東京|ホテルレストランのチカラ #5

THE POWER OF HOTEL RESTAURANT
総料理長×レストラン

ホテルオークラ東京
HOTEL OKURA TOKYO

Photo 久家靖秀 Text 河崎志乃

“オークラフレンチ”を
頑なに守り抜き
オークラとともに生きていく

開業時から食を重んじてきた「ホテルオークラ東京」。伝説の開業当時総料理長・小野正吉さんによる“オークラフレンチ”は日本のフランス料理を飛躍させました。それを今も守り抜くのは、洋食調理総料理長・池田順之さん。「料理人として全てをオークラに教わり、オークラで育ってきました」と語る池田さんが思う、オークラらしさとは。

土地に根差し、歴史を刻み、受け継がれ、そして様々な人生模様がある、ホテルとは1つの「文化」と言えるのかもしれません。中でも、その最も象徴的な場所が“レストラン”です。ここでは、必ずしも料理が主役とは限りません。サービス、空間はもとより、ホテルの背景にある物語までが総合力(チカラ)となって、レストランで過ごす時間を演出してくれます。本特集では料理人たちの言葉を紡ぎながら、ホテルレストランの価値を味わいたいと思います。

1962年開業
ホテルオークラ東京

和の風格漂う
元祖・御三家ホテル
大倉財閥2代目総帥・大倉喜七郎と、当時の社長・野田岩次郎により開業。日本の名門ホテルとして、「帝国ホテル」「ホテルニューオータニ」と並ぶ御三家の1つ。現在は本館建替え工事のため、別館にて単館営業。2019年に41階建ての高層棟、16階建ての中層棟の2棟の新本館が竣工予定。
☎03・3582・0111(代表)
東京都港区虎ノ門2・10・4

洋食調理総料理長 池田順之
YOSHIYUKI IKEDA

1978年、ホテルオークラに入社。オランダ・ホテルオークラアムステルダム「シエルブルー」(現ミシュラン二ツ星)アシスタントシェフ、ホテルオークラ東京「ラ・ベル・エポック」料理長などを経て、2015年、ホテルオークラ東京 洋食調理総料理長に就任。

 1978年にホテルオークラに入社して40年。池田さんが入社した当時のホテルオークラ東京には、伝説の総料理長、小野正吉さんがいました。小野さんは「帝国ホテル」の村上信夫さんとともに日本のフランス料理の一時代を築いた人物で、特別な存在だったと言います。「私にとって小野ムッシュは雲の上の存在で、直接話をする機会などありませんでした。それでも料理を食べれば、小野ムッシュの考え方を理解することができましたし、味を覚えることができました。小野ムッシュが築いた〝小野イズム〟と〝オークラフレンチ〟はオークラの料理人たちの間で連綿と受け継がれ、今の私にも息づいているのです」。

池田さんは料理長になった時、小野さんが作り上げたソースのベースであり、フランス料理の要であるフォン・ド・ヴォー、フュメ・ド・ポワソン、コンソメのレシピを継承すると心に決め、これまでその味を一度も変えることはなかったそうです。「小野ムッシュはとにかくソースにこだわった人でした。オークラのレストランでは、小野ムッシュのソースのベースは決して揺るがない〝木の幹〟。そこから各料理長が作る料理が枝葉となって、大樹が育つ。木の幹が決してブレないのが、オークラの強みだと思います」。今でもフォン・ド・ヴォーの仕込みに4日もかけるなど、料理のベース作りは絶対に妥協しないと言う池田さん。お客様の好みによって塩やバターの使い方などを加減することはあっても、そのベースは絶対に変えないのだそうです。さらに、小野さんの「食べられないものは皿に載せない、盛り付けは皿からはみ出さない」という教えも守り、「華美ではないけれど、食べればため息とともに『おいしい』という言葉が漏れる料理」を自身のスタイルとして貫いています。

開業時から「料理人もお客様をおもてなしする気持ちで料理を作ること」をポリシーに食に強いホテルを目指し、その味を継承することに邁進してきた池田さん。そんなオークラのレストランには、開業時から56年間通い続けているというお客様も。そのお客様に「今も変わらない味」と言われることが、池田さんにとっての一番の喜びなのだそうです。「今は時代も変わり、正統派のフランス料理が食べられる店も少なくなりました。だからこそ、私はホテルオークラ東京の総料理長として、正統派のフランス料理を出し続けています。お客様の目の前で料理を仕上げるゲリドン(ワゴン)サービスも、今も変わらずご提供していて、デザートのクレープシュゼットは人気サービスの1つです。そして、〝オークラフレンチ〟という伝統を、この先時代が変わってもずっとお客様に愛されていくよう、次の世代に託すこと。私はずっとオークラで研鑽を積み、料理人として誰にも負けないという矜持もあります。この道を貫くのが、私の流儀です」

フランス料理/ワインダイニング
ラ・ベル・エポック/バロン オークラ

“オークラフレンチ”を今に伝える
日本のフランス料理の名店

「お客様にくつろいでいただくには、食にも満足していただかなければならない」という創業者の思いを引き継ぎ、今もホテル内に7軒の直営レストラン・バーを擁するホテルオークラ東京。その1つである「ラ・ベル・エポック」は、別館がオープンした1973年からオークラフレンチの軌跡を今に伝えてきました。お客様のリクエストを取り入れて生まれたメニューも多数。

名物の「特選和牛フィレ肉のパイ包み焼き ウェリントン風」も、結婚式などの際に大皿料理で提供されていたものが、お客様のリクエストで「ラ・ベル・エポック」でも楽しめるようになりました。一人ひとりのお客様と言葉を交わしながら、その方に合わせたサービスを心がけていると話してくれたのは、マネージャーの森山明さん。料理人、サービススタッフの全員でお客様をもてなし、特別な時間を提供してくれます。

+++メトロミニッツ特別コース+++

「特選和牛フィレ肉のパイ包み焼き ウェリントン風」16,200円(アラカルト料金)。掲載を記念して、こちらをメインディッシュにいただける「メトロミニッツ特別コース」(食前の一品/ホワイトアスパラガスのポワレ/伝統のダブルコンソメ/本日の魚料理/特選和牛フィレ肉のパイ包み焼き ウェリントン風※ハーフポーション/伝統の技 クレープシュゼット/コーヒーと小菓子 18,000円/サ別)を2018年3月末まで特別にご用意。予約時に「メトロミニッツを見た」とお伝えください。

[ホテルオークラ東京12F]
ラ・ベル・エポック/バロン オークラ
☎03・3505・6073
営7:00~10:00、11:30~14:30、17:30~21:30

※こちらの記事は2018年2月20日発行『メトロミニッツ』No.184に掲載された情報です。

更新: 2018年3月12日

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