東京|ホテルレストランのチカラ #4

THE POWER OF HOTEL RESTAURANT
総料理長×レストラン

帝国ホテル 東京
IMPERIAL HOTEL, TOKYO

Photo 久家靖秀 Text 外川ゆい

ホテルにおいて調理部門の最高責任者であり、ホテルの味を作り上げる総料理長。そんな総料理長が考える自身のホテルレストランのチカラをお聞きしたうえで、各ホテルを代表するレストランを覗いてみましょう。

土地に根差し、歴史を刻み、受け継がれ、そして様々な人生模様がある、ホテルとは1つの「文化」と言えるのかもしれません。中でも、その最も象徴的な場所が“レストラン”です。ここでは、必ずしも料理が主役とは限りません。サービス、空間はもとより、ホテルの背景にある物語までが総合力(チカラ)となって、レストランで過ごす時間を演出してくれます。本特集では料理人たちの言葉を紡ぎながら、ホテルレストランの価値を味わいたいと思います。

1890年開業
帝国ホテル 東京

“日本の迎賓館”の役割を担い
国内外の多くのVIPをおもてなし
明治23年、海外からの賓客を迎えるため、日本初の本格的な西洋式ホテルとして開業。日本で西洋料理を広める窓口の役割を果たし、ロイヤルウエディングなど、多くの国事も行われてきた。ホテルウエディングをはじめ、ブフェレストランやローストビーフワゴンなど、数々の「日本初」「ホテル業界初」を導入してきた日本のホテル業界をリードする存在でもある。現在は、和洋多彩な13のレストランと4つのバー・ラウンジを併設。
☎03・3504・1111(代表)
東京都千代田区内幸町1・1・1

帝国ホテルのメインダイニングであるフランス料理「レ セゾン」のボルドー色が印象的な個室にて。支配人・永野賢司さんを中心に、厨房スタッフとサービススタッフが集合

帝国ホテル 東京
IMPERIAL HOTEL, TOKYO

[ホテルレストランのチカラ]
総料理長×レストラン

培った伝統を重んじながらも
時代を見据えた進化を遂げ、
ホテル業界をリードする

128年の歴史を誇る、日本を代表する老舗ホテル。愛され続ける理由は、変わらぬおもてなしの心を根底に、積み重ねた「伝統」と常に進化し続ける「革新」が鍵を握ります。現在、13代目の料理長を務めるのは田中健一郎さん。ホテルの料理に携わり続け、来年には50年目という節目の年を迎えます。

総料理長 田中健一郎さん
KENICHIRO TANAKA

1950年、東京都生まれ。69年に帝国ホテル入社後、2002年、総料理長に就任。15年、厚生労働省認定「現代の名工」を受賞。17年、文化庁長官表彰を受賞。「料理は人を笑顔にできる魔法だから」と料理人の道を生きる。

「私達は、伝統は革新とともにあるということを大切にしています。しかし、いつの時代も『帝国ホテルのフランス料理』に変わりはありません。もちろんフランス料理はフランスが源流なのですが、これまで12代の料理長と料理人たちが汗と涙で作り上げてきた料理が存在するという意味です。お客様から『これが帝国ホテルの料理だよね』と言っていただけることは非常に大切ですし、しっかりと守り、後輩に継承していくことが責務だと考えています」と語る総料理長の田中健一郎さん。

伝統を重んじる一方で、帝国ホテルは、これまでの歴史の中で多くの革新を成し遂げてきました。ホテルウエディング、ブフェレストラン、コーヒーハウス、ローストビーフワゴンなどは、いずれも日本初やホテル業界初の挑戦です。先の時代までの蓄積を大切に守りながら、新しいものを生み出すという発信を絶やさず、128年間着々と進化してきました。

「社会的状況、世の中の流行、人の嗜好は変化していきます。時代を柔軟に受け入れながらも、脈々と守り続けている歴史の重さと、そこから生まれる伝統に対する指向がずれていないからこそ続いているのです。歴史というのは覆せないもの。それが帝国ホテルの一番の素晴らしさでしょう」

自身の仕事に深い愛情と誇りを持って働く田中さん。入社したのは、現在の本館が完成する前年でした。

「入社当時の配属は、ホテル内の全ての鍋を洗うセクション。その時は数年で辞めて、夫婦で営む小さな店をやろうと思っていました」と言う田中さん。その後、朝食とスープの仕込みなど、若くして様々な仕事を任されるように。すると、ホテルにおける食に携わるやりがいや重要性を感じ、仕事への思いが変化していったと語ります。

「料理人としての理想は2タイプあると思います。1つは、オーナーシェフとして、独自の感性を最優先して料理をすること。もう1つは、より最高級の妥協なき食材で料理をすること。私は後者で、帝国ホテルという国内外の要人をもてなす大きな土俵で勝負したいと思うようになりました」

そのような思いで歩み続け、経験を積み重ね、ついには総料理長に。田中さんは、2年後の東京オリンピックに向け、料理人として唯一組織委員のメンバーにも参画しています。

「ラグジュアリーなホテルが次々と開業している近年。帝国ホテルも建物の老朽化などで次の変化を求められた時に、どういうものを守り、どういうものを発信するかが重要になります。ハードを変えても発信力がなくては意味がありません。根の部分にある、伝統に培われたホスピタリティが大切になります。『日本の迎賓館』として誕生したホテルですから、これからも海外の賓客をお迎えできる信頼と安全を備え、日本のトップであり続けていきたいです」

フランス料理
レ セゾン

最高峰の心に響くもてなしで
多くのゲストを魅了します

「伝統」と「革新」は、ホテル内のレストランでも健在。1983年に開店したメインダイニング「レ セゾン」は、クラシカルモダンをテーマに優美な時間を演出します。ティエリー・ヴォワザンシェフが16年間従事した恩師に敬意を込めた「“ジェラール・ボワイエ”氏 直伝の黒トリュフのパイ包み焼き」をはじめ、ストーリーを持つメニューが多く存在するのも歴史あるレストランだからこそ。近年では、和の食材を取り入れた料理にも感性が光ります。「記憶に残る食事を楽しんでいただくため、予約時のファーストコンタクトからお客様の言葉を汲み取り、それぞれに合ったパーソナルなアプローチを大切にしています」と語るのは、シェフとともに12年にわたり「レ セゾン」に勤める支配人・永野賢司さん。フォーマルでありながら、温かな言葉でゲストが心地良い距離感を瞬時に築きます。

「パリジャンに見立てて ポワローとじゃがいものフォンダンをチキン風味のジュレの上に 鰹節クリームとキャヴィア添え」は、象徴的な料理を集めたコース「Les saisons des Saisons」34,000円(サ別)からの1皿

[帝国ホテル 東京 本館中2F] レ セゾン
☎03・3539・8087
営7:00~10:00LO、11:30~14:30LO、17:30~22:00LO

詳細を見る

Les Saisons

Les Saisons

レ セゾン

エリア
日比谷
ジャンル
フランス料理
営業時間[昼]
11:30~14:30(LO)
営業時間[夜]
17:30~22:00(LO)
定休日
無休

※こちらの記事は2018年2月20日発行『メトロミニッツ』No.184に掲載された情報です。

更新: 2018年3月12日

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