東京|ホテルレストランのチカラ #7

“食”に強いホテルの舞台裏

ロイヤルパークホテルのチーム力

Photo 小林秀銀 Illustration わたなべろみ

「私の良いところを見習って、いつか私を追い越しなさい」。初代総料理長の嶋村光夫ムッシュにはそんな口グセがあったと言います。その嶋村ムッシュの薫陶を受けて、高みを目指してきた料理人たちが、3代目の総料理長・飯村功さんを筆頭に1つのチームを築き上げ、「食のロイヤルパークホテル」という評判を確固たるものにしました。ここではチームの裏側を、料理人たちの言葉を集めながら紐解いていきます。最初は、総料理長・飯村功さんのインタビューから!

1989年開業

「ロイパ」の愛称で親しまれて約30年。
実直なおもてなしの、居心地良いホテル

「粋な街の、意気なおもてなし」をコンセプトに、人形町、茅場町、兜町などに隣接する日本橋蛎殻町に位置し、下町観光、ビジネスの拠点としても利用されている。東京メトロ半蔵門線水天宮前駅直結で、アクセスも便利
☎03・3667・1111(代表)
☎03・5641・3600(レストラン予約/9:00~20:00)
東京都中央区日本橋蛎殻町2・1・1

総料理長 飯村功さん
KOU IIMURA

1958年生まれ。都内のレストラン、ホテルで経験し、1989年の開業とともにロイヤルパークホテルに入社。2000年から1年間は、在米日本国大使公邸料理人として出向。2014年、総料理長に就任

飯村功総料理長が語る
「私たちのチームが強い理由」

 今は、「同じ価値観を持つ人間だけが残った」というのが正しいのかもしれません。ロイヤルパークホテルという会社の中に「調理」という部署があるわけですが、もともとは約30年前(1989年開業)、外部からやってきた料理人たちの集まりでした。中には、以前の仕事場とのやり方の違いでモメる人がいたり、「俺が俺が」という我の強い料理人もいましたが、これから1つの目標を定め、皆がそこにベクトルを合わせて進んでいかなければならない中では、いくら技術や知識があっても組織と馴染めない人は残っていけません。そんなバラバラな料理人たちの上に立ち、指揮をとったのが、初代の総料理長・嶋村光夫ムッシュ。現在、洋食・和食・中華・ベーカー・ペストリーの各セクションの料理長は勤続30年のシェフが揃っていますが、かつて嶋村ムッシュと2代目の森道雄ムッシュが示してくださった方へ向かい、ともに歩んできたチームなのです。だからこそ、よくセクションごとの縦割り組織になりがちといわれるホテルの調理部でありながら、私たちは横のつながりが強いのが自慢。日々、料理長同士がシェフズルーム(事務所)でデスクを並べながら、自然とコミュニケーションをとっています。

私たちのチームが真骨頂を発揮するのは、「宴会」だと思います。和洋中が上手く連携を取りながらメニューを組み立て、どんなに大きな宴会でも最上級のサービスを提供できるということに自負があるのです。300人にフランス料理のフルコースをお出しするにしても、冷たいものは冷たく、熱いものは熱いうちに一斉に提供すること、そういう基本を徹底して行っています。また、「これを使ってください」と食材を持ち込まれる方から、アレルギーをお持ちの方、アルコールがダメな方など、何百人の中の1人に合わせた料理を用意してくださいというオーダーまで、できることは可能な限り引き受けてしまいますね。ご要望にお応えできないことは単純に悔しいですし、無理難題ほど、私たちのチームワークの見せ所でもありますから。

3代目の総料理長という肩書きをいただいた以上、私には次の世代を育てていくという大切な役目があります。昨年も、「フランス料理最優秀見習い料理人選抜コンクール」(*)に、「お前ならいける」と思った1人を1カ月半付きっきりで、徹底的に仕込んで挑みましたね(惜しくも2位に)。よく、総料理長自ら…と言われることもありますが、私は、やはり現場が全てだと思っているんです。高い帽子をかぶって、いくら偉そうにしていても、現場が上手くいっていなければ意味がありません。今も、20代前半の若手たちにフランス料理を基礎から直接教えてあげられる場が作れないものかと常々思っていますよ。総料理長になったその日から、世代交代のこと、次に私が残せるものは何かをずっと考えているのです。今の私たち世代が築き上げてきたチームを超えるような、もっと強いチームが次の時代を担ってくれたら最高ですよね。

(*)クラブ・プロスペール・モンタニェ日本支部主催のコンクールで、参加資格は「料理人としての経験が4年未満、25歳未満」という若手の登竜門

ロイヤルパークホテル
[図解] チームワーク

仕事の舞台は、宴会&直営レストラン

ロイヤルパークホテルの調理部チームは、約200人の組織。
日々、ウエディングから、国賓、世界のVIPをもてなすような大宴会を手がける一方で、レストラン・バーを直営で全8軒も運営しているという最強のチームです。ホテル内には「ロイヤルホール」他、全11の宴会場があります。

[図解]チームワーク

宴 会

[レストラン&バンケット パラッツオ]レストランと宴会場を兼ね備える空間。2面の大きな窓からホテル最上階の眺望を楽しめる。人気のランチブッフェは3月より営業再開予定

<宴会・レストランを支える人々>
サービススタッフ

お客様を直接おもてなしする、ホテルの顔とも言えるのがサービススタッフ。宴会、レストランでも要の存在

バーテンダー
ビール、ウイスキーなど、様々なお酒を扱うバーテンダー。ロイヤルパークホテルには受賞歴があるカクテルの達人も

ソムリエ
洋食に限らず、和食、中華など、どんな料理が出てきても的確にワインを選んでいく、スペシャリスト

スチュワード
実は、食器のプロも存在。高価な銀器や漆器などの素材や形に応じて、あらゆる食器類をプロの手で管理している

総料理長 飯村功さん

調理部長 松山昌樹さん

洋食調理二課 狩谷和男さん

洋食調理一課 村上秀行さん

ベーカー課 松島哲郎さん

中国料理長 大城康雄さん

和食料理長 岩田好輝さん

シェフ 安冨正己さん

料理長 有本大作さん

レストラン・バー

鉄板焼
すみだ
安冨シェフの腕前とそのキャラクターにファンがいるという鉄板焼。ホテル最上階にあり、窓の外には夜景も広がる

シェフズダイニング
シンフォニー
朝食からディナーまで、ブッフェ、セット、コース、軽食まで、様々なスタイルのメニューが揃うダイニング

中国料理
桂花苑
料理長・有本さんが追求してきた、奥が深く、バラエティに富んだ広東料理が味わえる

メインバー
ロイヤルスコッツ
英国の古き佳き時代を思わせるインテリアのオーセンティックバー。カウンターでカクテルを傾ければ、誰でも粋な大人を味わえる

スイーツ&ベーカリー

2018年1月オープン! バッグ型チョコが飾られたラム・チョコレートケーキ、復活発売のパリ・ブレスト等、スイーツやパンのメニューも一新した

ロビーラウンジ
フォンテーヌ
コーヒーとともに待ち合わせするも良し、3段スタンドのアフタヌーンティーを楽しむも良し、正統派の優雅なホテルロビーラウンジ

日本料理
源氏香
5Fにありながら、大きな池と茶室、緑美しい日本庭園を臨む静かな佇まい。テーブル席と和・洋個室、天麩羅カウンターを用意

リーダーたちの哲学

ロイヤルパークホテルの“食”を担う
1989年の開業時、ロイヤルパークホテルに集結し、約30年間で“チームワーク”を育んできた料理人たち。
彼らの「仕事をする上で大切にしていること(哲学)」に耳を傾ければ、このチームの強さがさらに見えてきます。

調理部長 松山昌樹さん

美味しいのは当たり前
いかに楽しい時間を提供できるか
もちろん「美味しかった」という一言はとても嬉しいものですが、「今日は楽しかった」とおっしゃっていただけたら何より幸せです。若い時は「自分の料理が一番だ」と思っていましたが、料理は競い合うものではありませんし、ただ美味しいだけではお客様からの評価はいただけません。プロである以上、料理が美味しいのは当たり前なのです。もし万が一、フロントで何か不愉快な出来事があったとしたら、その足でレストランへお越しいただいても美味しく感じてはいただけないでしょう。私たちの仕事はホテルスタッフ全員で、1つのブランドを守っていくことです。中でも、調理部は料理長同士が近い距離でつながっているのが強み。私は洋食の料理人ですが、和食も中華もベーカー、ペストリーも、そして、ロイヤルパークホテルの全てを誇りに思っています。

右:洋食調理二課 次長 狩谷和男さん左:洋食調理一課 メイン調理課 次長 村上秀行さん

 

>継続する力が、自分の道を切り開く
もっと美味しいものが作りたいと毎日一生懸命やってきたら、約30年が経っていました。今は年相応の人間にならなければいけないなと、またこの先のことを考えています。料理人とはキツい仕事で、時に壁にぶつかります。でも、途中で辞めてしまってはもったいない。ロイヤルパークホテルなら、和食や中華から知識を分けてもらって料理の幅を広げることもできますし、常に前向きで取り組んでいけば、自ずと道は開けていくはずです。【狩谷】

>料理人は、自分に厳しい人間であること
初代総料理長の嶋村ムッシュがよくおっしゃっていた言葉をいつもデスクマットの下に入れています。「良いものを食べなさい、通勤にはネクタイを締めて綺麗な恰好で来なさい、良い人と付き合いなさい」。何も良い恰好をしなくても美味しい料理は作れるでしょうが、もし街でお客様に遭遇した時にホテルの印象を変えてしまうかもしれません。「ホテルの料理を作る」という私たちの仕事には、人間性も重要。私はこの言葉を戒めとしています。【村上】

※こちらの記事は2018年2月20日発行『メトロミニッツ』No.184に掲載された情報です。

更新: 2018年3月14日

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