#12 真夏のじゃがいも読本

アイルランド
フランス

世界一のじゃがいも大国は何処だ!?
WORLD JAGAIMO JOURNEY

Photo:花村謙太朗 
Text:浅井直子、唐澤理恵

アイルランド

国土:約7万300㎢
人口:約464 万人
農林水産業:農地の大部分が牧草地で、畜産が主体。牛肉、バター、チーズの輸出が盛んじゃがいも生産量:410,000t(世界70位)1人あたり年間じゃがいも消費量:90.11 kg(世界16 位)

アイルランドとじゃがいもの歴史

アイルランドのじゃがいも飢饉が世界にじゃがいもを広めた!?
ヨーロッパで初めて主食としてじゃがいもを受け入れ、頼っていたアイルランド。じゃがいも栽培の拡大により、栄養不良で病死する人が減り、1754年の約320万人から1845年には約820万人まで人口が膨れ上がります。そこに襲いかかったのが1845年から数年間、じゃがいもの凶作により起こった「じゃがいも飢饉」。これにより、約100万人が飢饉などで死亡。多くのアイルランド人は祖国を離れ、アメリカなど世界各地に新天地を求めざるを得ませんでした。しかしながら、その悲劇の結果、じゃがいもがアイルランド移民と共に世界へ伝播したとも言われています。

アイルランドのじゃがいも事情

左/大きな紙袋に入ったじゃがいも。貼り紙の「Floury」(ほくほくした)は、誰もが好きな男爵系。アイルランドでは現在200種類程のじゃがいもが育てられているそう
右/食パンの上に、有名なポテトチップス「クリスプス」をのせた「クリスプスサンド」は貧乏な若者の食べ物だが、大人になってもふと食べたくなる味
取材協力・画像提供/松井ゆみ子さん
アイルランド在住ライター。『世界のじゃがいも料理』にもアイルランドのじゃがいも事情を寄稿

じゃがいも×じゃがいもの組合せも!じゃがいも愛に溢れるアイルランド
「売り場に並ぶじゃがいもの袋が10kg単位だったことが衝撃でした」と言うのは、アイルランド在住のライター、松井ゆみ子さん。「ラザニアやシェパーズパイにもフライドポテトが添えられるほど、とにかくじゃがいもが欠かせません。また、アイルランド料理のおふくろの味と言えば、じゃがいも、玉ねぎ、ラム肉を煮込む〝アイリッシュ・シチュー〞。お母さんの数だけレシピが存在します」。有名なポテトチップスブランドのテーマパークもあるそうで、アイルランド人のじゃがいも愛は世界の中でもナンバーワンかもしれません。

フランス

国土:約54万4,000㎢
人口:約6,633万人
農林水産業:農産物の輸出大国。小麦、大麦、とうもろこしなどの穀物、てん菜、ぶどう、生乳、肉類等。加工品では、ワイン、チーズなどじゃがいも生産量:6,953,300t (世界9位)1人あたり年間じゃがいも消費量:54.54 kg(世界44 位)

フランスとじゃがいもの関係

ル・コントワール・オクシタン
☎03・3476・5166
東京都渋谷区 猿楽町29・18 ヒルサイドテラスA6
11:00~22:00(LO)不定休

パルマンティエが広めたじゃがいもはフランス人のママの味
じゃがいも普及の立役者、アントワーヌ=オーギュスタン・パルマンティエ氏。パリ11区には「パルマンティエ通り」も存在し、看板には彼の肩書きや生没年まで刻まれているほど。通りには同名の駅もあり、彼が農民にじゃがいもを渡す銅像が建っています。そのじゃがいも、フランスではピュレにして離乳食にするほど身近な存在。「じゃがいものピュレは幸せな子供時代の思い出と結びついたママの味。誰もが大好きな料理です」と語るのは、パリ6区「Semilla」のシェフ、エリック・トロションさん。多くの食通が通うこちらでも、ピュレは大人気だそう。

取材協力・画像提供/勅使河原加奈子さん
フランス料理関連のコーディネーターや翻訳を手がけている

フランスのじゃがいも料理

びよ~んと伸びる不思議な料理?!食感の秘密は、地域の名物にあり
フリットにピュレ、ガレットにグラタン…フランス料理の付け合わせに大活躍のじゃがいも。種類の豊富さはさすが美食の国! でも、国土が広く地域ごとに異なる文化を持つフランスには、まだ日本で馴染みの薄いじゃがいも料理がたくさんあります。その筆頭株が、餅のように伸びる不思議な料理「アリゴ」。フランス中南部の郷土料理で、熱いうちに潰したじゃがいもに、牛乳、バター、そして現地の名産品であるチーズを加えて作られます。語源は、方言であるオック語の“サムシング”=何か。何か食べたいとき、どんな家にもあるじゃがいもとチーズでできるのが理由とか。伸ばした姿は“友情のリボン”と表現され、家族や友人と楽しく食べるのがお決まりです。

マカレルハンバーグとチーズ入り〝じゃが芋のピュレ〞アリゴ 1,900円
老舗フレンチ「レストラン パッション」のアンドレ・パッション氏がオーナーを務めるビストロ「ル・コントワール・オクシタン」では、開店当時から「アリゴ」を提供。24ヶ月熟成のコンテチーズを使い、コクのある仕上がりに。

※こちらの記事は2016年8月20日発行
『メトロミニッツ』No.165掲載された情報です。

更新: 2018年6月12日

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