#16 真夏のじゃがいも読本

神保町とカレーとじゃがいも

Photo:sono(bean) 
Text:外川ゆい

神保町とカレーとじゃがいも
神保町 欧風カレー Bondy

神保町と言えば、カレーの街として有名ですが「欧風カレー ボンディ」に、「ペルソナ」、「エチオピア」まで、神保町でカレーを注文すると、なぜか丸ごとのじゃがいもが出てくるのです。その謎について、じゃがいもを初めて出した店と言われる「欧風カレー ボンディ」で聞きました。

1番人気の「ビーフカレー」1,480円。
約15種類のスパイスと、果物や野菜を3時間以上煮込んだソースは、まずはコクのある甘みを感じ、後からクセになる辛さが追いかけてくる。じゃがいも2個付き

欧風カレー ボンディ 神保町本店
☎03・3234・2080 東京都千代田区神田神
保町2・3 神田古書センター 2F
11:00~22:30(22:00LO)
無休(年末年始のみ休)

欧風カレーとじゃがいも親密な関係の始まりとは?

カレー激戦区として知られる神保町では、専門店をはじめ、カレーを提供する店が200軒以上あると言われています。その理由は諸説ありますが、古書店街なので本を読みながら食事をする場合、片手に本、片手にスプーンと食べやすい。学校が多く、食べ盛りの学生に、安くて量の多い食べ物が重宝される。などの理由から、カレーの街に成長したようです。そんな神保町で、欧風カレーを注文するとカレーとは別皿で茹で立てのじゃがいもが丸ごと登場します。この欧風カレーとじゃがいもの関係。その発祥は、創業1973年の名店「欧風カレー ボンディ」にありました。現在でこそ親しみある〝欧風カレー〞ですが、命名し、店名に掲げたのが、「欧風カレー ボンディ」の創業者である村田紘一さんです。フランスのレストランで働き、フランス料理のソースの奥深さに感銘を受けた村田さんが、帰国後、ブラウンソースをベースに完成させたのが、ボンディのカレーなのです。
ではなぜ、丸ごとのじゃがいもを提供するようになったのでしょうか。副店長の鶴岡孝樹さん曰く、「先代の村田紘一が、じゃがいもが大好物で、北海道の男爵薯をじゃがバターとして食べていたことが大きな理由です。あとは、当時から学生の街ということがあり、カレー1人前300円前後が中心だった中で、うちは〝カレーをごちそうに〞との思いから880円で出しました。その特別な欧風カレーは、丁寧に仕込むソースが命なので、ソースをいい状態で味わって欲しいという考えもあったと思います。じゃがいもを煮込むと崩れて、ソースの味が変わってしまいますからね」。ちなみに、この丸ごとのじゃがいも、もともとは北海道産の男爵薯でしたが、現在では季節によって状態のいいものを使用しています。「常連の方はじゃがいもの種類の変化も気づいているようですね。男爵薯は炊きたてのホクホク感、メークインはねっとりとした甘さなど、それぞれの個性を楽しんでいただければと思います」
平日は20人、休日は40人ほどが行列する人気店。1日平均して段ボール8箱、休日はそれ以上のじゃがいもを提供しています。さぞ大きな鍋を使っていると思いきや、常に茹でたてを食べて欲しいとの思いから、1回に茹でる量は多くても40〜50個ずつだそう。
「よくじゃがいもの正しい食べ方を聞かれるのですが、自由に召し上がっていただくのが正解です。そのまま食べても、カレーに入れても。実は皆さんが色々な食べ方をあみ出してくれるのが、お店の楽しみでもあるんです。ただし、満腹感がある食材なので、カレーが運ばれる前にお腹一杯にならないようにご注意を。テイクアウトの袋もありますので、ぜひお持ち帰りください。冷めても美味しいですよ」

ボンディ流・美味しいじゃがいもの食べ方

カレーの横で、圧倒的な存在感を放つ丸ごとのじゃがいも。どうやって食べるかはその人次第ですが、より満喫するために一度で何度も美味しい食べ方をご紹介しましょう。

O1 じゃがバターとして食べる
カレーを注文すると、前菜のごとくじゃがいもが1人2個ずつ登場します。添えられた大きなバターを熱々のじゃがいもで溶かして、まずはじゃがバターとして堪能。

O2 シンプルにカレーを味わう
ソースをかけると、バターライスの上のチーズがとろけてコクとまろやかさがアップ。ソースを一気にかけるか、食べる都度かけるかはお好みだが、鶴岡さんはソースが冷めにくい後者派。

O3 カレーの具のようにソースに絡めて
じゃがいもをご飯にのせ、ソースと絡めて。味わいがまろやかになるので、辛さが苦手な方にオススメの食べ方です。ゴロッと大きめサイズのままかよく潰すかでも味が変わります。

O4 残ったらテイクアウトもOK
食べ応えあるじゃがいもを頑張って食べ切って、カレーを残しては本末転倒。じゃがいもは食べ切れなくても、持ち帰り用の袋を用意しているのでご安心ください。

※こちらの記事は2016年8月20日発行
『メトロミニッツ』No.165に掲載された情報です。

更新: 2018年6月12日

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