TOKYO FOOD JOURNAL # 7

REPORTAGE
いよいよ東京でも根付き始めた
レストランからの提案料理とお酒の“ペアリング”

Text:松本典子、佐々木ひろこ
Photo:小林秀銀

今やすっかり広く浸透した“マリアージュ”という言葉は、料理とワインのおいしい組み合わせのことですが、最近、レストランの中に“ペアリング”をうたう店が増えています。料理のコースに合わせてワインもコース仕立てで楽しむスタイルを指すようです。

赤羽橋 日本料理
東麻布 うらあり むらかみ

日本酒ペアリングコース10,800円~(2時間日本酒飲み放題付きで、1日2組限定)。金沢産の香箱蟹には「東洋美人 ippo 山田錦」、お造りは「作 雅乃智 中取り純米大吟醸」が好相性。この他、鱈と白子の寄せ鍋など、鍋か煮物が付く。

一期一会の洗練された和食と
こだわりの日本酒が待つ隠れ家

「東麻布 うらあり むらかみ」Tel 03・6441・3813 東京都港区東麻布1・24・4 FLEG東麻布B1F 17:00~24:00(22:30LO) ※前日までに要予約  不定休(12月30日~1月4日休)

今年8月、東麻布の路地裏にオープンしたこちらは、1日10名限定の日本食レストラン。階段を下ると、調理場を囲む舟形のカウンターが舞台のように照らされた、モダンな空間が広がります。店主の村上翔太さんは、日本料理の老舗「吉祥 銀座本店」で料理長を務めて独立。「料理とお酒、食器やBGMのジャズなど、空間までトータルで楽しんでいただけたらと思います。夫婦2人だけでやっているので、目が届く範囲で精一杯のおもてなしができるように10名限定にしました」と話します。
伝統的な日本料理をベースにした料理は、お店のメインテーマである〝一期一会〞。村上さんが毎日築地へ赴き、自分の目で厳選した食材を使ってコースを組み立てるため、メニューは毎日替わります。まず目を奪われるのは、スタイル性あふれる料理の美しさ。ガラスに金をコーティングしたきらびやかな皿にお造りを合わせるなど、オーダーメイドの食器から、フランス「J.L.Coquet」のリモージュ焼や有田焼まで、日本に縛られない食器使いと盛り付けに村上さんならではのセンスが光ります。ワクワクする特別感の中、その日にしか出合えない旬の味覚を盛り込んだコースが舌を楽しませてくれます。
オープン当初は先付から水菓子まで全8品の懐石コースのみだったそうですが、お客様から「これだけ日本酒があるのだからペアリングをやってはどうか」とリクエストがあり、10月から日本酒ペアリングコースをスタートしたそう。面白いのは、料理に合うペアリングを提案するだけでなく、店主こだわりの日本酒リストがすべて2時間飲み放題になること。リストには全種類を揃える「黒龍」をはじめ、「松の司 黒ラベル」などの稀少酒、垂直落下式で搾る「古伊万里 前」や「陸奥八仙 大吟醸」といった変わり種まで、30〜40種がずらり。東北から九州まで網羅されており、なくなる度に新しい銘柄に入れ替わります。

女性に人気!
ペアリングコースで日本酒を楽しむ。

ペアリングコースの料理は、前菜、お造り、鍋か煮物の3品。お酒が進む内容で1品1品のボリュームがあるので、しっかり満足感を味わえます。こちらは女性のお客様がほとんどで日本酒を飲む方が多く、いろいろな日本酒を楽しんでほしいという思いからこのスタイルになったのだそう。「日本酒は今や日本のワインと言ってもいいほど味わいが幅広く、合わせ方も様々なのが魅力だと思います。全種類飲んでいただきたくておすすめするのですが、たいてい半分もいかずに終わってしまいますね(笑)」と村上さん。ご夫婦の温かいもてなしが心地良く、ゆったりした時間の中でお酒が進みます。たっぷり飲みたい時はペアリングコース、食事メインの時は懐石コース、と使い分ける常連も多いとか。ちなみにペアリングコースは1日2組限定なので、予約はお早めにどうぞ!

六本木 中華料理
虎峰

少量多皿の最旬チャイニーズを
ペアリングドリンクと

写真手前がカラリと揚げた牡蠣にシーズニングソースを使ったタレを絡ませた「牡蠣の広東風ソース」。奥は中国料理の最上級スープ、上湯(シャンタン)のジュレをイカに添えた「白イカのマリネ上湯のジュレ」

六本木駅から徒歩4分。表通りの喧騒がまるで別世界のように静かな路地裏に、今年4月にオープンしたのがチャイニーズレストラン「虎峰」です。
カウンター席のみというこの「劇場型」レストランでサーブされるお料理は、総数30皿にも及ぶおまかせコース(13000円)のみ。この少量多皿構成は、料理長を務める山本雅さんが、「試作中、出したい料理がどんどん増えてしまった(笑)」結果なのだとか。恵比寿「マサズキッチン」などで学んだ中国料理の技法をベースに、フレンチや日本料理の技術なども柔軟に取り入れながら、オリジナルの料理を生み出しています。
そしてこれら料理に合わせるドリンクとして、店側が提案するのがアルコール(10〜11種類・8000円〜)とノンアルコール(5〜6種類・3500円)のペアリング。紹興酒やビールはもちろん各国のワイン(酒精強化ワイン含む)、シャンパーニュ、日本酒、みりんなど、様々な組み合わせで料理の完成度をさらに高めたアルコールペアリング、またワイン用ブドウを使ったジュースや中国茶等で組み立てたノンアルコールペアリングの両方が好評で、およそ7割のゲストがいずれかをオーダーするのだとか。
今回の牡蠣の皿のお相手は、「エティエンヌ・ルフェーヴル グラン・クリュレゼルヴ・カルト・ドール」。まろやかな味わいのシャンパーニュがミルキーな牡蠣と調和し、寒い時期にも優しい印象です。またイカのマリネに合わせたのは南アフリカ産の「マリヌー ホワイト オールド・ヴァイン2014」。ブドウはシュナン・ブランが主体、エキゾチックでふくらみのある味わいの白ワインが、イカにも上湯のすっきりしたうま味にもぴった寄り添っていました。山本さんは言います。「僕の料理に合うドリンクを、ソムリエさんが客観的に選んでくださるので助かります。中国料理に合う飲み物が分からない、というお客様もいらっしゃいますし、ペアリングの各皿提案はとても喜んでいただけていると思います」

※こちらの記事は、
2017年12月20日発行『メトロミニッツ』No.170に掲載された情報です。

更新: 2017年12月20日

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