# 12|赤ワインと風土料理

その土地でしか造れないワインを求めて

日本のワイナリー訪問記

日本のワインが今面白くなっているなら、実際に造られる現場を見てみたい! ということで今回向かったのは、滋賀県。決してワイン大国ではありませんが、国産の生ぶどうのみを使った、個性的な“にごりワイン”を日本で唯一、専門で作っているという「ヒトミワイナリー」の噂を聞いて訪れました。

ヒトミワイナリー [滋賀県東近江市]

滋賀県の東部、三重県鈴鹿市とも隣接する東近江市に1991年創業。元々アパレルメーカーを営んでいた創業者の図師禮三氏が、ワインを愛するあまり、自信でもワインを作りたいと思い、すべてゼロからのスタートで自家農園のブドウ畑やワイナリーを立ち上げたのが始まり。現在は日本の生ブドウを100%使った、無濾過の“にごりワイン”を専門で作っている。

滋賀の風土とぶどうを大切にする にごりワイン専門ワイナリー

琵琶湖の東、秋は紅葉が有名な滋賀県東近江市。美しい山間の自然に囲まれたこの地に、日本で唯一の“にごりワイン”を専門で造るヒトミワイナリーはあります。ところで、そもそも“にごりワイン”とは、どんなワインなのでしょうか。「一言で言うと、無濾過ワインです。ワインは通常、澱などの醸造過程でできる沈殿物を濾過してから、瓶詰めを行います。そのほうが品質が安定して、クリアな外観になるからです。でもにごりワインは、あえて濾過せずにそのまま手で瓶詰めしています」と、ワイナリーのスタッフ・澤田枝里さんは教えてくれました。そんなヒトミワイナリーも、創業当初は教科書通りのクリアなワイン造りを行っていましたが、なかなか理想の味に近づけることができず、しばらく苦心したと言います。でもある年、製造途中のワインの出来を確かめるために、タンクからすくって飲んだ“にごったワイン”の美味しさに作り手も驚き、これをお客さんにも飲んでもらったところ、大好評。それから徐々に、にごりワイン一本で勝負していくようになったのです。

では、一般的ではない無濾過のワインが、なぜ美味しくなるのかと言うと「ワインの沈殿物の中には、様々なアミノ酸、ミネラル、食物繊維などの成分が含まれています。それらが旨みや独特の風味を生み出しているのです」と澤田さん。また、ヒトミワイナリーは全て国産の生ぶどうを使い、日本のぶどうならではの繊細で柔らかい味わいを活かしたワイン造りを徹底しています。中でも、「その土地、その季節に収穫した物を食べるのが身体に良い」という仏教用語を冠した【身土不二】シリーズは、滋賀県内の農園で育ったぶどうを使用し、滋賀のテロワールを表現することにチャレンジしたワインです。

「このワインが滋賀に根付いた食文化の1つとして、全国の方に認知してもらえることを目指しています。琵琶湖があり、気候も温暖で自然豊かな滋賀で育ったぶどうだから、きっと来年も美味しいワインができると思いますよ」

上のお2人は醸造スタッフの山田さんと、佐藤さん。各地の農家から届いたぶどうの味わいを見極めて、ヒトミワイナリーならではのワイン造りを行っている

ShindoFuni Imajo Nobata 2015 赤(シンドフニ イマジョウ ノバタ)

その土地のその季節に収穫した物を食べるのが身体に良いという「身土不二」の精神を表現したシリーズで、こちらは滋賀県長浜市にある今荘葡萄園で栽培されたマスカットベリーAを使用。2015年産は酸味、甘味、渋みのバランスが取れたぶどうだったため、除梗破砕後、あえて温度管理せず自然発酵させ、今荘ぶどう園のベリーAが持つ土のような香りと優しいベリーAの香りを表現した1本。HPより通販も可能。2,700円

ヒトミワイナリー
☎0748・27・1707
滋賀県東近江市山上町2083
営 10:00~18:00
無休

※こちらの記事は2017年10月20日発行『メトロミニッツ』No.180に掲載された情報です。

更新: 2018年4月20日

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