ビストロの現在地 #18

東京のビストロ

Bistro Le Cake
[新富町]

Photo 松園多聞 Text 浅井直子

今、東京にもビストロは無数に存在します。しかし、時代ごとに人々の心を満たしてきた、フランスのビストロが抱く“エスプリ”を知っている店となると、おそらく限られています。しかし、これよりご紹介するのはフランスで料理を学び、本場の文化を経験したことがあるシェフが手がける、東京のビストロです。それぞれがフランスのエスプリを独自の目線で店に込め、東京らしいビストロに育て上げています。

「ビストロ」という自由な スタイルでフランス料理の 固定観念を崩したい

2015年に新富町の路地裏にオープンした「ビストロルケイク」では、お客さんのリピート率がなんと9割! その秘密は、ボリュームたっぷりな4皿のおまかせコースが3,800円という親しみやすさ。コースにも含まれ、お店の顔である「シャル盛り」には、オーナーシェフ、加藤善一さんのフランスでの体験が色濃く反映されていました。

ロースハムや豚の頭のテリーヌ、豚足のファルシなど、全て自家製のシャルキュトリ盛合せ、略して「シャル盛り」は、こちらのおまかせコースの1皿目。3皿目には「刺し盛り」(!)も登場。このメニューのヒントは、加藤さんが、フランスのガストロノミーでの修業中に楽しんだ、仲間との食事にありました。

「仕事帰りに、4人でごはんを食べに行くと、各自が順番にシャルキュトリ盛合せとワインを1本注文する。要するに、盛合せとワインが4回転するわけです(笑)。それをみんなでわいわいシェアして食べる。この楽しさが、フランス料理の真髄かもしれない、あとは、刺し盛りがあれば充分幸せだと思いました」。

元々、フランス料理とは何か?を突き詰めたくて、渡仏した加藤さん。「いまだに、日本でのフランス料理は畏まった食事という印象が強いですが、向こうはもっと自由です。二ツ星の『ロジェ・ ド・ ローベルガード』にいた時、アミューズブーシュとして、トリュフやまぐろの寿司を握らされましたからね(笑)。でも、それもフランス料理。世界中の料理を吸収する柔軟性もフランス料理の魅力です。結局、大事なのは作る人間の思いで、僕は“刺し盛り”もフランス料理として出しています」。

フランス料理はかくあるべし、という固定観念を、「シャル盛り」や「刺し盛り」でしなやかに打ち破る。自由が許される「ビストロ」という場所は、密かに加藤さんの挑戦の場でもあるのです。

ケークサレ付きの自家製シャルキュトリ(写真は3人前)は3,800円(2名以上)コースのスターター。ココットに入ったリエット3種は、脂肪分の異なる鴨、うさぎ、豚の食べ比べが楽しめる

左/長年付き合いのある明石から、鮮度のいい魚介が届く。フランス料理のフィルターを通した旬の刺し盛り(コースの一部)は、軽くバターソテーしたミル貝の身と肝、炙り鱧、スズキの3種類。グラスワインは600円~ 右/気楽に寛げる雰囲気の店内にはカウンター席の他、テーブル席もあり

|CHEF|加藤善一さん -Yoshikazu Kato-

1971年、兵庫県生まれ。神戸のホテルなどを経て、渡仏。パリ「ピエール ガニェール」や、南西部では、ミッシェル・トラマシェフの下などで約4年間修業し、帰国。2003年、「グランドハイアットホテル」のフレンチキッチン、スーシェフ。「京都グランビアホテル」などを経て、15年、現店オープン。

ビストロルケイク
TEL 03・6280・3611
東京都中央区新富1・6・15 サニービル102
11:30~13:30LO、18:00~22:00(LO)
日定休

※こちらの記事は2017年5月20日発行『メトロミニッツ』No.175に掲載された情報です。

更新: 2017年5月22日

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