#9 真夏のじゃがいも読本

中国
ベラルーシ
インド

世界一のじゃがいも大国は何処だ!?
WORLD JAGAIMO JOURNEY

Photo:近藤信也、山本尚明、宮澤元
Text:佐藤大志、浅井直子

世界一のじゃがいも生産量を誇る中国、フライドポテトの発祥地であることを誇るベルギーなど、「じゃがいも国」と呼ぶにふさわしい国がたくさんあります。そんな“じゃがいもレベル”の高い国々を巡りながら、各国のじゃがいも文化をご紹介します。
※各国の国土、人口データは外務省のHP、農林水産業のデータは農林水産省のHP、じゃがいも生産量は2013年「FAO, FAOSTAT: Production(2016年6月30日ダウンロード)」、1人あたり年間消費量は2011年「FAO, FAOSTAT: Food Balances(2016年6月30日ダウンロード)」を参考にしています。

中国

国土:約960万km²
人口:約13億7600万人
農林水産業:コメ、とうもころし、小麦は世界有数の生産国だが、生産の殆どを国内で消費している。
じゃがいも生産量:95,941,5041(世界1位)
1人あたり年間じゃがいも消費量:41.92 kg (世界62位)

中国がじゃがいも世界一の理由

生産量世界N0.1じゃがいもを主食にする国家プロジェクトも開始!
じゃがいもの年間生産量1位を誇る中国では、今年2月、「じゃがいも産業開発推進に関する指導意見」を発表しました。それは、じゃがいもを、小麦、米、トウモロコシに続く第四の主食として捉えるという内容。2020年までにじゃがいもの作付面積を拡大し、主食の消費量の30%をじゃがいもにするなどの数値目標を設定しました。早くもその発表以来、じゃがいも製品が急増。人口増が続く中国の食糧リスクの救世主として期待されています。

中国の地域別じゃがいも料理

国土の広い中国では、じゃがいもの呼び名も料理もさまざま
「中国では地域によってじゃがいもの呼び方も、北方一帯の“土豆”、上海周辺の“洋芋山”、広東の“薯仔”と変わります」と教えてくれたのは、中華料理専門ウェブマガジン「SOC(ハオチー)」の佐藤貴子さん。じゃがいも料理もさまざまで、「北方では定番の家庭料理“地三鮮”、刀削麺で有名な山西省は、じゃがいもを使った焼きそば“不炒らん子"があります。また、四川省では、汁気のない鍋料理“干鋸土豆片”などの辛い味付けが好まれ、香港の軽食処・茶餐厩(チャーチャンテン)では、中華風ボルシチともいえる“宋羅湯”が身近。雲南省では丸ごと炭火で焼き、辣粉を効かせたスパイスをつける食べ方が普及しています」。

写真左/チャオブーランズー
麺の種類が豊富な山西省の料理。じゃがいもと小麦粉で作った麺を、ねぎやニンニクなどで炒めたもの。
写真右/ディサンシィェン
大地から収穫された三つの「鮮」なもの、茄子、ピーマン、じゃがいもを炒め煮にした、北方の代表的な家庭料理。
取材協カ・写真提供/「80C(ハオチー)」佐藤貴子さん
中華の食ぺ手と作り手をつぐな、中華料理専門ウェプマンガ「80C(ハオチー)」
http://80c.jp/

中国のじゃがいも料理

井之頭五郎も食べた“じゃがとろ”四川料理の癒しの存在
約1億と世界一じゃがいもを生産する中国。名産地の東北地方はじめ全土で愛される食材です。出回るじゃがいもの品種も多く、デンプンが多く含まれるものは肉と一緒に甘辛く煮込む、少ないものは細く切って他の野菜と炒めるなど、使い分けて料理されます。現地の味を楽しみたいなら、TVドラマ『孤独のグルメ』にも登場した、重慶市出身の黄革(ホアンクン)さんの手料理が味わえる「四川家庭料理珍々(ぜんぜん)」へ。四川と言えば鮮烈な辛さが特長のひとつ。じゃがいもは火鍋の具にしたり、青唐辛子と炒めたりもしますが、そんな料理の中で醤油味のあんがかかった「じゃがとろ」は舌も心もほっと和む味。するすると胃袋に入り、レンゲを持つ手が止まらなくなります。

じゃがとろ1,242円
1時間ほどゆでたじゃがいもをつぶし、油で軽く炒め、別に作ったひき肉とザーサイの醤油あんをかけた一皿。黄さんの母が作っていた料理を基にし、あんかけにアレンジ。

四川家庭料理珍々
☎03·3671·8777
東京都江戸川区西小岩4·9·20島村ピル1F
18:00~22:00 月定休

ベラルーシ

国土:約20万7,600㎢
人口:約950万人
農林水産業:ジャガイモを筆頭に、亜麻、小麦、ライ麦などが栽培され、酪農も盛ん
じゃがいも生産量:5,911,160t(世界11位)
1人あたり年間じゃがいも消費量:185.23kg(世界1位)

ベラルーシがじゃがいも世界一の理由

「じゃがいも人」と呼ばれるベラルーシ人は、個人の消費量世界一!
「私たちベラルーシ人は、周りの国から“ブリバッシュ(じゃがいも人)”と呼ばれるほどのじゃがいも好き」と笑うのは、ベラルーシ料理店「ミンスクの台所」店長、バリシュク・ヴィクトリアさん。世界平均の年間の1人あたりの消費塁約30kgに対し、ベラルーシは、なんと約185kg。「じゃがいも料理は20種類くらいならパッと思いつきます。主食としても茹でたじゃがいもは常に食卓に上りますし、冷蔵庫には常にマッシュポテトが入っています。今回紹介した家庭料理“ドラニキ”は4人、家族で大体50枚は作ります」。近頃では、少しでも早く新じゃがいもを手に入れたいベラルーシ人に向けて、暖かい気候の隣国、モルドヴァでもじゃがいもを作るようになったそう。

写真左/毛皮のコートを着たニシン
1,380円
茄でてからすリおろしたじゃがいも、卵、玉ねぎなどを和え、塩漬けのニシン、ピーツを重ねたクラシックな料理。誕生日やお正月などお祝いの時にみんなで囲むごちそう
写真右/ドラニキ(ひき肉入り)
1,780円
外側はカリッ、中は驚くほどモチモチの食感がたまならいポテトパンケーキ。生のじゃがいもをすりおろし、ひき肉を挟んで焼く。ペラルーシ人が大好きな家庭料理の1つ

ミンスクの台所
☎03・3586・6600
東京都港区麻布台1・4・2
月~金17:00~22:30、土17:00~22:30 日定休ミンスクの台所

インド

国土:約328万7,469㎢
人口:約12億1,057万人
農林水産業:世界有数の穀物生産国であり、米、小麦などの生産が盛んで中国に次ぐ世界2位。じゃがいもの生産塁も上昇傾向に
じゃがいも生産量:45,343,600t(世界2位)
1人あたり年間しやがいも消費量:23.27kg(世界89位)

インドのじゃがいも料理

大航海時代、多彩なスパイスとともにじゃがいもが伝わったインド。現在、12億人の多様な民族が住む国の食卓に欠かせない食材になりました。日本のじゃがいもに比べて甘味が少なく、硬く、小ぶりなものが市場に多く出回るそう。安価で入手しやすいことから主食として毎日のように食べる人も。カレーの具材にはもちろん、北部では小麦粉の皮で包んで揚げて「サモサ」に、南部では米と豆の生地のクレープ「ドーサ」の中身にと、引っ張りだこです。数多いじゃがいも料理の中で、現地の5つ星ホテルでシェフを務めた料理人が腕を振るう砂リバラジ」のおすすめが「アルポンダ」。おかずやおやっとして定番のコロッケのような料理でひよこ豆の粉の衣はサクッと軽い歯触り。マッシュしてクミンやマスタードシードなどと炒めたじゃがいもはフワッと軟らかく、スパイシーな味付けが後を引きます。

 

ルボンダ 800 円
長野・上野原産のオーガニックじゃがいもを使用。ココナッツのソースで味わう

シリパラジ水道橋店
☎03・6265・6969
東京都千代田区西神田2・1・11 1・2F
11:00~15:00、17:00~23:00
無休

※こちらの記事は2016年8月20日発行
『メトロミニッツ』No.165に掲載された情報です。

更新: 2018年6月12日

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