一日三食が無形文化遺産!?

|語る和食[1]
あなたは語れますか!?

世界から「無形文化遺産」として認められた「和食」。毎日接しているだけに、なんとなく分かってはいるものの、言葉で説明しようとすると、どこから語ればよいのやら...。というわけで「和食」をちょっとだけ語れるようになるために、その特徴を整理してみよう!というのが今月の企画です。

■精神性■社会性■機能性■地域性

日本各地の「和食」文化

季節ごと、地域ごとに異なる味や形があるのは、和食が“文化”だから。人々が集まって一緒に食べる、年中行事や習慣も合わせて「和食」と言えるのです。ここでは日本各地に根付いた様々な「和食」を見てみましょう。

【青森】

三方を海に囲まれ、白神山地や八甲田山などの山地も豊富。しかも冬には豪雪と厳しい寒さに見舞われる…。そんな地理と気候と上手に付き合いながら独特の食文化を育んで、今に受け継がれています。

寒干し大根
大根を一度茹で、水にさらしてから寒風に当てて乾かす「寒干し大根」。その複雑な工程は、厳しい冬の寒さをうまく利用して、自然と共に生きるという精神性が育んだ暮らしの知恵です。

煮しめ
春先に採って塩漬けして保存しておいたワラビやフキ、笹竹などの山菜を主体にして、根菜や海の幸などを昆布だしの醤油味で煮込むこの料理は、来客時には欠かせない料理の定番。

けの汁
小正月、津軽地方で無病息災を願って食べられている汁物。「けの汁」とは「かゆの汁」のこと。米が貴重だった昔、山菜や野菜を米に見立て細かく刻んで食べたのが始まり。

鱈を駆使する正月料理
鱈のアラや内臓と、大根などの野菜を味噌で味付ける「じゃっぱ汁」の他、昆布じめや人参のこあえなど、冬場豊富に獲れる鱈をまるごと1匹使った正月料理も青森ならでは。

けの汁

【東京】

今や世界に誇るグルメ都市・東京ですが、独自の食文化のルーツは江戸時代。幕府により全国から呼ばれた職人や漁師、地方からの移住者により、日本各地の食材や調理法が集まって、"江戸前"に変化したものが主流です。

葱鮪(ねぎま)鍋
江戸時代は廃棄されていたマグロのトロの部分を美味しく食べられるよう、庶民が工夫して誕生。自然に感謝し、食材を余すところなく活用してきた日本人らしい気質が生んだ。

べったら漬
江戸時代、日本橋の宝田恵比寿神社門前で売られ名物に。毎年10月の「べったら市」は現在でも大変な人出。名物の漬物が商業の神さまへの信仰と繋がり、秋の風物詩となった例。

佃煮
現在の中央区佃島付近で、漁師たちが小魚や貝類を塩や醤油で煮詰めて作り始めた。保存性の高さ、価格の安さから庶民に普及し、参勤交代の際に武士の土産として全国に広まる。

江戸東京野菜
東京近郊のみで栽培されてきた野菜で、江戸時代から伝わる伝統野菜や、明治から昭和初期に生まれた品種などの総称。江戸の食文化を支えた存在として、今再び注目を集めている。http://www.edotokyo-yasai.com/

べったら漬け/佃煮(昆布)

【香川】

瀬戸内海に面した温暖な気候の中で、山海の幸を活用して育まれた郷土食が数多く残る香川県。砂糖や塩など、料理には欠かせない調味料の産地でもあったため、独特の食文化が発達しました。

あんもち雑煮
正月に白味噌仕立ての吸い物に、小豆あんを包んだ餅が入った「あんもち雑煮」を食べる香川県。金時にんじんや大根などの野菜は「家族円満」の願いを込めて輪切りにします。

鰆の押し抜きずし
鰆漁で賑わう瀬戸内海の春。各家庭では、たくさんの鰆料理を作り、親戚を招く「はるいお(春魚)」と呼ばれる行事が盛んに。「はるいお」で供される料理の主役が「鰆の押し抜きずし」です。

年明けうどん
純白なうどんに"紅"を添えて年始に食べることにより、その年の幸せを願う年明けうどん。入れられる紅い具材は、蒲鉾やえびの練り物、金時にんじんのかき揚げなど、さまざま。

まんばのけんちゃん
葉が次々と芽をふくことから「万葉(まんば)」と呼ばれる高菜類の一種。これを細切りにして豆腐と一緒に炒めた「けんちん」が「まんばのけんちゃん」。客をもてなす卓袱料理の一種です。

年明けうどん/まんばのけんちゃん

【新潟】

全国有数の米どころらしく、米と豊かな水資源を使い、味噌や醤油、お酒などの発酵食作りが盛ん。雪に閉ざされる厳しい冬から一転、夏は30度超えの日も多く、その特異な自然環境を生かして作る保存食も発達しました。

鮭の酒びたし
越後村上地方で、塩引き鮭を1年がかりで乾燥発酵させ作る。現地で"神の恵みの魚"とされる鮭と土地の気候風土が結びついた料理。大祭のご馳走として、大切に受け継がれる。

けんさ焼き
上杉謙信が剣の先におむすびを刺し、焼いて食べたのが由来。正月の夜食に家族で食べたり、米の収穫を祝う行事食ともなった。現在も一部で夜食や酒宴の締めとして親しまれる。

三角ちまき
もち米を笹の葉で包んだシンプルな食べ物で、きな粉をまぶしおやつとして食べるのが一般的。笹の殺菌、抗菌、防腐作用など、笹の機能を利用した新潟県らしい保存食。

かんずり
妙高市で冬に作る辛味調味料。唐辛子を塩漬け後、雪原でさらし、樽に仕込んで長期発酵、熟成させる。雪深い冬を乗り切る調味料であり、またその雪を利用して味わいを深める。

【島根】

日本海に面して長く延びる海岸線と、豊富な山の恵みをもたらす中国山地に抱かれるお土地柄。古代から盛んだった製鉄、石見銀山や出雲大社など、日本の政治と経済に欠かせない要素が集まる地域だからこそ育まれた食文化が特徴的。

しじみ汁
松江・出雲にまたがる宍道湖は、海水と淡水が入り交じる、魚介の宝庫。その豊富な味覚は宍道湖七珍とも呼ばれ親しまれる。中でもしじみは日本一の漁獲量を誇る島根のソウルフード。

日々の抹茶
北東部は特に、日常に抹茶を嗜む習慣がある。作法にはあまりこだわらず、自家製の漬物等と一緒に、気さくに客人をもてなす。昔は田んぼで農作業の合間などにも一服したそう。

ぼてぼて茶
独特な長い茶筅で泡立てたお茶に、椎茸、高野豆腐、煮豆、漬物等を細かく刻んで入れるぼてぼて茶。主力産業の製鉄に従事する職人が作業の合間に食べて栄養を賄う労働食だった。

箱寿司
石見地方に伝わる箱寿司は、石見銀山が天領として栄えた江戸時代、代官や奥方が江戸の味を懐かしんで作ったことが始まりとされる。江戸文化と石見の食材が融合したこの地域独特の料理。

ぼてぼて茶/抹茶

長崎

豊富な海・山の幸。加えて、鎖国時代にも海外との交流があったため、中国、オランダ、ポルトガルなどの国々から伝えられた食文化がミックスされて、様々な長崎独特の味が進化してきた。キリスト教伝来に伴い、南蛮菓子も上陸。

かんころもち
サツマイモを薄くスライス、家の軒先で天日干しして餅を合わせた「かんころもち」が伝わる五島地方では、その気候風土を利用してサツマイモを栽培するという精神性が見て取れる。

卓袱料理(しっぽくりょうり)
和洋中が入り交じった「卓袱料理」は、江戸時代には唯一海外への玄関口だった長崎ならでは。様々な国や街の人々が集うため、上座、下座のない円卓で食事を楽しむスタイル。

煮ごみ
大村の郷土料理「煮ごみ」は、行事食として特別な日に作られた。食べ物の少なかった時代、栄養価を高めるために、野菜や椎茸や鶏肉をピーナッツと一緒に煮込んだのが発祥。

ちゃんぽん
明治30年代頃、中国福建省から来た料理人が開いた料理店で、華僑や留学生のために安くて美味しいものを、と考案されたのが長崎ちゃんぽんや皿うどん。

ちゃんぽん/南蛮菓子

Text:メトロミニッツ編集部
Illustration:西田真魚

※こちらの記事は2014年1月20日発行『メトロミニッツ』No.135掲載された情報です。

更新: 2016年9月23日

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