いま・ここにある「食」の話 #6

宮崎県の持続可能な取り組み

Text: 松島千冬
Photo: 井上美野 

日頃からフードロスに高い関心を持っている「フロリレージュ」の川手シェフが最近、特に感銘を受けたという場所が宮崎県の綾町。有機農業を始め、自然の生態系を守りながらの取り組みが積極的に行われています。そんな綾町のことを東京で知ることができる店が、根津の八百屋「べジオベジコ」です。

オーガニック農業発祥の地 宮崎県・綾町の野菜を東京に

「宮崎県の野菜を扱っていますが、そのうちの約7割は、宮崎県の綾町ものです」。そう話す株式会社ベジオベジコ専務取締役田村健登さん(写真左)は、宮崎県日南市出身の25歳。実家が宮崎県で農家を営んでおり、農業のシステムに興味を持ったそう。

「現状のシステムだと、農家は自分で作った野菜の値段も決められない。そんな農家をハッピーにしたい」という想いで、宮崎大学の農学部在学中に起業。宮崎からスムージー用の食材を配達するECサイト「べジオベジコ」のサービスを開始しました。その後、2017年1月には、東京・文京区の根津に宮崎県の有機野菜を対面で販売する八百屋「べジオベジコ 根津店」をオープン。東京の人達に、故郷宮崎の野菜やフルーツを届けています。

「綾町は有機農業発祥の地と言われている町で、今から40年前に、町として、農薬に頼らない、自然に逆らわない農業を始めた場所です。最初はなかなか苦労したと聞きましたが、今では2代、3代に渡って、それをちゃんと引き継いでいるところがすごいと思う。しかも有機農業の町として言われるようになった今も、さらに未来のことを考えて、肥料をより使わないようにしたりとか、もっと良い方法はないかと考えて改善している生産者さんがいる。それが素晴らしいと思います」。

べジオベジコでは現在、宮崎県を中心に約60軒の農家と契約していますが、特に力を入れているのが綾町の野菜。というのも、田村さんは、〝宮崎県綾町の魅力を100年後に伝える〞を使命に活動する市民のボランティア団体「aya100(アヤハンドレッド)」の副代表としても活動しています。「具体的な活動としては、綾町のふるさと納税の企画をしたり、綾町の野菜を食べていただくイベントを開催したりしています。利益の半分は綾町に還元できるようにして、あとは綾町のPR動画などの制作に使っています」。そんな、綾町のふるさと納税のサイトを覗いて見ると、サイズが大きかったり、形が悪かったりして、見栄えは良くないけれど、味はホンモノという「B級野菜・果物セット」や、「無農薬農家の農業体験」が返礼品としてラインアップされているなど、とても綾町らしさに溢れていました。

「べジオベジコが生まれ育った宮崎には、素晴らしい大自然が数多く存在します。そしてそこには、土からこだわって栽培をする方、農薬をできる限り使わずに野菜を作る方など、美味しさと安心を届けたいと心を込めて野菜を作る生産者がたくさんいるんです」。  そのうえ、平均気温が高く、日照時間も降雨量も全国トップクラスという宮崎県では栄養価が高く豊富な農作物が採れるそう。実際に試食をしてみると、その凝縮された美味しさに驚かされました。

対面販売で買える八百屋「べジオベジコ 根津店」

TEL 03-3827-4831
東京都文京区根津1-26-5
11:00~19:00 月定休

■インターネットで野菜の定期セットを発売中
http://ベジオベジコのHPでは、野菜やスムージーセットが自宅に届く定期便「オーガニックマルシェ」の注文ができます。お試しセットもあります。http://www.vegeovegeco.com/

■最短1時間で野菜が届く宅配アプリ「ベジリー」
「べジオベジコ」が扱う野菜をアプリ「ベジリー」から簡単に購入でき、最短1時間で配達してくれるサービス。最近、対象エリアが、港区、世田谷区、渋谷区、目黒区、品川区、新宿区、中野区、台東区、文京区、荒川区、北区の一部地域に広がりました。

有機農業発祥の地 宮崎県綾町とは?

正式な地名は、宮崎県東諸県郡綾町。人口7,244人(2010年)、面積95.21km2で、宮崎県の中西部に位置しています。「自然生態系農業の町」をスローガンに掲げ、1973年に一坪菜園の普及などを実施。1988年には、全国で初めて「自然生態系農業の推進に関する条例」を制定しました。これは近代農業がもたらした歪みを反省し、化学肥料や農薬をできるだけ使わない有機農業を推し進めるもので、自然の生態系を生かした本来の農業を行う町全体の取り組みです。そのことから、綾町は有機農業の発祥の地と呼ばれています。

※こちらの記事は2017年7月20日発行『メトロミニッツ』No.177に掲載された情報です。

更新: 2017年10月14日

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