一日三食が無形文化遺産に!?

|語る和食[3]|
東京(近郊)の名店をめぐりながら、食べて学ぶ本当の「和食」

精進料理を広く伝える店
[鎌倉 不識庵]

「和食」が「日本の伝統的な食文化・和食」と言えるのは、下の4つの特徴が備わっているから。日本の豊かな自然の恵み"食材"、趣向を凝らした"料理"、健康的な"栄養"、食の場を覆う"もてなし"。これらをそれぞれ頭に入れていただいたなら、さあ、実際に心身共に「和食」を体験できる名店へご案内いたしましょう。

==============「和食」の4つの特徴==============

1.「もてなし」
主人からお客へのサービスだけでなく、お客の側からも主人への心配りもあることなど、食の場のふるまい全体に関わってくるのがおもてなし。器や生け花などを設え、季節感も大切にする。

2.「栄養」
動物性油脂が少なく低カロリー。生活に必要なエネルギーや栄養素が理想的なバランスで備わっている。行き過ぎた贅沢を抑制するために安土桃山時代に生まれた「一汁三菜」を基本とする。

3.「料理」
素材の味を最大限に引き出すための調理法、考え抜かれた調理器具を用いて作られた料理。特に、「和食」の要は出汁。最後の盛り付けに至るまで、日本人ならではの工夫と知恵が詰まっている。

4.「食材」
世界的に見ても、これだけ多種類の魚介類が獲れるのは貴重だという環境。また山の幸も豊か。四季折々の季節感を尊重し、それぞれの地域に根付いた新鮮な食材を料理に生かすことができる。

和食の発展を支えた禅の教えを家庭で作れる精進料理から学ぶ

1.特別な調味料や難しい料理法は一切なく、誰もが手軽に自宅で再現できる精進料理。

「和食」という文化にとって特徴的な、丁寧なアク抜きや食材の下ごしらえは、食材を無駄にせず使い切る精進料理の教えがルーツとか。これに留まらず、現在の「和食」が精進料理から受けた影響は計り知れません。

「精進料理は和食という文化の中の1ジャンルと考えてください」と話すのは、藤井まりさん。北鎌倉は建長寺で僧侶の食を取り仕切る"典座"を務めた夫の故・藤井宗哲氏とともに、精進料理教室「禅味会」を開いて30年以上。

以来、家庭で気軽に作れる精進料理の普及に努めています。「一から胡麻を擦るのは、大変な労力でしょう。仏教には"中庸"という教えがありますが、これは、ほどほどで良いという意味。家庭であれば、市販の胡麻ペーストを使ってもいいんです」。

さらには「禅の言葉"日新"とは、日々新たな変化を持たせること。同じ食材でも味を変えて工夫すれば、数日使えるのよ」そんなアイデアとともに藤井さんがひも解いてくれるのは、ストイックな精進料理のイメージとはかけ離れた、親しみやすい視点と言葉の数々。

私たちの日々の暮らしにもすぐ置き換えられる身近な考え方が、精進料理のベースになっていることに驚きです。「不識庵」では「禅味会」の開催の他、完全予約制で食事処としての営業も。藤井さんの手から繰り出される料理と同様に、優しくて味わい深い、藤井さんの人柄にもホッとできる。そんなひと時が待っています。

3.季節の野菜がたっぷりと使われた煮物のお椀。心身ともに健康になるというのが、精進料理の着地点なのです。4.食事は完全予約制で、予約日時は相談のうえで決めるシステム。食事も「禅味会」も、ともに電話かホームページの問い合わせフォームからのお申し込みとなります。なお、「禅味会」は初回に入会費5,000円と、講習・食材費として5,000円が必要となります。

2.日本料理店のアドバイザーや講師として、海外からお声がかかることも多い藤井さん。その柔らかい人柄も、数々のファンから支持される所以です。

鎌倉 不識庵ふしきあん

住所:
神奈川県鎌倉市稲村ガ崎3・12・25
TEL:
0467・24・3462
営業時間:
完全予約制
URL:
http://konnichiha.net/fushikian/

Text:唐澤理恵
Photo:加藤純平

※こちらの記事は2014年1月20日発行『メトロミニッツ』No.135掲載された情報です。

更新: 2016年9月23日

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