# 3|赤ワインと風土料理

「マンダリン オリエンタル 東京」のレストランが提案する

赤ワインと風土料理②

Photo 柳大輔 Text 佐々木ひろこ

江戸時代から脈々と継がれてきた歴史と伝統を重んじる街、日本橋。その中心地とも言える日本橋室町で、ひときわ目立つ存在の優美な佇まいが国の重要文化財「三井本館」、そして、その隣に凛とした姿でそびえ立つ「日本橋三井タワー」の上層階に位置するホテルが「マンダリン オリエンタル 東京」です。ホテルの玄関口・フロントは最上階の38Fにあり、眼下には東京駅や首都高速の躍動感あふれる風景、天気が良ければ富士山まで望める東京の大パノラマが広がっています。そんな最上級のホテルが誇る4つのレストランのシェフたちに、この度「風土料理」というテーマの下、それぞれ料理をご紹介いただきました。

さて、今更ながら本特集では「風土料理」という言葉を使用します。それは「どこか特定地域の『風土』を伝えてくれる料理」のことで、伝統的な郷土料理でも、独自の表現を込めて作られた料理でも構いません。その土地の食材、歴史・文化を知るシェフがイメージしてご提案いただいたものならすべて「風土料理」と呼ばせていただきます。そこに、その料理と同じ「風土」で育まれた“赤ワイン”を合わせて楽しんでみませんか?というのが本特集。まずは、ここにご登場いただいた「マンダリン オリエンタル 東京」4つのレストランのシェフたちと1人のソムリエが提案する「赤ワインと風土料理」をどうぞご覧ください。

マンダリン オリエンタル 東京

2005年12月2日、日本橋に開業した5ツ星ホテル。「センス・オブ・プレイス=立地する土地柄と文化に敬意を表するホテルづくり」を追求している。
東京都中央区日本橋室町2・1・1
☎03・3270・8800(代表)
フリーダイヤル0120・806・823(レストラン総合予約/9:00~21:00)

イタリアンダイニング「ケシキ」

イタリアンダイニング「ケシキ」料理長
アルフォンソ クレチェンソ シェフ

美食の街として知られるイタリア・ナポリ出身。ヴェニスやアマルフィ海岸、そしてミラノの星付きレストラン「VUN(Park Hyatt Milan)」で研鑽を積み、その後ドバイに拠点を移す。料理長を務めた「Splendido(Ritz-Carlton, Dubai)」が著名誌で4年連続でベストイタリアンレストランに選ばれるなど、世界で高く評価された。食材への深い探求心とグローバルな視点を持ちながら、2017年より「ケシキ」の料理長に就任し、四季折々の日本の旬の食材を厳選して取り入れている。

赤ワイン&シェフのグランマの味・ラザニア

イタリアはナポリ出身のアルフォンソシェフのスペシャリテは、「豚肉と仔牛のナポリ風ラザニア」。シェフが子どもの頃、近くに住むグランマが週末ごとに親族を集め、振る舞ってくれたという思い出の味をベースに作り上げたラザニアです。一般的に知られる北イタリアのラザニアとは異なり、軽やかなラグーと紙のように薄いパスタ、サラミ、そしてスカモルツァチーズを重ねた穏やかな味わいで、イタリアの家庭料理の健やかさを伝えてくれる1皿です。ワインはナポリ近郊・タウラージ村の「ドンナキアラ 2011」。熟成が進んだタウラージのワインは、上品でエレガントな味わい。シェフも「一番好きなナポリのワイン」と顔をほころばせます。

<WINE>
ドンナキアラ タウラージ 2011[イタリア カンパーニャ州]
ナポリ近郊のワイナリー。本来は力強くスパイシーな黒ぶどう品種、アリアニコ100%のワインだが、熟成を重ね柔らかな味わいに

<DISH>
豚肉と仔牛のナポリ風ラザニア 
ゆで卵 ミートボール [イタリア カンパーニャ州]
丹念に仕上げたラグーとホームメードのパスタ、スカモルツァチーズなどで組み立てた、軽やかな味わいの家庭的なラザニア

イタリアダイニング「ケシキ」

ブレックファストからディナーまで、息を呑む眺望もご馳走の“天空のダイニング”。 アルフォンソ クレチェンソが創り出す、ラスティックで伝統的なイタリア料理を提供する。店内には8席限定のピッツァバーも併設 。
マンダリン オリエンタル 東京 38F
営6:30~23:00 ※土日祝は朝食の予約不可

モラキュラーキュイジーヌ「タパスモラキュラーバー」

モラキュラーキュイジーヌ「タパスモラキュラーバー」料理長
周 雁平シェフ

周 雁平(チョウ ニヤンピン)シェフは香港出身で、料理人としてのキャリアを香港のホテルよりスタートさせた。1996年、ピンシェフはスイスに渡り、いくつかのファインダイニングにて修業。その後もヨーロッパの数々のダイニングで研鑽を重ね、2005年、「マンダリン オリエンタル 香港」に入社し、配属先のプライベートダイニング「クリュッグルーム」でその才能を開花させた。店名の「モラキュラーキュイジーヌ」とは、科学的な観点から調理する「分子ガストロノミー」の意味。

赤ワイン&新感覚のチキンパルメザン

チキンパルメザンと言えば、チキンカツレツにトマトソースとパルメザンチーズを重ねて焼いたミラノ風カツレツのこと。これがアメリカに渡るとパスタと一緒にサーブされるのが定番です。それを「タパスモラキュラーバー」のピンシェフらしく、分解・再構築したのがこの料理。まずパルメザンチーズはゼリー状ヌードル、チップとソースという3種類のパーツに変容し、チキンカツレツはイタリアンスパイス香る鶏内もも肉のから揚げになりました。さらにトマトソースは1粒のマイクロトマトで表現。バラバラに見えるパーツですが、口に入れると1つにまとまり、伝統的な造りのバランスの良い「バローロ」ががっちりと受け止めてくれます。

<WINE>
バローロ カンヌビ 2011 フラテッリ セリオ エ バッティスタ ボルゴーニョ
[イタリア ピエモンテ州]
ピエモンテ州・バローロ地区産、ネッビオーロ種100%の伝統の1本。柔らかい果実味の中に、エレガントなタンニンと酸味を感じます

<DISH>
チキンパルメザン パスタ / トマト[イタリア]
パルメザンチーズのゼリーヌードル、チップ、ソースに、鶏のから揚げとマイクロトマトを組み合わせ、チキンパルメザンを表現した料理

モラキュラーキュイジーヌ「タパスモラキュラーバー」

8席限定のバーカウンターで過ごす2時間のコースは、斬新な食の実験室のようなエンターテインメント。料理は一口サイズで、新しい食感や香り、斬新なアイデアが驚きを与えてくれる 。
マンダリン オリエンタル 東京 38F
営ランチ13:00~(土日祝のみ)、ディナー18:00~または20:30~ ※完全予約制

「マンダリン オリエンタル 東京」シェフソムリエ 加茂文彦さんに訊いた"赤ワインと風土料理"

「マンダリン オリエンタル 東京」シェフソムリエ
加茂文彦
3ツ星「リュカ キャルトン」など海外で活躍した後、「ザ・ウィンザーホテル洞爺」シェフソムリエを経て、2005年より現職

「100%ではありませんが、郷土料理とその土地のワインの組み合わせは高確率で相性が良いと思いますよ」。そうおっしゃる、マンダリン オリエンタル 東京のシェフソムリエ・加茂文彦さん。加茂さんは、前のページ(P26~27)でご紹介した、ホテル内の全レストランにワインを提供している「ザ・セラー」の主でもあり、そこに集いし約500種類9,000本ものワインの中から、どんな料理にも的確にマッチする1本を選び出すという人物。ここにご登場いただいた4人のシェフがそれぞれ提案してくれた「風土料理」にも、同じ“地方性”を持つ赤ワインを厳選してくれました。「今回は『赤ワイン』がテーマですが、確かに寒い季節に飲みたくなるというのはありますね。例えば、白ワインは渋み成分をほとんど含まず、冷やして飲むのが美味しいという特徴があります。一方、赤ワインは造る時にぶどうの皮や種も使用するため渋みがあり、冷やすとそれがえぐみのように感じることも。だから、少しぬるめ(14〜18℃)の温度で飲んだ方がまろやかな味わいになるのです」。また、その赤ワインの渋み成分(タンニン)はポリフェノールの一種で、血行促進作用が体を温めてくれることも期待できるようです。「ワインの原料であるぶどうも、料理に使う食材も、同じ風土の中で育てば味の方向性は近くなると思います。また、各地の料理は長い歴史の中で、地元のワインとともに親しまれてきた文化。寒い季節に『赤ワイン』を『風土料理』とともに楽しむのは素敵だと思いますよ」

※こちらの記事は2017年10月20日発行『メトロミニッツ』No.180に掲載された情報です。

更新: 2018年4月20日

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