#6 真夏のじゃがいも読本

日本人とコロッケとじゃがいも
ポテトチップス Q&A

Photo:永瀬沙世 Styling:コギソマナ Hair&Make:足立真利子 Model:玉城ティナ Text:野中ゆみ

日本人とコロッケとじゃがいも

チョウシ屋のコロッケは180円。コロッケパン(コッペパンor食パン)は300円。なお、毎日、大人気につき午前の営業で売り切れとなる場合がほとんど。

南米原産のじゃがいもが日本に入ってきたのは、江戸時代初期のこと。意外にもサツマイモよりも以前に渡来しています。でも、いかがでしょう? そんなにも昔から長く付き合っているわりに、日本で生まれたじゃがいも料理って、いくつ挙げられますか?コロッケ、肉じゃが、ポテトサラダ…?

そう。実はじがいもは、日本人の食文化とはあまり相性が良くない野菜で、普及するまでに随分の年月を要しました。それは、和食の主役がお米のご飯であるということにも一因があるようです。例えば、一汁三菜とは、主役であるご飯を美味しく味わうために考えられた献立。三菜とは、魚系が中心の「主菜」、野菜料理の「副菜」、豆腐料理や納豆、煮物などの豆系を中心とした「副々菜」というのが基本ですが、動物性たんぱく質や脂肪が少なく、素材の味を生かすような調理法をする日本の食文化において、じゃがいもの味は淡白。ゆえに第二次世界大戦後に食生活が洋風化するまで、じゃがいもの料理と言えば、肉じゃがかコロッケか、いずれかにほぼ限られていたようです。
そんなじゃがいもにとってアウェーな国・日本の中で、コロッケは堂々、市民権を得たじゃがいも料理。大正時代に入ると「今日コロッケー、明日もコロッケー」という『コロッケの唄』が大流行し、カレー、とんかつととともに「三大洋食」の地位を獲得しました。ルーツはフランス料理の「クロケット」だと言われていますが、いわばクリームコロッケの「クロケット」に対し、いつ誰がじゃがいもを使い始めたのか、その発祥は定かではありません。ただ、これだけは言えるのではないでしょうか。フランス料理の「カツレツ」がごはんに合うよう日本流にアレンジされたのが「トンカツ」であるように、「クロケット」も中のクリームソースをじゃがいもに変えることで、ごはんのおかずになることに成功した…?
「うちのコロッケはじゃがいもの他に、肉、玉ねぎが入っています。作り方は、一度もずっと変えていませんが、時代ごと、味は多少変わってきたかもしれません」さて、突然ですが、ここでP12の写真の店、昭和2年創業の東銀座・チョウシ屋さんに話に耳を傾けてみてください。チョウシ屋のコロッケはごくシンプルな作り方で、じゃがいもの味がダイレクトに伝わってきます。しかも、使用しているじゃがいもはオーガニック。季節ごとに〝今、手に入る最も美味しいじゃがいも〞を使っています。
「昔のじゃがいもは味が淡白だったので、コロッケにも肉を加えて食べごたえを出し、玉ねぎで甘みを出していましたが、今はその必要がないくらい…。
召し上がっていただくとわかると思いますが、じゃがいもがホクホクしていて、甘みも風味もしっかりあるでしょう。確かに、じゃがいもが一番引き立つような作り方をしてはいますが、最近はじゃがいもと肉と玉ねぎがそれぞれ味を主張するようになりました」近年、じゃがいもが脱・淡白宣言!?おかげで今、チョウシ屋のコロッケも史上最高に美味しくなっているようです。

ポテトチップス Q&A
日本一のじゃがいも企業(!?)レポート

このたび、じゃがいも特集のためにいろいろと調べている中で、出会ったのがカルビーのホームページでした。見れば、じゃがいもの生産地、生産者情報をはじめ、「じゃがいも」への取り組みが事細かに公開されています。で、これまであまりにも身近なスナック菓子すぎて深く考えたことはありませんでしたが、この機に聞いてみることにしました。そう、ポテトチップスの“じゃがいも”のこと。カルビー研究開発本部、足立紘朗さんに質問しました。

 

Q:ポテトチップスに使用されているじゃがいもは何種類くらいで、どんな品種ですか?
A:20〜25種類です。でも、メインは3種類で、「トヨシロ」「きたひめ」「スノーデン」を合わせると全体の約8割ですので、ほぼ大半を占めますね。どれも加工用のじゃがいもで、トヨシロは薯の風味の強い品種。きたひめやスノーデンはさらに糖分が低く、貯蔵に適した品種です。男爵薯やメークインなど、糖分が多くて甘いじゃがいもは焦げやすく、薄くスライスした揚げ物には適さないのです。

Q:契約している農家さんは何軒くらいありますか?
A:全国に1800軒くらいですねしかし、やはり自然を相手にしている難しさは付き物です。ポテトチップスはいつどこで買っても同品質でないとなりませんが、じゃがいもは農作物なので毎年の収穫にはバラつきがあります。だから、全国の契約農家さんを回る〝フィールドマン〞 というスタッフが30数名いて、じゃがいも作りのアドバイスをしたり、情報を届けています。さらに、工場ごとにスライスの厚さ、揚げる時間や油の温度などを微調整し、〝パリッとして、口どけが良いこと〞を守っています。製品パッケージに記載されたデータを入力すると、生産者や生産地、生産工場などの情報を得ることができますよ。

Q:それにしても、ポテトチップスには多種多様なフレーバーがありますが、最近、ヒットした味は何ですか?
A:そうですね。例えば「しあわせバタ〜」はバターとはちみつ、パセリ、マスカルポーネチーズの4素材を合わせたもの。塩味が基本のポテトチップスに甘味を加えることは今まであまりありませんでしたが、予想以上にご好評いただきました。また、日本のお客様は春夏秋冬、季節感のある商品を好まれますね。あと近年は、九州ならではの甘辛いしょうゆの味わいを再現した「ポテトチップス九州しょうゆ」などの〝ご当地ポテトチップス〞も人気が高いです。期間限定・地域限定商品を合わせて年間200種類など発売しています。

上に並んだポテトチップスは、定番を中心とした顔ぶれです。1964年に発売した「かっぱえびせん」を大ヒットさせ、1972年「サッポロポテト」発売を経て、1975年、いよいよ「ポテトチップス」を発売させたカルビーは、以後「じゃがりこ」、「じゃがピー」などのじゃがいもスナックの名作を次々と生み出してきた企業。ちなみに、パッケージのキャラクター(通称“ポテト坊や”)は1976年に初登場。手掛けたのは、イラストレーターの原田治さん。カルビーHPには商品情報の他、じゃがいも情報も満載です。
カルビーお客様相談室 ☎0120・55・8570(平日9:00~17:00) http://www.calbee.co.jp/

※こちらの記事は2016年8月20日発行
『メトロミニッツ』No.165に掲載された情報です。

更新: 2018年6月12日

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