売のお酒は2回火入れをします。そして冷蔵庫で保管すべきなのは、火入れをしないお酒と、火入れを1回しか行わないお酒。火入れ2回のお酒は常温保存でOKです。

?「BY」とは一体何?

杉玉は、杉の葉を束ねて球形にしたもの。今年の新酒ができた合図として、造り酒屋さんが軒先にこれをぶら下げます。ぶら下げたての頃は緑色だった玉も次第に茶色くなりますが、その色でお酒の熟成度を伝えることも

最近、瓶のラベルなどでよく見かける「BY」。酒造年度(BreweryYear)のことで、7月1日から翌年6月30日までの1年間です。例えば、「25BY」とあれば、平成25年秋に収穫された酒米を用い、平成26年6月までに造ったお酒。

Photo:宇壽山貴久子
Styling 松本人美(CORAZON)
Hair&Make 渡辺強志(A.K.A)
Model 小谷実由(jungle)

※こちらの記事は2014年11月20日発行『メトロミニッツ』No.144掲載された情報です。

更新: 2016年10月24日

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