ビストロの現在地 #13

東京のビストロ

BISTRO GLOUTON
[池尻大橋]

Photo 松園多 Text 河﨑志乃

今、東京にもビストロは無数に存在します。しかし、時代ごとに人々の心を満たしてきた、フランスのビストロが抱く“エスプリ”を知っている店となると、おそらく限られています。しかし、これよりご紹介するのはフランスで料理を学び、本場の文化を経験したことがあるシェフが手がける、東京のビストロです。それぞれがフランスのエスプリを独自の目線で店に込め、東京らしいビストロに育て上げています。

店のイメージは町外れの定食屋 路地を曲がった先にある、日常のオアシス

フランスの三ツ星レストランで修業し、帰国後は「タイユバン・ロブション カフェ・フランセ」などを経て、「ジョエル・ロブション」に約10年。そんなきらびやかなレストランの数々に長年身を置いた小更耕司さんが開いたのは、路地を曲がった先にあるカウンターわずか8席の「ビストロ グルトン」でした。その店に込められた思いとは?

フランスに渡った時から、いつか自分で店をやるならビストロにしたかったという小更さん。グランメゾンにまで上り詰め、料理の腕を極めつつも、お客様の顔が見えないキッチンから外に飛び出したくて仕方がなかったと言います。

「私は、お客様と顔を合わせておしゃべりをしたかったんです。町外れの定食屋のように、かっこつけずにその日食べたいものを食べて“そうそう、やっぱりこれだよね”と頷くお客様の顔が見たい。それを実現するには、今の形が理想的なんです」。そう語る小更さんが提供するのは、できる限り要素を削ぎ落とした、シンプルで飽きのこないビストロ料理。どれもリーズナブルで、2、3人で取り分けて食べるもよし、コース仕立てで堪能するもよし、自由なスタイルで食事をすることができます。

驚くべきは、わずか8席に対し、料理は約50品、ワインは約80種というメニューの豊富さ。さらに、お客様が触れる物は本物を使いたいと、カトラリーはラギオール、グラスはリーデルを揃えています。気軽な町の定食屋をイメージしながらも、お客様を満足させることには妥協のない、小更さんの本気とこだわりが感じられます。

そんな「ビストロ グルトン」には、1人でふらりと来店し、好みのワインとお気に入りの料理を少し、というスタイルのお客様も多いのだとか。今夜は軽くワインと美味しいものを楽しみたいな、と思ったら、ぜひ「ビストロ グルトン」の扉を開いてみて。

白菜とブルーチーズのグラタン800円。フランスではお店の賄いなどでも親しまれている「アンディーブとハムのグラタン」をアレンジし、白菜とベーコンを使用。ブルーチーズの濃厚な味わいが軽めの赤ワインと好相性

左/牛ほほ肉のビール煮込み2,000円。ベルギーに近いフランス・ノルマンディ地方ではポピュラーなビール煮込み。程良い苦味と牛ほほ肉のもっちりとした舌触りが心地良い。付け合わせのポテトも本場フランスの味わい 右/壁の色や椅子などにもこだわった、これぞビストロという空間。店先や店内の黒板もビストロらしさを感じさせてくれる

|CHEF|小更耕司さん -Koji Kobuke-

1971年、東京都生まれ。専門学校を卒業後「レストランFEU」を経て、フランス・ブルゴーニュ地方の三ツ星「メゾン・ラムロワーズ」やルクセンブルグで研鑽を積む。帰国後数年を経て、「ジョエル・ロブション」で約10年間腕を振るう。2014年に現店をオープン

ビストロ グルトン
TEL 03・3410・5517
東京都世田谷区池尻2・33・7
18:00~24:00(23:00LO)
日・第3月定休

※こちらの記事は2017年5月20日発行『メトロミニッツ』No.175に掲載された情報です。

更新: 2017年5月22日

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