ワインとシャルキュトリ#7

「ELEZE HOUSE」
「BOUCHERIE AmiaBras」
「LAUTRE」

実力派シェフの個性が光る自家製の数々

街でワインとシャルキュトリ③

Photo 花村謙太郎、大谷次郎、谷内啓樹 Text 外川ゆい、河崎志乃、唐澤理恵

本場フランスのシャルキュトリで修業をしたシェフ、1年間かけて自家製の生ハムを仕込むシェフ、50種類もの自家製シャルキュトリを作るシェフ…そう、いよいよ東京にもシャルキュトリの文化が根付こうとしています。これから日本のシャルキュトリ文化の発展のカギを握る東京の作り手に会いに行きました。

ELEZE HOUSE(渋谷)

食肉料理人集団による 話題の紹介制レストラン

コースの中盤で供される、シャルキュトリの盛り合わせ。いずれも物販でも展開。合わせるワインは、出荷わずか350本という「ドメーヌ・シャンタル・レスキュール・ヴォルネイ」ボトル15,000円

“食肉料理人集団”の異名を取る「エレゾ」は、2005年に北海道・十勝に創業。社員全員が料理人兼ハンターで、蝦夷鹿などの狩猟、放牧豚や鳥類などの飼育、それらの肉の解体、熟成、加工、調理、販売までを一貫して行っています。生産狩猟、枝肉熟成流通、シャルキュトリ製造、レストランの4つの部門で構成され、シャルキュトリ製造を行う十勝のラボラトリーでは、過度な味付けはせず、素材のポテンシャルを引き出すことを信条に、蝦夷鹿のコンソメや自社の天然の白カビを使ったサラミなどを作っています。

リンゴのピューレを敷いたブーダンノワール。蝦夷鹿は2時間圏内で、ネックショットで仕留めることがルール

そして、創業から11年目を迎えた今年。渋谷区松濤に、紹介制の一軒家レストラン「エレゾハウス」を開業しました。“命ある状態から、皿の上までの全てを担う”という徹底した肉への敬意を表現する集大成の場となります。

物販も10種類以上揃う。オンラインショップとレストランで購入可

腕を振るうのは、東京の老舗フランス料理店で研鑽を積んだ経歴を持つ、エレゾ社代表の佐々木章太さん。8~9皿で構成されるコース12,960円は、美しく澄んだ蝦夷鹿のコンソメスープから始まり、月齢や性別違いの食べ比べができる蝦夷鹿のローストなど、デザート以外全てが肉料理で、終始驚きや感動が続きます。

肉を熟知したエレゾ社代表の佐々木章太さん

蝦夷鹿の鎖骨を切り開いて取った生血から作る「ブーダンノワール」は、ピュアでなめらかな口当たり。ゼラチン質の多いスネの腱の部分をほぐして加え、腸詰にしてから一体感が生まれるよう2日間吊るしています「。シャルキュトリの盛り合わせ」は、季節やゲストに合わせて提供しているため、訪れるたびに違った楽しみが。この日は、蝦夷鹿と仔牛のモザイクテリーヌ、ELEZO放牧豚とピスタチオのテリーヌ、ELEZO短角牛とフォアグラのプレッセ、ELEZO放牧豚のグランカレ。ELEZO放牧豚は、十勝のラボラトリーの目の前で放牧され、ふかした芋だけを餌に育てています。

ワインは、料理に寄り添う優しく繊細なタイプを中心に揃え、ペアリング(4種7,500円、7種10,500円)も好評。肉の生産や流通同様、人と人との絆を大切にしたいという思いから紹介制ですが、今回特別に『メトロミニッツ』を見た旨を記載すればホームページから予約可能に。

L字型のメインカウンターのほか、趣の異なる計4部屋がある/世界4大ブランドの葉巻が揃うシガールーム

エレゾハウス
☎非公開 住所非公開
コース18:00~最終入店19:30
アラカルト21:30~23:30LO(アラカルトの予約は当日20:30~受付)
金土のみランチあり12:00~14:00LO
日祝定休 ※シャルキュトリの店頭販売は、火水木11:30~15:00
予約はこちらのメール e.house@elezo.comより http://elezo.com/table/

BOUCHERIE AmiaBras(表参道)

ダイナミックかつ繊細に 肉の旨みを楽しむ

シャルキュトリーの盛り合わせ1,800円。フルーツのソースやマスタード、自家製のピクルスなどとともにそれぞれの魅力を楽しみたい。アルザスのピノ・グリと合わせて

2016年3月、青山学院大学近くにオープンした肉ビストロ「ブシュリー・アミアブラ」。店内に足を踏み入れるとカウンターに吊るされた自家製ソーセージが目に飛び込み、シャルキュトリラヴァーの心をくすぐります。

シャルキュトリーの盛り合わせを仕上げる宋シェフ

シェフを務める宋悟志さんの実家は神戸の焼肉店。ソーセージ専門店で働いたことがきっかけで、自分で手を加え美味しさを一から作り上げていくシャルキュトリの楽しさに魅せられたそうです。

ベーコンを特注の燻製機で燻製に。長い製造工程の中の一つ

カウンターに吊るされた羊のソーセージ

同店で提供されているシャルキュトリは15種前後。特注の燻製機などを使い、試行錯誤を重ねた独自の製法で肉の旨みを最大限に引き出しています。フライパンで焼いて仕上げられるベーコンはニンニクとハーブが食欲を刺激し、羊・鶏・豚を使ったパテドカンパーニュは食べ応え十分。骨太で細やかなその味わいを、ソムリエ厳選のワインとともに満喫して。

ブシュリー・アミアブラ
☎03・6450・5420
東京都渋谷区渋谷2・8・4 東和青山ビル1F
12:00~15:00(14:30LO)、 18:00~翌1:00(24:00LO)
日・第 3月定休

LATURE(表参道)

自ら仕留めたジビエで作る 自然派シャルキュトリ

ムジナ(アナグマ)のパテアンクルート2,808円。トリュフとフォアグラが香り、パート部分がしっかり焼き込まれたクラシックなスタイル。通常はエゾ鹿、猪、ヒグマの肉で作られる。ボディのあるブルゴーニュの赤ワインと合わせて

ジビエで人気だった渋谷「deco」のシェフを務めた室田拓人さんが、今年8月、満を持してオープンさせた新店がこちら。34歳にして猟師歴6年目の室田さん、修業先の「レストランタテルヨシノ」でジビエの名手・吉野建さんに訓示を受け、狩猟免許取得後は、ハンターとして毎週山に入る生活を送ります。

「ジビエを食文化として根付かせたい」と室田さん

「野生動物は個体により味が全く違う。どんな場所で何を食べて育ったかを考えて料理しないといけない。それが大変でもあり、やりがいでもありますね」。もちろんシャルキュトリも、自ら仕留めた鳥獣で仕込みます。

この時期は、秋の山の恵み・キノコも登場。山梨から届く天然もの

この日用意されたパテ・アンクルートは、なんとアナグマのもの。こんな珍しい肉がさりげなく登場するのもここでは普通。「動物を仕留めた瞬間から料理が始まります」と室田さん。力強い味わいと滋味に、自然を感じられるシャルキュトリです。

ラチュレ
☎03・6450・5297
東京都渋谷区渋谷2・2・2 青山ルカビルB1F
11:30~15:30(14:00LO)、18:00~23:30(21:00LO)
日定休

※こちらの記事は2016年10月20日発行『メトロミニッツ』No.168に掲載された情報です。

更新: 2018年4月18日

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