#21|ビストロの現在地|

ビストロが生まれた、
19世紀とはどんな時代?

Text Wakana Kawahito

ビストロが生まれた、19世紀とはどんな時代?

19世紀(1800年代)と言えば、日本では江戸時代が終わり、1868年より明治時代が始まった頃。一方、フランスでは1789年にフランス革命が始まり、1799年に権力を掌握したナポレオンが1804年、フランス皇帝に即位します。

また、隣国のイギリスでは18世紀後半に産業革命が起き、1851年に世界初の万博博覧会をロンドンで開催。その影響でフランスも近代化が進みます。農業などに従事していた人が工場で働くようになり、都市部で働く労働者が増加。1889年にパリ万国博覧会が開催され、エッフェル塔が完成します。

ビストロ、カフェ、ブラッスリーの違いは?

フランスには、ビストロ、カフェ、ブラッスリーなどの店がありますが、もともと特に違いはありませんでした。その後、高級志向のカフェ、インテリが多く集まるカフェ、庶民が集まるビストロなどと次第に多様化。しかし、今でも、その基準は明確ではありません。

カフェはコーヒーやワインなど飲むことがメインで、食事はサンドイッチやサラダなどの軽食のみが一般的です。1960年代からパリのカフェも高級化が進み、ブルジョワジーや文化人などが集まり議論を交わした有名店も誕生しました。

一方、ブラッスリーはビールをメインに出すお店として、アルザスの人が始めたのが起源と言われています。基本的には、朝から演劇が終わった後の遅い時間まで休憩なく営業し、食事とお酒の両方を出しています。ビストロに比べてお店が広いのが特徴で、雰囲気はカジュアルです。

ビストロはブラッスリーとよく似ていますが、お昼と夜の決まった時間のみ食事を提供するのが特徴です。またブラッスリーよりも席数が少なく、店はこぢんまりとしています。

「ビストロ」の語源は?

ビストロの語源については諸説ありますが、1814年にパリを占領したロシアの軍人が、早くお酒が飲みたくて、ロシア語で「急げ」を意味する「bistro, bistro」と叫んでいたということに由来するという説が あります。

他に、ロシア人のタクシードライバーが「bistro, bistro」と叫んでいたとか、酒場という意味の「mastroquet」や「troquet」、安酒を指す「Bistrouille」が語源ではないか?など、いろいろな説が言われています。

ビストロという言葉が実際に文献に登場したのは1884年のこと。飲み物を出す居酒屋を指すスラングとして使われました。1953年にはフランス国民教育省の辞書に正式に登録されました。

もともと「ビストロ料理」とはどんなもの?

本来、ビストロは「本日のおすすめ」一択で、メニューに選択肢はありませんでした。作る人は大抵女性で、料理はおばあちゃんが家で作るようなものでしたが、店によって料理にはそれぞれ特色がありました。

その後、時代が進むにつれてメニューも増えましたが、ビストロで提供しているのは常に家庭料理です。しかも、旬の野菜と比較的安価で手に入る部位のお肉を使うこと、さらに少人数でお店を切り盛りするため、注文が入ってから準備に時間がかかる料理は出せないことがあり、必然的に煮込み料理が多くなります。煮込んでいる間にお客に対応できるため、都合が良かったのです。

ブフ・ブ ルギニヨン(牛肉のワイン煮込み)やブランケット・ドゥ・ヴォー(仔牛のクリーム煮)、カスレ(ソーセージと白いんげん豆の煮込み)などを始めとし、タルタルステーキやステーキフリットなど、ボリュームがあって手早くできる料理が好まれ、今でも定番メニューとしてどこのビストロにも置いてあります。

※こちらの記事は2017年5月20日発行『メトロミニッツ』No.175に掲載された情報です。

更新: 2017年5月22日

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