東京|ホテルレストランのチカラ #3

日本文化と世界の感性が融合する

マンダリン オリエンタル東京の発想力

Photo ただ(ゆかい)

日本橋「マンダリン オリエンタル 東京」のキッチンには、 世界各地から多国籍な精鋭シェフたちが集まっています。 そんなシェフたちに、この度、与えられたお題が「日本の桜」をテーマにしたメニューを作ること。 果たして、それぞれどのように発想したのでしょう。

2005年開業

オリエンタルな気品を身にまといながら、日本の文化が息づくホテル
香港にルーツを持ち、アジア、ヨーロッパ、アメリカ、アフリカなど、現在21カ国・地域で展開するグループによる日本第1号で唯一のホテル。「センス・オブ・プレイス=立地する土地柄と文化に敬意を表すホテルづくり」という理念を大切にし、東京では「森と水=日本の自然」をモチーフに、和の趣を取り入れた空間を作り上げました。

☎03・3270・8800(代表)
東京都中央区日本橋室町2・1・1

グルメショップ
ザ マンダリン オリエンタル グルメショップ

中央通りに面した、ケーキ、パン、チョコレート、デリカテッセン、ギフトなどが揃うショップ。エグゼクティブ ペストリーシェフ、ステファン・トランシェさんは全5種類の「桜」スイーツを用意したと話します。

エグゼクティブ・ペストリーシェフ
ステファン・トランシェさん

Stéphane Tranchet
フランス・エシレ村の近くで生まれ育ち、2ツ星シェフのフィリップ・エシュベストのキッチンからキャリアがスタートする。2005年に一度来日し、「ピエール・ガニェール・ア・東京」で3年務めるも帰国。2017年、「マンダリン オリエンタル 東京」のエグゼクティブ ペストリーシェフに就任

桜を愛でる「お花見」という日本文化を
ケーキでも味わっていただけます。
私は日本文化や日本の素材を取り入れながらスイーツを作っていますが、それは、昨年、「マンダリン オリエンタル 東京」へやってきた当初から続けていることです。

雲を象ったケーキ「KUMO」の場合は(右の写真で手にしているもの)、春はいちご、夏は桃、秋は栗、冬は柚子をはじめとする柑橘類というように、四季ごと、フレーバーが変わっていきます。

今回の「桜」をテーマにメニューを作るというお題で、イメージしたのが「お花見」。桜ムースに花びら入りのジュレを加え、最後に桜の木に見立てたチョコレートを飾った「フラワーガーデン」や、桜餡の水羊羹に日本酒のジュレ、桜の花びら入りのジュレを加え、上に金箔をあしらった「桜のパンナコッタ」では、桜の花びらを数種類の桜色で表現し、豊かな色彩を引き出しました。他にも、桜のマカロン、桜のパウンドケーキ、ボンボンショコラを2種類用意していますが、日本人が桜の季節を祝い、桜を愛でる文化を学び、私は見た目にも麗しい「桜」スイーツを揃えました。

「桜」メニューは、3月15日〜スタートします。

「マンダリン オリエンタル東京」全館で、「桜」をテーマに“アートな食体験”が楽しめるのは、3月15日~4月27日。1Fのグルメショップではテイクアウトの他、イートインも可

問ザ マンダリン オリエンタル グルメショップ
フリーダイヤル 0120・806・823

フラワーガーデン(918円) 桜パンナコッタ(810円)

モラキュラーキュイジーヌ
タパス モラキュラーバー

科学的な技法を駆使しながら、シェフが魔法のように魅惑的な料理を仕上げていく「分子ガストロノミー」の店。ここで料理長を務めるのは香港出身の周 雁平シェフ。この度、桜の花が散りゆく儚き景色を物語る1皿が完成したそうです。

シェフ
周 雁平さん

Chow Ngan Ping
香港出身、通称「ピンシェフ」。香港のホテルを経て、スイスからヨーロッパ各地へ渡り、数々のファインダイニングを経験する。2005年、「マンダリン オリエンタル 香港」に入社し、その才能が一気に開花。2013年より東京へ

私の料理にとって、大切なのは
経験によって得た、イマジネーション。
「桜」を表現する上でも、もちろん同じこと。
私は、人のイマジネーションには無限の可能性があり、常に新しいものを生み出せるチャンスがあると考えています。

私の料理は1皿1皿に物語がありますが、本を読んだ知識ではなく、実際に触れ、感じたことを表現し、経験を生かして創り出しています。

来日してからまもなく5年になりますが、日本の春は4回体験しました。中でも、「桜」は1年で、本当にごく短い期間しか味わうことができないもの。花が咲き始めた時から満開を迎え、そして儚く散るまで、どの瞬間も実に美しく、その光景を記憶に留めていたいと感じます。

だから、今回、私は「桜」の料理の1つに、綿あめを使うことにしました。その上には数種類のハーブ、そしてチキンが載っていますが、まず初めに綿あめを一気に溶かします。その後には、桜の香りがふわりと広がるよう仕込んでいますが、私は綿あめが消えゆく様を、儚く散り去る桜の季節に重ね合わせました。

私の料理は、お客様との「共有」。私が心を動かされ、生み出したストーリーをお客様と共有したいと考えています。「マンダリン オリエンタル 東京」がある日本橋は、少し歩けば江戸から続く歴史の面影を見ることもできますし、文化の色が濃い街。私の料理にも、この街が持つ物語の一端が息づいていると思います。

 

「桜」メニューでも体験でえきる
食のエンターテイメント空間

鶏 桜/蜂蜜(22,000円/税サ別) ※メニューの一部です

ミシュラン1ツ星、カウンター8席のこの店は、シェフの料理に込めた物語に耳を傾けながら過ごせる贅沢な空間。期間限定の「桜」テーマのコースメニュー(写真左)では、ワイン、モクテル(ノンアルコールカクテル)とのペアリングも楽しめる

問マンダリン オリエンタル 東京
レストラン総合予約
フリーダイヤル
0120・806・823(受付 9:00〜21:00)

この春は、個性豊かなアート×食の「桜」を咲かせます。

私たち日本人は「桜」と聞けば、「ピンク色」や「花びらの塩漬け」など、定番のイメージがありますが、これまで登場いただいた2人のシェフのアプローチはやはりひと味違いました。そんな発想力や想像力に満ちている「桜」企画について、「マンダリン オリエンタル 東京」の総料理長&副総料理長、お二方に話をお聞きしました。

総料理長 ダニエレ・カーソンさん
Daniele Cason

イタリア・ローマ出身。イタリア国内の星付きレストランで研鑽を積んだ後、エジプトやイギリス、タイなどの店も経験。世界各地の多彩な食文化を吸収することで磨き上げられた独自の感性は高い評価を得ている。2014年より「マンダリン オリエンタル 東京」へ

副総料理長 ニコラ・ブジェマさん
Nicolas Boujéma
フランス・パリ郊外出身。フランス国内で数々の星付きレストランを経験し、2011年、30歳の若さで「マンダリン オリエンタル 香港」のピエール・ガニエールシェフによる2ツ星レストラン「ピエール」のシェフに抜擢される。2013年より「マンダリン オリエンタル 東京」へ

―まもなく「桜」をテーマにした企画が全館で始まりますが、どのようなきっかけで生まれたのでしょうか?

カーソンさん:これは、今年初開催の企画ですが、日本のシンボルである「桜」に私たちの表現で挑戦してみたいと考えました。また、ほぼ同時期に、ホテルの地元・日本橋で「日本橋 桜フェスティバル 2018」が行われますが、グルメ屋台を出店するなど、私たちも参加します。日本橋で「桜」を皆さまにお楽しみいただきたいと、心を込めて準備を進めています。

ブジェマさん:このように、地元のイベントへ参加することはもちろん、これまでも日本橋の老舗とのコラボレーション企画など、いろんなことにチャレンジしてきました。榮太樓總本鋪の餡を使ったあんパンを作り、1Fのグルメショップで販売していたり、お料理に日本橋で生まれた製品を使ったりもしています。

カーソンさん:それは「マンダリン オリエンタル」グループには、「センス・オブ・プレイス」という理念があるからこそ。世界各国どこにホテルを生み出そうとも、必ずそれぞれの土地の文化を取り入れながら作っていくというポリシーです。それが他のホテルとはひと味違う「マンダリン オリエンタルらしさ」をもたらしていますし、街に根差し、長く愛される存在になりたいという思いがあるのです。

―お2人はこれまで様々な国で働いてこられましたが、日本が他の国と違うと感じる点はありますか?

ブジェマさん:まずゲストの知識や経験値が違うことでしょう。日本のゲストは美味しいものをよくご存じですし、知識量も多いでしょう?素材のことや季節感についても関心が高く、評価も厳しいため、私たちもいっそう勉強しなければなりません。「ゲスト・ファースト」、つまり私たちにとってはゲストの満足度が何より大切ですから。

カーソンさん:要求レベルが高い、そういう意味では料理人にとって、日本は世界でも最も難しい国の1つだと思います。しかし、反対に、シェフとしてさらに成長できる環境だとも言えますし、本当に有り難いチャンスだと思いながら、私たちは日々取り組んでいます。

ブジェマさん:実際、日本で働くポジションは、世界の料理人の間で本当に人気がありますよね。街の店でも料理のクオリティの高さはよく知られていますし、特に東京はミシュランの星が世界一多い街ですから。

―では、「マンダリン オリエンタル 東京」の食の強みとは何ですか?

カーソンさん:やはりダイバーシティ(多様性)とマルチカルチャー(多文化)だと思います。キッチンスタッフの国籍は多様で、現在はイギリス、イタリア、フランス、香港、ネパール、スペイン、インド、バングラデシュ…。常に世界各国から料理人が集まることは、結果、強みにつながっていると思います。様々な経験を持ち、視点や考え方がそれぞれ違うスタッフがコンスタントに加わることで、チーム全体の視野が広がりますし、考え方が固定しません。新しい課題にも躊躇なく向かっていく素地ができるのです。エキサイティングですよ。

ブジェマさん:今回の「桜」の企画も、桜の意味や美しさの捉え方が人それぞれ。自分の感性のまま、まるで日本を表現する1つのアート作品のように、皆、心を込めて「桜」を作り上げましたよね。

カーソンさん:だからこそ、東京中、他のどこを探しても味わえない、「マンダリン オリエンタル 東京」ならではの“アートな食体験”が楽しめるのです。大いに期待し、何度でも足を運んでいただけたらと思います。

text 佐々木ひろこ

3月15日(木)~4月27日(金)
「桜」をテーマにした “アートな食体験”

桜 アフタヌーンティー

期間中はホテル内、全フロアのダイニング&バーにて、様々な「桜」を楽しむことができます。桜の木の下で「桜 飲茶 アフタヌーンティー」が味わえる「センス ティーコーナー」(平日のランチタイム限定)や、日本酒と日本茶をテーマにしたオリジナルカクテルが揃うポップアップバー「Zen Garden」、さらに、「オリエンタルラウンジ」ではお花見ピクニックをテーマにした「桜 アフタヌーンティー」を提供するなど、多彩なメニューが登場。

※こちらの記事は2018年2月20日発行『メトロミニッツ』No.184に掲載された情報です。

更新: 2018年3月9日

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