WORLD OLIVE OIL TRIP

|オリーブオイルと一緒に暮らそう[1]|
今、注目の産地をめぐる旅

例えば、かの『ハムラビ法典』にもオリーブのことが刻まれていたという。古代ローマ時代には、オリーブオイルは1産業として成立していた。それらは、100年、200年前の話ではありません。3,000年や5,000年というスケールです。地中海沿岸諸国の人々は、その年月をずっとオリーブと暮らしてきました。もちろん土地が栽培に適していたからもありますが、健康的で美味しい暮らしを送るのにオリーブが卓越したチカラを発揮し、人々の心を離すことがなかったからです。実は、近年、世界中でひそかにオリーブオイルの品質がググッと上昇。しかも、さらに拡大していく兆しあり、オリーブオイルはきっともっと面白いことに。…で、改めまして。

2010年、ユネスコの無形文化遺産に「地中海の食事」が登録されました。オリーブオイルの故郷と言えば、まさにその地域。地中海沿岸地方だけで、実に世界の約90%のオリーブが育てられています。しかし近年、残り10%の地域でも上質なオリーブオイルが造られるように。まずは、世界各地の産地をいくつかご紹介します。

[世界の主な生産地]

上の地図でピックアップしたのは、オリーブオイルの主要な生産国。オリーブの栽培に適する土地は緯度25度、-45度と言われており、確かに各国が横一線に並んでいるのがわかります。生産はヨーロッパの他、北アフリカも盛ん。

【スペイン】今も昔も守り続ける、オリーブオイル大国

アヒージョ 具材をオリーブオイルとニンニクで煮込む、マドリード以南の代表的なタパスの一種

農園面積:2,584,459ha
搾油所数:1,748カ所


オリーブオイル生産量、堂々の世界第1位。しかも、この地が世界有数の産地としてその名をとどろかせていたのはなんと紀元1世紀頃からで、最古の料理本を書いたアピキウスもイスパニア(スペイン)のオイルが最高だと言っていたという記録があるほど。国内の2大産地は、生産量の1/3以上を占めるオリーブオイルの首都(通称)・ハエンを擁す、南部の「アンダルシア地方」、海外でも1ブランドとして定着しているレリダを擁す、北部の「カタルーニャ地方」。この2地方だけで量産に成功しているのはオリーブ栽培に適した土地であることに加え、国策として、品種をある程度絞り込み、機械化を進め、大規模な農園経営がされているため。同時に、品質の向上、学術的研究、市場拡大にも取り組んでいます。

オリーブオイルの教育・研究機関とし て有名なハエン大学

【ギリシャ】ギリシャ文明の頃からオリーブが暮らしの一部

タラモサラタ パンまたはジャガイモのペーストに魚卵を合わせ、オリーブオイル、レモン汁、塩で調味

農園面積:1,100,000ha
搾油所数:2,050カ所

生産量ではスペイン、イタリアに次いで世界第3位。しかし、何 を隠そう、オリーブオイルの1人当たりの消費量は世界一、年間 およそ18kg! あらゆる料理にオリーブオイルを使用する、ま さにオリーブと暮らす国なのです。何しろオリーブ栽培が始 まったのは紀元前3000年頃、世界最古の生産国と言われていま す。ギリシャは半島に加え、約3,000の島々から構成される国 で、傾斜地での栽培が多く、小農園がほとんど。しかし、古くか ら守り抜いてきた畑にこだわりとプライドを持つ生産者が多 く、その品質は世界的に信頼 を得ています。育てているオ リーブの品種も非常に少な く、半分以上がギリシャを代 表する「コロネイキ種」の系 統。他は「カラマタ種」が大部 分を占めています。

公園の木、街路樹としてオリーブを見 かけることも

【イタリア】圧倒的な多様性を誇るトレンドリーダー 

【アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノ】直訳は、ニンニク・オリーブオイル・唐辛子。この3素材のパスタで、定番の家庭料理

農園面積:1,144,422ha
搾油所数:4,809カ所


イタリアのオリーブオイルは、いわば郷土の味。2大産地で国内生産量の大半が生み出されるスペインに対し、イタリアの産地は北部の一部を除く、ほぼ全土。各州の各地域で、それぞれの土地に合ったオリーブを育てているため、郷土の数だけ、味も香りも異なるオイルが生まれるのです。スペインでは約300種類とされる品種も、イタリアでは約600種類も育てていると言われています。ゆえに、農園面積、搾油所の数が他国より圧倒的で、オリーブ関連の職業従事者は100万人超。地域、生産者ごとに、オイルの個性や品質を競い合い、研究熱心で、最新技術の開発・導入に意欲的な生産者も多いため、イタリアはオリーブオイルの世界的トレンドをリードするような存在なのです。

温暖な南イタリアの方が栽培は盛ん で、オリーブの品種も豊富

【チュニジア】世界第4位! 北アフリカの地中海に面した国

【ブリック】 半熟卵がトロりと出てくる揚物。他には、ツナ、ジャガイモなどが入っていることが多い(出典: concenty.exblog.jp)

農園面積:1,704,000ha
搾油所数:1,750カ所

地中海に面した国意外かもしれませんが、チュニジアでは農業従事者の半数以上がオリーブを栽培。100万人の雇用を生み出す一大産業です。その栽培の歴史は、紀元前まで遡ることができます。しかも、昔から政府が化学肥料や農薬の使用を厳しく禁止。近年、チュニジアの有機オリーブオイルが世界から注目されつつあります。

【アメリカ】健康への意識が高まる中オリーブオイルが人気に

【グリルチキンサラダ】 オリーブオイルを用い、特産のアボカドをのせると健康志向の強いカリフォルニア風に

農園面積:12,141ha
搾油所数:50カ所

昨年、世界で一番オリーブオイルを輸入した国、それがアメリカです。健康志向の時代背景の中、その消費量はここ10年で倍増。国民1人当たりでは年間1kgまで消費量が伸びました。自国のオリーブ栽培に関しては、ワインと同様カリフォルニアが中心。品種、生産技術を研究し、低価格化に成功しています。

【チリ】着々と実力を伸ばす 今、一番の注目国

【パステル・デ・チョクロ】 肉とゆで卵、オリーブの上にコーンクリームをかけて焼いた、グラタンのようなもの

農園面積:25,000ha
搾油所数:42カ所
今、一番の注目国 始まりは、16世紀。着々と実力を伸ばすスペインに植民地化されたことで、オリーブを栽培するようになりました。農地面積が少なく、生産量は限られているものの、近年、オリーブ先進国からのアドバイスを受け、最新技術を駆使して生産。今や世界のコンペティションでも高い評価を得るなど、世界レベルの品質へ進化しています。

【トルコ】世界三大料理を育んできたオリーブ文化国家

【メゼ(前菜盛り合わせ)】 大量の前菜から始まるトルコ料理。「冷菜にはオリーブオイル、温菜にはバター」が基本

農園面積:799,141ha
搾油所数:1,500カ所

食料自給率100%という世界有数の農業国、トルコ。地中海沿岸では昔からオリーブ栽培が盛んで、特にエーゲ海の近くで栽培されているアイパルク種からは「黄金のオリーブオイル」ができると世界的にも有名です。世界三大料理の1つであるトルコ料理も、オリーブオイルを活かしたものが多くみられます。

※各国の農園面積と搾油所数のデータは、IOC(国際オリーブ理事会)による2012/13年度の概算値

世界のオリーブオイル生産量ランキング

1位 スペイン 615,000t
昨年は不作だったが今年度は1,595,400tと豊作の見込み

2位 イタリア 510,000t
今年度は450,000tと若干減少の予測

3位 ギリシャ 350,000t
気候予測から今年度は157,000tと大幅減の見込み

4位 チュニジア 220,000t
生産量ベスト10内で、中盤の常連

5位 シリア 198,000t
オリーブ先進国を脅かす生産量

6位 トルコ 195,000t
今年度は130,000tとやや減少が予測されている

7位 モロッコ 100,000t
ここ4年間は100,000t超をキープしている

8位 アルジェリア 66,000t
ここ20年で8倍以上の生産量を達成

9位 ポルトガル 59,000t
今年度は85,000tに達する見込み

10位 チリ 28,000t
最も注目の新興勢力。確実に毎年生産量が伸びている

※各国データはIOC(国際オリーブ理事会)による2012/13年度の概算値

Text:メトロミニッツ編集部

※こちらの記事は2014年6月20日発行『メトロミニッツ』No.140掲載された情報です。

更新: 2016年10月16日

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