|おいしい匂い漂う。メキシコの風、吹く[1]|
世界に浸透する”メキシコ料理”-Part1-

2014年頃を皮切りに、メキシコ料理やテキーラをテーマとした飲食店が続々とオープン。今、東京にメキシコの風が吹いています。しかしながら、私たちはメキシコについてあまりにも勘違いしていることが多いようです。例えば、パリパリシェルで包まれたタコスはメキシコでは食べられていませんし、代表的なお酒であるテキーラは罰ゲームで一気飲みするようなお酒ではなく、じっくりとテロワールを感じながら愉しむお酒として、世界中に愛好家がいるとか。メキシコ料理は無形文化遺産に、テキーラ村のリュウゼツラン(テキーラの原料)の景観とテキーラ工場群は世界遺産に登録されていることも、あまり知られていないことかもしれません。というわけで今回は、にわかにブームとなっているメキシコに、思いを巡らせてみることにしました。その歴史7000年とも言われるメキシコ料理とは何なのか?世界4大蒸留酒にも数えられるテキーラとはどんなお酒なのか?東京に吹く風のその先へと、ご案内します。

2014年以降オープンしたメキシコ料理店、テキーラバー
(※2015年6月調べ、これでもほんの一部です!)

<2014年>
5月14日 ボラーチョス(三軒茶屋)
5月25日 エル・フジヤマ(麻布十番)
9月3日 バー サルー(銀座)
9月26日 ウムウム グッド ブリトーズ(丸の内)
10月8日 バー ヒマドール( 上野広小路)
11月13日 タコスタ(十条)
11月19日 アロハ・アミーゴ(池袋)
12月2日 ラ・メスカレリア ヒカラ バー&グリル(六本木) 
12月10日 トロ トーキョー(銀座) 

<2015年>
4月4日 アロハ・アミーゴ(原宿)
4月8日 タコ リッコ(六本木)
4月21日 タコ ベル(渋谷) 
4月27日 オータコス(新橋) 
4月29日 グズマン イー ゴメズ(原宿)

世界に浸透する〝メキシコ料理??【World Mexican Topics】

第一章
What’s Mexican?
東京ではメキシコの風が吹き始めている最中ですが、世界の国々ではすでに各地の食文化と溶け合いながら、それぞれの国ならではの〝メキシコ料理?が生まれています。その裏側にあるキーワードはどうやら “TEX-MEX”という言葉のようです。実は日本のあの料理もその影響を受けていたという事実も!?

《アメリカ》

アメリカ国民が愛してやまない
日常的なソウルフード!

アメリカに住む移民の約30%がメキシコ生まれと言われており、特に飲食店の厨房にはフレンチレストランでも、日本料理店でも必ず言っていいほどメキシコ人の料理人がいるとか。特にテキサスやニューメキシコ、カリフォルニアといった南部の州においては、アメリカの食事情における〝メキシカン?の影響は絶大。「タコベル」「タコタイム」といったメキシカンファストフード店はマクドナルドやケンタッキーに並ぶ一大ブランドになっており、中でも「タコベル」のタコスはソウルフードと言っても過言ではありません。しかしながら、それらの多くは純粋なメキシコ料理ではなく、アメリカナイズドされたもの。「TEX-MEX」という、テキサスで生まれたアメリカ料理なのですが、アメリカの人々はメキシコ料理だと思い込み、その認識とともに、オーストラリアやヨーロッパ、アジアへと世界中に波及しているのです。さらに、最近では「CAL-MEX」なるスタイルも登場しているとか。このようにメキシコ料理はアメリカに浸透。人々にとって欠かせない食文化になっているのです。

《オーストラリア》

オーガニックでヘルシーな
独自路線を追求するAUS-MEX

かねてから健全な食材への意識が高いオーストラリア。近年は、一般人が料理の腕を競い合うTV番組がブームになり、グルメへの関心や新しい味への興味はますます高まっているようです。そんな中、かつて南部アメリカやメキシコからの移民がもたらしたTEX-MEXも、シドニーやゴールド・コーストを中心とするオーガニック志向や健康志向と融合し、野菜中心のヘルシーなタコスやブリトーが誕生。まさに「AUS-MEX(オースメックス)」ともいえるオリジナルの潮流が生まれています。こうした流れを汲んでいるのが、2015年4月に原宿へ上陸した「グズマン・イー・ゴメズ」。食意識の高さが生んだオーストラリア流のヘルシーなメキシカンが今、世界のトレンドとなりつつあります。

***2つのメキシコ料理***

TEX-MEX
「Texas-Mexican」の略で、メキシコ料理をアレンジしたテキサス料理のこと。メキシコ料理に比べると肉類が多めで、味付けもスパイシー。代表格は「タコス」「チリコンカン」「ナチョス」など。タコベルはじめ日本で食べられるのは大部分がこのタイプ。

CAL-MEX
「California-Mexican」の略で、メキシコ料理をアレンジしたカリフォルニア料理。メキシコ国境と地続きであるためメキシコからの移民が多く、地元の名産であるシーフードをたっぷり使って本場とは一味違う味を追求。LAやサンディエゴに多い。

***ヘルシーなファーストフード***

ナチョス
ナチョスに載っている、ワカモレやサルサ。こういったトッピング類は毎日手作り。調理もお客さんに見える形で行われるのがトレンドに

ブリトー
ブリトーに使われる肉や野菜、豆などの穀物類も、トレーサビリティを担保し、かつフレッシュさを追求したものが使われています。

上:ナチョス 下:ブリトー

《シンガポール》

国際都市でもヘルシー志向の
メキシコ料理店が大ウケ


マレー人をはじめ、中国人、イギリス人、アラブ人、インド人など、さまざまな民族が集まる国際都市国家シンガポール。数年前から起きている空前の日本食ブームと並行し、メキシコ料理を提供するカフェやレストラン、屋台もぞくぞくとオープンしています。現地では、すでにご紹介したメキシカンダイナー「グズマン・イー・ゴメズ」や個人経営で店舗のデザインやトレーサビリティを開示するなどのプレゼンテーションにも長けた〝メキシコ?レストラン「メックス・アウト」などが従来のメキシカンにつきものだったジャンクな印象を払拭。野菜の多いヘルシーなタコスやブリトーをはじめとするメニューがいずれも好評を博しています。オーストラリア同様、安心して食べられる、フレッシュで厳選された食材やハンドメイドといったキーワードで現地人の心をがっちりつかんでいるようです。

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従来のメキシコ料理の印象を覆す、クールな内装の「MEXOUT」。オーガニック素材にこだわり、使用食材のトレーサビリティを開示するなど、シンガポールらしい食への意識の高さが伺えます

Text:矢口あやは

※こちらの記事は2015年6月20日発行『メトロミニッツ』No.152掲載された情報です。

更新: 2016年10月7日

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