# 9|赤ワインと風土料理

ワイン生産国・消費国から見る

世界のワイン事情

Text 松島千冬

2016年の世界のワイン生産量は、約267億ℓ。イタリア、フランスが1位、2位を争い、この2カ国で世界の約4割を占めているという構図は毎年変わりません。しかし、その一方で、生産量はまだ少ないものの、近年ワイン生産地は世界中に広がりつつあります。

世界に拡大するワイン産地 気候温暖化の影響も

ワイン用ぶどう栽培には、年間平均気温が10~16℃が最適と言われ、北緯、南緯ともに30~50度の「ワインベルト」と呼ばれる地域にほとんどのぶどう生産地が集中しています。しかし、近年では地球温暖化の影響や、栽培地の工夫により、以前ならワイン産地として想像できなかったような国で、ぶどう栽培やワイン醸造が始まっています。例えば、北緯49~61度に位置するイギリス。以前は気温が低すぎてぶどうが完熟しないと言われていましたが、現在は温暖化の影響もあり、ワイン造りが盛ん。また、最近では北欧でもぶどう栽培が行われています。

一方、アジアでは、インド、タイ、ミャンマー、カンボジアでもワイン生産が始まっています。暑そうなイメージがありますが、山間部など昼夜の寒暖差が激しいエリアなどに畑を作り、ぶどうを栽培。〝新緯度帯のワイン(New Latitude Wine)〟として、注目を集めています。

アメリカと中国が ワイン消費を拡大中

では、今度は消費量について見てみましょう。上位はアメリカ、フランス、イタリア、ドイツ、中国の5カ国で、実に世界の約半分のワインを消費しています。中でも注目は、アメリカと中国。ヨーロッパ諸国が横ばいもしくは微減する中で、この2カ国の消費量は拡大傾向。世界的に見ても注目に値する非常に大きなマーケットとなっています。ちなみに、日本は3.5億ℓで第15位。成人1人当たりに換算すると、年間で3.7ℓ。世界に比べると、その量はまだまだ少ないですが、過去最高を更新中です。

データで見る 日本のワイン事情

ここ10年余りの間に日本のワインは、質が上がり、飲み手も増え、成長のスパイラルが続いています。そんな日本のワインですが、最近ようやくその定義ができたのをご存知でしょうか? ここでは、日本ワインとは何か。どんなぶどう品種で造られているのかをお伝えします。

<DATA 1> 国内製造ワインにおける “日本ワイン”の割合

国税庁は2015年10月、「日本ワイン」とは国産ぶどうのみを原料とし、日本国内で製造された果実酒のことのみを呼ぶというルールを発表しました。そんな日本ワインが実際どれほど造られているかをみてみましょう。

上の表は、国税庁が発表した日本ワイン、国内製造ワイン、輸入ワインの区分。これまで日本では、輸入原料を使用したものも「国産ワイン」などと呼ばれていましたが、この法的な定義により、施行予定の2018年10月30日からは、輸入した濃縮果汁等を使用した場合は、その旨をラベルに明示することが義務付けられます。では、実際、日本国内で製造されるワインのうち、「日本ワイン」がどのくらいかというと、2015年の生産量は18,613kl。これは国内製造ワインのうちのわずか18.4%。それ以外の81.6%は海外からの輸入原料や濃縮果汁で造ったワインと、海外原料に依存しているという状況がわかります。

<DATA 2 >ワイン原料用ぶどう 受入数量ランキング

「日本ワイン」が明確化されたことにより、日本で栽培されるぶどう品種にも注目が集まります。ランキング上位には日本の気候に合う日本の固有品種やアメリカ系品種が多いですが、近年ではヨーロッパ系品種も増加傾向に。

日本を代表する品種である甲州とマスカット・ベーリーAが、それぞれ1位に。近年では、日本ワインを海外へ輸出するケースも増えていて、2010年には甲州が、2013年にはマスカット・ベーリーAがO.I.V.(国際ぶどう・ぶどう酒機構)のリストに登録されました。これにより、この2つの品種のワインをEUに輸出する際に品種名をボトルに記載できるようになり、今後のさらなる発展が期待されます。

出典:国税庁「国内製造ワインの概況(平成27年度調査分)」 ※( )内は全体に占める割合 ※ワインの原料とするために受け入れた国産生ぶどうの品種別数量の集計値であり、実際にワイン原料に使用した数量とは符合しない。

※こちらの記事は2017年10月20日発行『メトロミニッツ』No.180に掲載された情報です。

更新: 2018年4月20日

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