WHISKY DAISKY ! #8

花崎一夫さんに聞く①
「ウイスキーブームの到来」

Text 浅井直子

洋酒研究家でウイスキー畑を歩んできた花崎一夫さんは、バーの達人でもあります。そんな花崎さんに、日本人がどのようにウイスキーを受け入れ、楽しんできたのか。さらには、ウイスキーと出合う場として欠かせないバーとの付き合い方まで、伺ってみました。

花崎一夫/洋酒研究家

1949年東京生まれ。明治大学文学部卒業。サントリースクール校長退職後、現在株式会社エスポア特別顧問。著書、監修書に『新バーテンダーズマニュアル』、『今宵も大人はバーで癒やされる』など。

ウイスキーブームの到来

ウイスキーの快進撃の背景にあるのは、皆さんもお気づきのように、2009年から広がったハイボールブーム。洋酒研究家の花崎一夫さんも、そのブームをこう分析します。


「6~7年前がハイボールのブームのピークだったと思います。今は安定期ですよね。ここからは、ウイスキーのブームの時期に入るのではないかと思います。ただ、ハイボールのベースがウイスキーであることを認識している人はどれくらいいるのか?という疑問は残りますが、今、ようやく、慣れ親しんだハイボールはウイスキーのソーダ割りという認知度が上がってきたのではないでしょうか? そこから、じゃあ元になっているウイスキーを飲んでみようという流れになっているところ。そういう意味では、ウイスキーのブームはまだこれから来ると期待しているんです」。


まずは、ウイスキーそのものよりも、ハイボールのブームが先行した形ですが、実際の数字にも、ウイスキーの追い風が現れています。


国税庁のデータによると、2016年の消費量の目安となるウイスキー課税数量は、国産ウイスキーが前年比108.4%、輸入ウイスキーは同じく105.8%で、国産は5年連続、輸入は2年連続して伸びています。さらに、目を引くのが輸出。海外から直接蒸留所へ買いにくるマニアの姿も珍しくなくなっている今日この頃、金額ベースでは、108億4400万円で4.5%増。3年連続で過去最高値を更新しているのです。

新たな蒸溜所が、続々と誕生 未リリースのウイスキーにも期待

ウイスキーの好調な波は、北海道、茨城、静岡、鹿児島…と、ここ数年、北から南まで各地にクラフトディスティラリーが増え続けていることからも窺い知れます。80年代にも「地ウイスキー」として、各地に蒸溜所が設立された時期がありましたが、今、再び、注目を浴びています。


なかでも、よく知られているのが、「イチローズモルト」で有名な埼玉県の蒸溜所「ベンチャーウイスキー」の快進撃。2007年、「ワールド・ウイスキー・アワード」のジャパニーズ・ウイスキー部門で入賞して以来、国内はもとより、海外のウイスキーファンも虜にするほど。


もともと、2000年代辺りから、規模の小さい蒸留所を「マイクロディスティラリー」と呼ぶようになりましたが、アメリカでの「クラフトビール」のブームを受け、最近では、「クラフトディスティラリー」と呼ばれるようになりました。その言葉に、特に定義があるわけではありませんが、傾向としては、造りにおいて、蒸溜所が持つ歴史的な背景や、その土地の「風土」を一層意識する傾向が強いようです。


花崎さんも、その動きに大いに注目していると言います。「特に気になっているのは、日本酒やビールで知られる茨城の木内酒造、昨年から造り始めた静岡のガイアフロー。これから世に出るところは気になりますね」。

【コラム】クラフトディスティラリーが日本各地に増えています

2000年以降、スコットランドやアメリカにて、続々と生まれた小規模なクラフトディスティラリー(蒸溜所)。日本でもウイスキー需要の高まりを受け、ここ数年、ウイスキーの製造免許取得数が増加中。日本酒や焼酎を本業とする会社がウイスキー造りを開始するケースも。


▶ウイスキーとバーが切っても切れない関係にあるエピソードを聞いてみました。

※こちらの記事は2017年6月20日発行『メトロミニッツ』No.176に掲載された情報です。

更新: 2017年11月14日

この記事が気に入ったら
「シェア」しよう

最後までお読みいただき、ありがとうございます

pagetop