|東京ミートアカデミー[2]|
?焼肉学部 カルビ専攻?
[2限目]カルビ哲学【YAKINIQUEST編】

Philosophy of KALBI [2限目]カルビ哲学 ~YAKINIQUEST編~ 講師 YAKINIQUEST 先生

焼肉を愛し、カルビを哲学する人々

焼肉をこよなくリスペクトし、焼肉が生活の一部と化している人たちというのは、自然と経験や様々な思いがたまってきて、やがてマイ焼肉哲学を持ち始めるのだと言います。このページでお教えしたいのは、そんな焼肉ファンによるカルビ哲学。ヤキニクエスト先生の登場です。

 

ヤキニクエスト

ヤキニクエストとは、独自の視点で焼肉を探究するユニット。HPではリスペクト店を紹介し、焼奥義も惜しげなく披露。地方遠征も行う。http://www.yakiniquest.com/

美味しく美しいカルビは、いつもステージ(テーブル)上のスター。焼肉のエンディングはカルビで〆る!!

都内某所、時は11月29日(ニクの日)。「ヤキニクエスト」の皆さんが集まる、毎月の定例MEATINGにお邪魔した。参加者は、職人肌の焼人gypsyさん、プロデューサー的な存在のYLさん、哲学的に焼肉を追求するS/Nさん、新規店開発担当のfrancoiseさん。この4人に話を聞いた。

TOP画像は、「スタミナ苑」(P.18)の特上カルビ。火に乗せた途端に甘い脂が溶け出し、秒速で味が変わるので焼くのは真剣勝負だ。しゃぶしゃぶの感覚でさっと炙って食べるのが旨い

 

かつて焼肉の代名詞的な存在であったカルビ。ところが、最近ではヘルシーな赤身やホルモン人気も相まって、タン塩やハラミやその他新たな勢力(部位)に圧されて、その存在がやや薄くなりつつある。ところで、ひと口にカルビといってもその内容は一律ではない。それはロースやハラミは部位の名称だが、カルビという部位はないからである。一般的にバラやロースの一部の霜降り肉を指すことが多いが、その定義や解釈は曖昧だ。
francoise「定義がないだけに、お店によっては、いろんな肉を寄せ集めてカルビと称するケースもありますね」
gypsy「誰もがオーダーする人気メニューだけに、店によって差が激しい。中には〝100円カルビ?なんていう客寄せメニューもあります。スターゆえの悲劇かもしれません」そんなカルビ受難の時代に、改めてヤキニクエストの皆さんに、カルビの魅力を語っていただいた。
S/N「焼肉には能や舞楽のように、序破急があると思うんです。タン塩が穏やかな序とすれば、カルビはエンディングに向かって盛り上げる急」
YL「焼肉の流れの最後を決めるのがカルビ。お店にもよりますが、やっぱりカルビはタレがよく似合う。タレには店の方向性や工夫が現れますから、タレの味と合わせて、カルビは店の実力がわかる基準。いわば軸のような存在ですね」

厚さ2センチ近くある「本とさや」(P.19)の特上カルビ。驚くほどやわらかいのに噛みごたえもある、絶妙なボリューム感。濃厚な霜降りで、焼肉を食べた充足感で満たされる

gypsy「僕らが店を選ぶときの基準は、感動できるキラーミートがあることが大切な要素。カルビでそれを判断することも多いですね。個人的にはご飯が好きなので、ご飯とよく合うカルビは最後にとっておきたい大切なメニューです」
francoise「カルビが美味しくなければ、それまでの流れがすべて台無しで、途方にくれてしまいます(笑)」
カルビは焼肉という舞台のトリを飾る真打ちであり、店の格を示す基準にもなるメインディッシュなのだ。
YL「最近の焼肉店は肉の部位を細分化しているところも増えましたが、かつて正肉といえば、ロースかカルビの2択でした。幼少の頃に、ご飯と一緒に食べたカルビのおいしさの記憶は鮮明に残っています」
francoise「私の子供の頃の忘れられない思い出は、骨付きカルビ。普段、料理をしない父が、骨付きカルビだけは焼いてくれたんです。そういった特別な日のごちそうというスター性も魅力ですよね」
S/N「感動する肉には味だけでなく、美しさやチャーミングさ艶めかしさなども必要。よいカルビにはそれが備わっていると思います」
いくら世の中が健康指向になろうとも、霜降り肉のおいしさは不変である。やっぱりカルビはとっておきのごちそうなのだ。焼肉の宴は、おいしいカルビで大団円。カルビは皆がハッピーになれる焼肉の王様だ。

Philosophy of KALBI [2限目]カルビ哲学 ~焼肉店店主編~ 講師 スタミナ苑店主 豊島雅信先生 本とさや店主 三浦英一先生

有名焼肉店の店主、カルビを語る。

日々、美味しい焼肉の追求者である焼肉店の方々は、カルビに対して、果たしてどんな思いをお持ちでしょうか?次にお届けするのは、都内でもひと際目立つ人気店「スタミナ苑」と「本とさや」の2店主によるカルビ哲学の特別講義。さ、始めましょう。

スタミナ苑

店主・豊島雅信さんが手に持っているのは、特上カルビ(写真は5,000円。枚数計算、1枚あたりのグラムに応じて値段が日々変動)。並カルビ(1,300円)でも相当レベルは高い

最上級の肉を扱う「スタミナ苑」が自信を持って勧める最高傑作の肉。
それが、写真の特上カルビ

世界的グルメガイド「ザガット・サーベイ」日本版の初代NO.1に輝いたのがなんと普通の焼肉屋さんで、しかも場所は足立区の鹿浜。そんな伝説の名店「スタミナ苑」は、先代から継いだ精肉店を焼肉店に育てた豊島兄弟の店。おふたりは30年以上、毎日肉を切り続けてきたという。

「最近では柔らかいからと、ハラミの人気が高いけど、自分で食べるならやっぱりカルビだね。肉の味はカルビにはかなわないよ」と語る豊島雅信さん。スタミナ苑では正肉は兄の久博さん、弟の雅信さんは内臓を担当し、それぞれ30年以上培ったエキスパートの目と技で閉店後から朝までかけて翌日の肉の準備をする。「カルビは濃厚で甘い脂の旨みとコクのある筋肉が口の中で溶け合う瞬間が醍醐味。うちではトモバラや肩ロース、ミスジなどのいろんな霜降りの部位をひっくるめてカルビと呼んでいる。つまり、筋肉の中まで脂が入り込んでいるいい肉、それがカルビ。ただのカルビじゃないんだ」それぞれ脂の溶け具合も違うので、その違いをも味わってほしいと雅信さんは語る。肉は最高級の黒毛和牛A-5ランクを使用しているが、ここの魅力は単にその数字だけでは語れない。「同じA-5といってもピンキリ。その日の肉を見極めて仕込みをする」と、ひとつひとつの肉とまるで対話をするかのような真摯な態度で挑む豊島兄弟。A-5の肉でも、満足ができないものなら客に出さないほど、肉の質にイノチを賭けている。交通は不便で、古めかしい雰囲気の小さなお店なのに、海外からも多数のお客が訪れ、毎日行列ができるのは、豊島兄弟の肉にかける愛情の深さが伝わっているからだろう。

TEL:03・3897・0416
住所:東京都足立区鹿浜3・13・4
営業時間:17:00~23:00(土・日・祝16:30~)月・火定休
http://www.mode-web.jp/sutamina/

本とさや

本とさやには、サービスカルビ1,600円、骨付きカルビ2,100円(写真で店主・三浦さんが手に持っている)など、カルビだけでも4種類ある。焼肉セットは6,800円~。他に、すっぽん料理もある

燃え上がる炎の中で焼かれた極厚のカルビにかぶりつく幸せ。
カルビは人間の本能を刺激する

〝ビフテキ世代?の先代が超厚切りのリブロースを焼肉にしたのが本とさやの始まり。先代の焼肉哲学を受け継いだ三浦さんは、地元のFM(最近まで出演していた)や自身がボーカルを担当するロックバンド「浅草Theとさや85」の活動を通じても、広く焼肉の魅力を伝えている。

「カルビは青春だ!」と熱く語るご主人の三浦英一さんは、カルビこそが焼肉の頂であると力説する。36年前に先代が考案した極厚にカットされた特上カルビは、それまで薄切り肉=焼肉と認識していた人々の度肝を抜いた。まるでステーキのような特上カルビ(P.17の写真)は、今も昔も本とさやの名物だ。「霜降りが旨いと言っても、脂が多すぎるとダメ。大事なのは、脂と筋肉のバランス。お腹いっぱいでも食べたくなるのがよいカルビ。私も毎日食べています」と三浦さん。口の中いっぱいに迸る肉汁は、厚切り肉でしか味わえない醍醐味なのだ。こんなに大きいのに、胃にもたれることなく箸が進むのがこの特上カルビの特長でもある。また、カルビの魅力は味だけではないとも語る三浦さん「カルビとは寿司屋でいえば大トロ、主役であり、王様なんです。カルビを食べると、誰もが幸せになれる。旨いだけじゃない、染み渡る幸福感、そして余韻の長さ。これは、他の肉では味わえないカルビだけの魅力」。本とさやの1F席では、昔ながらの七輪を使用。立ち上る炎やもくもくと上がる煙の中でエネルギッシュに肉を焼く。「焼肉は人間本来の野生を刺激するんです。焼肉を食べに行く前は、ウキウキ、ワクワクするでしょ?気持ちに前向きになる。それが青春。その頂点であるカルビは、青春そのものだね!」

TEL:03・3845・0138
住所:東京都台東区西浅草3・1・9
営業時間:14:00~翌3:00(土・日・祝日13:00~翌1:00)無休
※2011年より、土・日・祝の営業時間は12:00~0:00に変更予定

Text:永浜敬子
Photo:ただ(ゆかい)

※こちらの記事は2011年1月20日発行『メトロミニッツ』No.098掲載された情報です。

更新: 2016年9月15日

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