ビストロの現在地 #14

東京のビストロ

T’astous
[麻布十番]

Photo 井上美野 Text 岡本ジュン

今、東京にもビストロは無数に存在します。しかし、時代ごとに人々の心を満たしてきた、フランスのビストロが抱く“エスプリ”を知っている店となると、おそらく限られています。しかし、これよりご紹介するのはフランスで料理を学び、本場の文化を経験したことがあるシェフが手がける、東京のビストロです。それぞれがフランスのエスプリを独自の目線で店に込め、東京らしいビストロに育て上げています。

美味しい、楽しい “ちょっとお洒落” それが僕にとってのビストロ

料理人としてフランスで8年間という長い期間を過ごした堀江毅シェフ。ミシュラン星付きのレストランで働いた後、パリの人気店でシェフを務めました。その傍ら休日は注目のビストロへ通うなど、フランス人が愛する普段着の料理にどっぷりと浸かった日々を過ごしたと言います。その経験を自身の店では最大限に発揮しています。

パリでビストロメニューが人気の老舗ワインバー「レ・ピポ」のシェフを務めた堀江シェフ。その頃よく通ったのが「ラ・レガラード」や「シェ・ミッシェル」、「ル・ブール・ノワゼット」など、洗練された料理とビストロの良さを併せ持つネオビストロでした。

「料理もですが、雰囲気や接客もすごく良かった」と言います。「ビストロは日常的に行く場所で、お客様との距離も近いですよね。美味しい料理と楽しい会話、それからフランスらしい“ちょっとお洒落”な要素もあって欲しい」。ビストロのイメージを堀江シェフはそう教えてくれました。

2年前、麻布十番にオープンしたタストゥーもまさにそんな雰囲気。スタイリッシュな内装にカウンター席もあり、1人でふらりと訪れてハーフポーションで2皿とワインを楽しむ、そんな使い方も大歓迎。お皿の中はモダンなビジュアルですが、日常のフランス料理を食べてもらいたいからと、料理自体はスタンダードなメニューが基本。コースとア・ラ・カルトの2本立てという自由度の高さも気軽です。

「ア・ラ・カルトのポーションはフランスとほぼ変えていません」。がっつり食べられるのもビストロの醍醐味と言う堀江シェフ。「ビストロにはいろんな表現方法があっていい」と考えていて、“くつろげる”というビストロスピリットはそのままに、自身のセンスでビストロの世界観を上手く表現しています。そんなタストゥーは今の東京らしい1軒かもしれません。

フォアグラのミキュイ、カカオのクランキー(コース4,900円~の一品※+300円)。添えられたフルーツとカカオがフォアグラを引き立てる。冬にはトリュフがけヴァージョンも人気。遅摘みの甘口リースリングと一緒に

左/豚足豚耳のギャレット(コース4,900円~の一品)。5時間かけて煮込んだ豚足や豚耳をパリッと焼いている。バスクの唐辛子エスプレットを添えているのがアクセント 右/スッキリとモダンな内装。キッチンは奥にあり、シェフの働く姿がチラリと眺められるのが楽しい。お1人様もカウンター席で気軽に利用できる

|CHEF|堀江 毅さん -Tsuyoshi Horie-

1974年、長崎県生まれ。バーテンダーとして出発するも料理人を目指すようになり2005年に渡仏。パリのミシュラン一ツ星「ジェラール・ベッソン」やカオール「ル・ジャンドロー」などで約8年修業。パリの「レ・ピポ」でシェフを経験し、2015年にタストゥーを開店。

タストゥー
TEL 03・6435・4722
東京都港区南麻布2・5・21丸善ビル1F
11:30~13:30LO、18:00~22:00(LO)
日定休(月曜はディナーのみ)

※こちらの記事は2017年5月20日発行『メトロミニッツ』No.175に掲載された情報です。

更新: 2017年5月22日

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