|“食べる”を見つめる映画[1]|
感性が豊かになる“食べる”を見つめる映画

“食べること”の積み重ねが人生の豊かさを左右する…。1日3食、1年間で1,095回の食事は日々の楽しみであり、大切なコミュニケーションの場であり、心と体を育むという重要な役目を果たします。一方で、農薬汚染や環境問題、生活習慣病の増加、食料自給率の低下などなど、悩ましい問題を抱えていることも事実。映画は、そんなふうに時代ごとに移り変わる食の現状を、ある時は直接的なドキュメンタリーで、またある時はヒューマンドラマのワンシーンで、私たちに伝え、気づかせてくれます。頭で考え始めると、息苦しくなってしまうようなテーマでも、映画ならすーっと心の中に馴染んでくる。今秋は食をテーマにした映画を沢山観て、毎日の暮らしを少し見つめ直してみませんか?食べること、食べる時間を大事にしたくなる、新しい視点を与えてくれる映画をご紹介します。

各地の映画祭をめぐる「世界に広がる“食べる”を見つめる映画トリップ」

調べてみても、「食文化」や「料理」、「食べること」を描いた作品が1つの映画ジャンルとして、何か決まった呼び名があるわけではないようですが、今、世界を見渡してみれば、各地に「食」を切り口にした映画祭をいくつか見つけることができます。それぞれどんな作品を扱い、どんな思いの下で始まったものなのか、ここでは全6カ国の“食”映画祭をめぐります。まずは東京から!

日本「東京ごはん映画祭」

食べることは生きること、そして人とつながること。
幸せ運ぶ「ごはんの時間」、おいしい映画祭、始まる。

2015年10月31日、「第6回東京ごはん映画祭」が開催されました。ここで言う“ごはん映画”とは、「食でつながる人と人を描いた映画」や「ごはんが印象的な映画」のこと。話題の新作から、懐かしの名作、海外の日本未公開映画まで、幅広い作品がラインアップされています。例えば、「ごはん」の力の1つには、家族、友人など、誰かと一緒にテーブルを囲むことで小さな幸せな時間をもたらしてくれることがありますが、人は「食」を通じて心を通わせ、誰かとつながることができるもの。そんなことに改めて気付かせてくれる作品があります。また、日本人は食材や料理を育んでくれた人に、自然に、いのちに感謝を込めて、ごはんを食べる時には「いただきます」と言いますが、そんな「いただきます」と心を込めて言いたくなる作品もあります。「食」のシーンを通じ、今日も生きていられる幸せを前向きに、明るく味わえるような作品が揃っているのです。そして、昨今、世界から注目を集める「和食」や「日本の伝統的な食」の価値と、世界有数の美食の街・東京における新しいフードカルチャーの価値を皆で共有し、少し立ち止まって見つめる場でもあるという映画祭。昨年からは、キュリナリー・シネマ部門(食映画部門)があるスペインの「サン・セバスチャン国際映画祭」とパートナーシップを結び、世界各国の素晴らしい「食映画」との交流も始まりました。開催期間は2週間、「サン・セバスチャン国際映画祭」からやってくる作品を含めて、全15の“ごはん映画”を上映。忙しない東京の日常の中でつい忘れがちな「ちょっといいごはんの時間」を届けてくれる素敵な映画祭です。

開催概要 日程:10月31日(土)~11月13日(金)
会場:シアター・イメージフォーラム(東京都渋谷区渋谷2・10・2)
公式HP:http://tokyogohan.com/
(東京ごはん映画祭実行委員会)

第6回東京ごはん映画祭上映作品ラインアップ

①料理人ガストン・アクリオ 美食を超えたおいしい革命
“食”で母国・ペルーを変えることに成功した、料理人のガストンの素顔と夢と情熱を描くドキュメンタリー作品。

②赤い薔薇ソースの伝説[1993/メキシコ]
料理を通して気持ちが伝えられるという不思議な力を持った女性・ティタの愛の物語。時に悲しく、時に美しく、そして時に笑いもある秀作。

③フライド・グリーン・トマト[1992/アメリカ]
まさに不朽の名作。老女が昔話を回想する。それは「フライド・グリーン・トマト」が人気のカフェを営んでいた2人の女性の物語だった。

④あん[2015/日本・フランス・ドイツ]
街の小さなどら焼き屋にバイト希望の老女が現れる。実は、彼女は元ハンセン病患者。誰にも生きる意味があるということを教えてくれる。

(左)料理人ガストン・アクリオ 美食を超えたおいしい革命c2014 Chiwake Films, All Rights Reserved(左中)赤い薔薇ソースの伝説cArau Films International Inc.(右中)フライド・グリーン・トマトc1991 FRIED GREEN TOMATOES PRODUCTIONS. ALL RIGHTS RESERVED.(右)あんc2015 映画『あん』製作委員会/COMME DES CINEMAS/ TWENTY TWENTY VISION/ZDF-ARTE

⑤大統領の料理人[2013/フランス]
ミッテラン元大統領の専属料理人となった女性シェフの実話をもとに描いた感動のドラマ。型破りな性格と素晴らしい料理で大統領を魅了していく。

⑥深夜食堂[2015/日本]
舞台は、深夜しか営業しない小さな食堂。店の主の人柄と心温まる料理を求めて店に集まるお客たちは、個性的で、様々な事情を抱えていた。

⑦シェフ~三ツ星フードトラック始めました~[2015/アメリカ]
一流レストランの料理長を辞め、サンドイッチの移動販売をすることになった主人公。元妻、息子、友人などに支えられ、アメリカ横断の旅に出る。

⑧麥秋[1951/日本]
『晩春』『東京物語』とともに並ぶ、小津安二郎監督の名作“紀子三部作”の1つ(ヒロインの名が紀子)。適齢期を過ぎようとする娘の結婚の物語。

(左)大統領の料理人c2012-Armoda Films-Vendome Production-Wild Bunch- France 2 Cinema.(左中)深夜食堂c2015安倍夜郎・小学館/映画「深夜食堂」製作委員会(右中)シェフ~三ツ星フードトラック始めました~c2014 Sous Chef, LLC. All Rights Reserved.(右)麥秋c1951 松竹株式会社

⑨朝食、昼食、そして夕食[2013/スペイン・アルゼンチン]
スペイン巡礼の最終地の街中で繰り広げられる、様々な「朝食」、「昼食」、「夕食」のシーン。それを食べる人々のそれぞれの人生を描く。

⑩レナードの朝[1991/アメリカ]
30年間の昏睡状態から奇跡的に意識を回復した男・レナードと、難病に挑む医師の奮闘を軸に描いた感動のドラマ。原作は、実話を基にしている。

⑪くもりときどきミートボール[2009/アメリカ/日本語吹き替え版]
発明家フリントは、コップ1杯の水を好きな食べ物に変える「食べ物マシーン」を発明する。その発明は大成功かと思いきや…。

⑫A FILM ABOUT COFFEE[2015/アメリカ/特別上映作品]
ニューヨーク、サンフランシスコ、ポートランド、シアトル、東京の“スペシャルティコーヒー”の現場を追ったドキュメンタリー。

(左)朝食、昼食、そして夕食cAction Inc.(左中)レナードの朝c1990 COLUMBIA PICTURES INDUSTRIES, INC. ALL RIGHTS RESERVED.(右中)くもりときどきミートボールc2009 Sony Pictures Animation Inc. All Rights Reserved.(右)A FILM ABOUT COFFEEc2014 Avocados and Coconuts.

⑬キッチン・ストーリー[2004/ノルウェー・スウェーデン]
1950年代、ノルウェーの田舎で年老いたイザックのもとに、“独身男性の台所事情”の調査員が現れる。2人の男性の心温まる交流を描く。

⑭グランド・ブダペスト・ホテル[2014/イギリス・アメリカ・ドイツ]
ホテルを舞台に、伝説のコンシェルジュと新米ベルボーイが常連客のマダムの殺人と遺産相続に巻き込まれる。ミステリー・コメディ。

⑮第63回サン・セバスチャン国際映画祭「TOKYO GOHAN AWARD」最優秀作品『NOMA, MY PERFECT STORM』(原題)
本年度の最優秀作品は、世界が注目するトップレストラン「NOMA」に迫るドキュメンタリー映画。

上映映画は公式HPにて掲載 http://tokyogohan.com/

(左)キッチン・ストーリーc2003 Bulbul Film AS(中)グランド・ブダペスト・ホテルc2013 Twentieth Century Fox. All Rights Reserved.(右)『NOMA, MY PERFECT STORM』(原題)cpierredeschamps2015

東京ごはん映画祭では、映画館(シアター・イメージフォーラム)での上映会以外にも、都内のレストラン&カフェでの食事とともに映画を楽しめる「レストラン&カフェ上映会」も実施している。追加上映として、アジア・プレミア上映となる『NOMA,MYPERFECTSTORM』(原題)のスペシャルディナー上映会の予約が開始された。

※こちらの記事は2015年10月20日発行『メトロミニッツ』No.156掲載された情報です

更新: 2016年9月1日

この記事が気に入ったら
「シェア」しよう

最後までお読みいただき、ありがとうございます

pagetop