ビストロの現在地 #17

東京のビストロ

ビストロ 天下井
[荻窪]

Photo 鈴木彩 Text 河﨑志乃

今、東京にもビストロは無数に存在します。しかし、時代ごとに人々の心を満たしてきた、フランスのビストロが抱く“エスプリ”を知っている店となると、おそらく限られています。しかし、これよりご紹介するのはフランスで料理を学び、本場の文化を経験したことがあるシェフが手がける、東京のビストロです。それぞれがフランスのエスプリを独自の目線で店に込め、東京らしいビストロに育て上げています。

大人も子どもも。なんだかほっとして 元気が出る場所。それが私の目指すビストロ

天下井廉人さんは、パリ「ステラ マリス」に勤務し、帰国後も「タテルヨシノ」各店で腕を振るった実力派。にもかかわらず、「私の料理にはレストランのような華やかさはないかもしれません」と語ります。その真意をお聞きしました。
菜美夫人と2人で6年前にオープンし、野菜もたっぷりと楽しめるパワフルな料理で愛され続けている「ビストロ天下井」。
「華やかさよりも親しみが感じられ、噛み締めれば素材の滋味がゆっくりと広がっていく。そんな料理を作りたいと思っています」と天下井さん。アラカルトの他、プリフィクスコースや軽めのコースなど、様々なスタイルを提供しています。フランスのビストロのように、子どもから老人まで自由にこの店に集い、美味しいものを思い切り食べてほしい。そんな思いが、一昨年病に倒れたことで特に強くなったそうです。「ビストロは、誰にとっても“たっぷりと食事をとり、元気になる場所”であり続けてほしいですね。うつむいていた1日でも、いつもの店員と挨拶すればほっとする。食べれば力が湧いてくる。それが私の理想のビストロです」

野菜それぞれの食感を残した繊細な味わいが日本らしい有機温やさいの1皿1,900円と、ハチミツの甘みが心地良い黒胡椒のソースでいただく北海道産蝦夷鹿のパテ1,900円

左/ゆったりとしたシンプルな空間に温もりが満ちている 右/店内には、ストウブ鍋やフランスから取り寄せた料理本などがずらりと並ぶ

|CHEF| 天下井廉人さん -Yasuhito Amagai-

1971年、東京都生まれ。「タイユバン・ロブション」でサービスを経験した後、料理人に。32歳で渡仏し、一ツ星レストランや吉野建シェフの「ステラ マリス」などで修業。帰国後2011年に現店をオープン。15年に病に倒れたが、16年4月に復帰。

ビストロあまがい
TEL 03・5930・4629
東京都杉並区荻窪5・20・7 吉田ビル1F
12:00~14:00LO、18:00~21:00(LO)
水定休

※こちらの記事は2017年5月20日発行『メトロミニッツ』No.175に掲載された情報です。

更新: 2017年5月22日

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