ビストロの現在地 #11

東京のビストロ

Irréel ningyocho
[人形町]

Photo 井上美野 Text 岡本ジュン

今、東京にもビストロは無数に存在します。しかし、時代ごとに人々の心を満たしてきた、フランスのビストロが抱く“エスプリ”を知っている店となると、おそらく限られています。しかし、これよりご紹介するのはフランスで料理を学び、本場の文化を経験したことがあるシェフが手がける、東京のビストロです。それぞれがフランスのエスプリを独自の目線で店に込め、東京らしいビストロに育て上げています。

訪れるゲストが主役となって楽しめるビストロの魅力はそこにある

「アルページュ」を率いるフランス料理界の巨匠アラン・パッサール氏の薫陶を受け、技量を認められた島田哲也シェフ。帰国後はその華やかな経歴にふさわしいモダンフレンチのレストランを開店します。12年間に渡ってガストロノミーの世界を走り続けて一転、第二の人生のステップに選んだのは、意外にもビストロという道でした。

イレール人形町はオープン4年目。島田シェフが50歳からスタートしたビストロです。フレンチの巨匠アラン・パッサール氏の下で学んだ島田シェフは、1998年にレストラン「イレール」を恵比寿で開店。洗練されたフランス料理で人気店に上り詰める一方、「もっとお客様の身近に寄り添い、喜んでもらえる店をやりたい」という思いをずっと温めていました。

やがて一流の料理人たちがビストロを手がけるようになると、その新しい手法から、自分が目指す店のスタイルが見えてきたと言います。とは言え「人と同じことをするのが嫌い」という島田シェフ。

店を始めるに当たっては、自分ならではのビストロスタイルを創ろうという考えがありました。そのためこちらの内装はとてもナチュラル、料理はシンプルですが洗練されていて、ビストロの呪縛にとらわれない自由な発想が魅力です。繊細な火入れや巧みなスパイス使いなど、計算された味わいと手間を惜しまない調理で、完成度はとても高い。

ア・ラ・カルトもリーズナブルなコースもある上に、ついに今年2月からは大皿盛り合わせの「パルタジェコース」4,000円~も登場しました。サービス精神あふれるビストロとして、どんどん進化しているのです。

「イレールは自分がフラッと立ち寄りたい店なんです。家の近くにこういう店が1つあったらいいでしょ。1つの駅に1つ、いいビストロがある時代になったらいいね」と島田シェフはにっこり笑います。

左/鴨胸肉のロースト ハチミツとコリアンダー2,800円は「ルカ・カルトン」で出していた鴨のアピシウス風へのオマージュ 右/彩り野菜のテリーヌ1,400円。パッサール氏の下で、野菜へのこだわりに影響を受けた島田シェフらしい1皿。野菜はタケイファームなどから仕入れている。パンも自家製で4種類を毎日焼き上げる

|CHEF|島田哲也さん -Tetsuya Shimada-

1964年、埼玉県生まれ。23歳で渡仏し「ルカ・カルトン」などの名店で修業。ミシュラン三ツ星の「アルページュ」でシェフのアラン・パッサール氏に認められ日本人初の魚担当シェフに。帰国後はレストランのオーナーシェフとなり、2013年に念願のビストロをオープン。

イレール 人形町
TEL 03・3662・0775
東京都中央区日本橋人形町2・22・2
月~水17:30~23:00(22:00LO)
木~土11:45~15:00(14:00LO)、18:00~23:00(22:00LO)
日・第3月定休
※ランチは5月で終了。6月より月~土17:30開店に変更
※21:30よりバータイム

※こちらの記事は2017年5月20日発行『メトロミニッツ』No.175に掲載された情報です。

更新: 2017年5月22日

この記事が気に入ったら
「シェア」しよう

最後までお読みいただき、ありがとうございます

pagetop