ビストロの現在地 #8

東京のビストロ

Bistrot Quotidien
[麻布十番]

Photo 野呂美帆 Text 岡本ジュン

今、東京にもビストロは無数に存在します。しかし、時代ごとに人々の心を満たしてきた、フランスのビストロが抱く“エスプリ”を知っている店となると、おそらく限られています。しかし、これよりご紹介するのはフランスで料理を学び、本場の文化を経験したことがあるシェフが手がける、東京のビストロです。それぞれがフランスのエスプリを独自の目線で店に込め、東京らしいビストロに育て上げています。

愛すべきパリのビストロという形を、東京という街でずっとやり続けたい

カスレ、シュークルート、ブルゴーニュ風エスカルゴ。この店のメ ニューはビストロ好きならお馴染みのものばかり。気取らず落ち着 いた内装もまさにビストロです。「ミッシェル・ロスタン」や「ルカ・ カルトン」など、パリのトップクラスのレストランの厨房で腕を磨 いた須藤亮祐シェフはなぜビストロを開いたのでしょう?

ガストロノミックなレストランの料理が時代の流れをキャッチして変わっていくものだとすれば、この店が提案するのは古くから愛され続けている定番のビストロ料理。

「フランス人が昔から食べ継いできたビストロの美味しい料理とその文化に出合って、強く心を惹かれました」と語る須藤シェフは、フランスでガストロノミーを経験しながらも、日本ではあえてオーソドックスなビストロをやるという選択肢を選びました。

「ガストロノミーが上とか、ビストロが下とかではなく、種目が違うだけでどちらを選んでも、金メダルを取るには最大限の努力が必要なんです」ときっぱり。須藤シェフの作る料理は定番でありながら口に運べばその味わいにハッとさせられます。

火入れの繊細さ、決して重過ぎない味わいのバランス、研ぎ澄まされた技量の確かさ。定番だからこそどこよりも美味しいものを作りたい。そのためには伝統をただ守るのではなく、レシピを掘り下げ、理に適っていなければ変えることも厭わないと言います。

そこに生かされるのが、作るからには100点を目指したいという職人気質とガストロノミーで培った卓越した技術。「これからもオーソドックスなビストロであり続けたい。そして東京にもそういう店が根付いて欲しいですね」と須藤シェフ。

プリフィクスコースというスタイルを昼も夜も貫いているのも、前菜、メイン、デザートを順番に味わってこそフランス料理である、という強い思いがこもっています。

フランス産鴨もも肉コンフィのカスレ(4,500円~のプリフィクスコースより)。皮目のパリッと感を味わってもらうため、コンフィした鴨は一緒に煮込まずに上にのせている。ワインはフランス産だけで、全土のものがバランスよく揃っている。

フロマージュ・ド・テットラビゴットソース(4,500円~のプリフィクスコースより)。カリカリな焼き加減やソースの酸味、仕上げのコリアンダーなどで味に変化をつけるのが須藤シェフのスタイル

|CHEF|須藤亮祐さん -Ryosuke Sudo-

1976年、神奈川県生まれ。22歳で渡仏し、ミシュラン三ツ星の「ルカ・カルトン」ほか、「ミッシェル・ロスタン」などの名店で修業。帰国後、「ブラッスリーオザミ」などを経て「ルビストロ」のオープニングシェフを務めた後、2011年に現店「ビストロコティディアン」をオープン。

ビストロ コティディアン
☎03・6435・3241 東京都港区麻布十番3・9・2タモン麻布2F 12:00~15:00 (13:30LO)、火~土18:00~22:30(20:30LO)、日~22:00(20:00LO) 月・第1、3火定休

更新: 2017年5月22日

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