|東京ミートアカデミー[1]|
?焼肉学部 カルビ専攻?
これからのカルビの話をしよう

本学の理念は、「東京におけるミートカルチャーを学問し、肉を五感で味わい尽くしてエンターテインすること」。そして本日、皆さんが入学されたのは、「焼肉学」を機軸に置いた「カルビ」のプロを目指すクラスです。ところで焼肉とは、日本の経済とともに高度成長し、ハレの日のごちそうとして国民の間に広く浸透してきた食。中でも、大人から子供までに愛されてきたスター的存在といえば、脂の載ったカルビでした。しかし近年では、赤身やホルモン、希少部位や熟成肉など、健康的とかお手頃とか、その他、新興勢力の肉々に圧されて、カルビはすっかりマイナストレンドに。そこで今、我が校では日本の活力を支えてきたカルビの復権を応援したいと思う次第です。ここは皆さんも、しっかり学び、ガッツリ食べ、1年間ずっと節制・抑制してきたものをすべてふっとばして、カルビとともに元気になりましょう!

[1限目]
牛肉概論
(社)全国食肉学校 三角英樹先生

[2限目]
カルビ哲学
YAKINIQUEST先生
スタミナ苑店主/豊島雅信先生
本とさや店主/三浦英一先生

[課外授業]
体験学習 旨く愉しいカルビ道!

[3限目]
実技
YAKINIQUEST/gyspy先生

[4限目]
比較文化
山梨学院大学教授/宮塚利雄先生
二本松学院 学院長/宮崎昭先生

[5限目]
目利き学
肉の田じま/田島雅之先生

[6限目]

贈り物学/小石原はるか先生

[7限目]
パーティ学
楽天市場 グルメ・マネージャー 小林正拡先生

[レポート] 焼肉カルビの進化論

[レポート] (社)全国食肉学校

[参考文献] 焼肉文学

[プロジェクト] 研究活動と報告

Outline of KALBI [1限目]牛肉概論 講師 ( 社)全国食肉学校 三角英樹先生

■和牛:基本の4品種

【和牛】 基本の4品種

1 褐毛和種
「あか牛」とも呼ばれる、放牧飼養に適した牛。熊本の阿蘇周辺で飼育されていた熊本系と、高知県で飼育されていた高知系が主。脂肪が少なく赤身が多い肉質がヘルシーだと、近年注目されている。

2?黒毛和種
最も代表的な和牛で、頭数は和牛全体の90%以上を占める。そのルーツは、山口県萩市の沖の見島という離島にいる「見島牛」と言われている。肉質が優れており、霜降りになりやすい。

3 無角和種
主に山口県で飼育されている、遺伝的に角がない品種。毛色は黒毛和牛よりも濃い黒色をしている。脂肪が少なく赤身が多い肉質である。頭数が非常に少なく、一部の地域でしか出回っていない。

日本短角種
こちらも放牧飼養に適しており、赤身が多い肉質。主に東北~北海道で飼育されている。イギリス原産のショートホーンと交雑したことから「短角」と呼ばれるが、角の長さは黒毛和種と同程度である。

焼肉世界に浸かる前に、ほんの ちょっとお付き合いくださ い。牛肉の、基本の話。

一、 部位

カルビ、カルビというけれど、それがどこの部位のことなのか実はあまり知られていないように思う。まず、そもそもカルビは部位名ではない。つまり、牛肉に「カルビ」という名前が付いた部位はどこにもない。では「カルビ」とは何なのかというと、韓国語で「肋骨」もしくは「肋骨の周りの肉」を意味する言葉で、焼肉店などでは「カルビ」というとバラ肉(あばら肉)が出てくることが多いようだ。しかし、必ずしもバラ肉とは限らず、単にサシが入った肉をカルビと呼ぶこともあり、肩ロースがカルビのこともあれば、希少部位として知られるミスジやざぶとんなんかも、カルビである。ちなみに、牛肉の枝肉(内臓を取り除き、背骨から半分に切り分けた状態)がどのような部位に分かれていくかをまとめたものが、左の図。主に焼肉に使用する部位のみで構成したので、用途を広げればこれよりも多くの部位に分けられる。「カタ」「カタロース」「カタバラ」「ロース」「バラ」「モモ」の6つに分割し、そこから細かな部位に切り分けるのが基本である。

二、 品種

スーパーやお肉屋さんに行くと、同じ 国内産と思われる牛肉でも、「和牛」と 「国産牛」という2つの表示がある。と いうのも「和牛」と表示できるのは、「① 黒毛和種」「②褐毛和種」「③日本短角 種」「④無角和種」「⑤上記4品種間の交 雑種」「⑥条件付きではあるが⑤と①? ⑤の品種間の交雑種」のみであり、例え ばホルスタイン種など海外の品種と黒 毛和種を交配した場合は日本で生まれ 育っても「和牛」とは表示できず、「国産 牛」と表示される。また、海外での和牛 人気に伴い、日本で生まれ育った和牛 の証として、2007年より主に輸出 用パッケージに「和牛統一マーク」を付 けられるようになった。

三、 格付け

焼肉店はもちろん、近頃はスーパーで も「 A5」とか「 A4」とかの等級が表 示されているのを見かける。こういっ た格付けは、牛肉を適正な価格で取引 するために(社)日本食肉格付協会が 行っているものである。具体的には、 A、B、Cの3階級の歩留等級(枝肉の 重量に対する可食部の比率)と、5段 階の肉質等級(「脂肪交雑」「肉の色沢」 「肉の締まりとキメ」「脂肪の色沢と質」 の4項目で判断)を掛け合わせた 15 段 階で格付けされる。ただし、あくまで公 正な価格取引のために設けられたもの であり、人それぞれの好みにもよるが、 必ずしもA5の牛肉が美味しいとは 限らない。等級にこだわりすぎず、目安 として促える程度がいいようだ。

食べる前に読む! 脳で味わう牛肉の話

?数年前から、カルビをはじめとした焼肉店のメニューの細分化が進んでいる。いわゆる希少部位である。また、王道の黒毛和牛以外の牛の良さも見直されつつあるなど、選択の幅はますます広がっている。そんな今だから、食べる前に知ってみたい、牛肉の基礎。

>>>牛肉の部位 焼肉編<<<
焼肉店のメニューのあの部位は、どこから分かれたお肉?全国食肉学校監修、ひと目でわかる部位の樹形図。


01.モモ/お尻の方の肉
02.ランイチ/ランプとイチボに小割
03.ランプ/ロースから続く肉 で、赤身が多く柔らかい
04.イチボ/外モモへと続く肉。希少部位として提供
05.らんかぶり /硬くて肉薄。焼肉にはあまり適さない
06.ネクタイ/希少部位。柔らかい赤身肉
07.ラン ボソ/ヒレに匹敵する柔らかさ。ラムシンともいう
08.外モモ/赤身が多く肉質は硬め
09. 千本スジ/超希少部位。スジが多く薄切りで提供される。噛むほど味が出る
10.シンタマ/ 脂肪が少なく、赤身の多い部位
11.トモサンカク/美しいサシが入るが、見た目ほどは柔らか くない
12.マルカワ/肉色はやや濃いが、肉質は柔らかい
13.シンシン/キメが細かく柔らか い。風味豊か
14.カメノコ/赤身が多く、肉質はやや硬め。ユッケに向いている
15.内モモ/ 赤身が多く、内側には脂肪がほとんどない
16.大モモ/霜降りだが肉質は硬めで、味は大味 である
17.小モモ/赤身が多く、柔らかな肉質
18.内モモかぶり/肉質が硬めで焼肉にはあ まり向かない
19.トモスネ/後ろ足側のスネ
20.バラ/牛の腹側
21.内バラ/「中バラ」と もいう。味は濃厚で風味豊か
22.ヘッドバラ/美しいサシが入るカルビ。サンカクバラから続い ている部位
23.ショートリブ/BBQにもよく使われる肋骨に付いた肉
24.カイノミ/切り出 した形が貝に似ていることから。程よい霜降りの希少部位
25.リブフィンガー/ナカオチカル ビ、ゲタカルビともいう。肋骨筋のこと
26.外バラ/「トモバラ」ともいう。内バラ同様濃厚な味 わい
27.インサイドスカート/ハラミに似た食感の赤身肉
28.ショートプレート/赤身と脂 肪のバランスがいいがやや硬め
29.フランク/赤身と脂肪が適度に入っている。形状やサシの 入り方が笹の葉に似ているため「ササニク」ともいう
30.ロース/背中側の肉
31.リブロース /柔らかく、サシがよく入り風味豊か
32.サーロイン/キメが細かく柔らかい
33.ヒレ/肉質 が非常に柔らかい
34.バット/ややモモに近い部分
35.シャトーブリアン/ヒレの中央部の 最も厚みのある部分。最高級部位
36.フィレミニヨン/ヒレのなかではやや脂肪が多い
37. カタ/「まえ」ともいう
38.ネック/首周辺の肉。赤身が多く硬め
39.カタロース/サシが入り やすく、カルビとしても出される。柔らかく風味豊か
40.チャックアイログ/カタロースの中央 部。やや脂肪が多い
41.チャックフラップ/別名「ざぶとん」。きれいなサシが入る
42.ウデ/ 旨みがある
43.ニノウデ/硬めの赤身肉で、焼肉には向かない
44.カタサンカク/比較的赤 身が多い。肉塊の2分の1は柔らかく焼肉に適している
45.コサンカク/サシが入っているよう に見えるが、肉質は硬め
46.ウワミスジ/肉質が柔らかい赤身肉
47.ミスジ/きれいなサシ が入り柔らかな肉質
48.トウガラシ/希少部位。細かなサシが入り、味はさっぱり甘みがある
49.マエスネ/肉質が硬めで焼肉には向かない
50.カタバラ/牛の胸の部分
51.サンカクバ ラ/よくサシが入り、特上カルビとして出される
52.リブフィンガー/25番に同じ
53.チャッ クリブ/サンカクバラの別名
54.ブリスケット/ブリスケともいう。肋骨の下部分
55.ペクト ラル/赤身が多く柔らかい。濃厚な味
56.ボディサイド/やや硬めで焼肉には向かない

Text:根本美保子
Illustration:あべあつし

※こちらの記事は2011年1月20日発行『メトロミニッツ』No.098掲載された情報です。

 三角英樹(みすみ・ひでき)

( 社)全国食肉学校 三角英樹(みすみ・ひでき)

群馬県にある日本で唯一の公的な食肉専門学校である「社団法人 全国食肉学校」の教諭。食肉に関する知識から取り扱いまで、食肉全般に造詣が深い。

更新: 2016年9月14日

この記事が気に入ったら
「シェア」しよう

最後までお読みいただき、ありがとうございます

pagetop