ビストロの現在地 #4

Style Bistrot de Paris 3
[パリ1区]
ビストロ以上、レストラン未満
Les Cartes Postales

Photo: shinji minegishi
Text: Megumi Komatsu

※写真はとろけるような味わいの牛肉のブルゴーニュ風赤ワイン煮込み。

おそらく、パリで最も古い “日本人オーナーシェフによるビストロ”

パリのレストランにおける日本人シェフの活躍ぶりは近年とみに目覚ましく、「ビストロシェフ100人」の中にも4名の日本人シェフの名前がありました。中でも、渡辺芳正氏はパリの日本人シェフとしては最も古く、1988年に「レ・カルト・ポスタル」を創業した草分け的人物。店内は、テーブルの間隔こそ狭いものの白いクロスが掛けられ、想像していたよりエレガントな雰囲気です。念のため「ビストロと呼んで良いですか?」と尋ねれば、「『ビストロをやりたい』と思って始めた店ですから良いですよ」と渡辺氏。ビストロのイメージは人によって多少違いますが、渡辺氏にとっては“小さな旨いもの屋”。一方、現在ここで修業中の野末貴之氏のビストロ像は「内装がもう少しカジュアル」だとか。あえてこのお店を分類するなら「ビストロ以上レストラン未満」がしっくりきそうです。

さて、メニューの特徴は魚料理の豊富さです。静岡県出身の渡辺氏は、渡仏後、コート・ダジュールやブルターニュなど海の近くで修業を重ねたこともあって魚の目利き。開業当時は日本人らしさをアピールする狙いもあったそうで、「サバの日本風マリネ」はシソの香りも日本的な前菜です。「平目のヴァプール」「カニのガレット」などの定番メニューは、開業後29年の間に淘汰されて残ったものばかり。日本人が得意とする丁寧な技術で下処理を施し、フレンチの技で仕上げた魚料理は、ひと口で胃袋が摑まれる直球のおいしさです。野末貴之シェフいわく、「こういうクラシックな料理を守っている店は少ない」のだそう。日本の要素を打ち出しつつも正統的なフレンチに着地しているからこそ、地元の年輩客に愛され続けるのでしょう。

ある日の「本日の魚料理」はブルターニュ産平目のヴァプール(蒸し煮)と帆立のソテー。ムール貝と野菜のブイヨンに生クリームとバターを加えた古典的ソースで。

シソの香りが爽やかな「サバの日本風マリネ」。料理はハーフサイズでも注文可能。ただし、その場合はアントレとメイン各2皿の注文が必須。

カウンターにずらりと並ぶのはヘネシーなどのコニャックのマグナムボトル。ここではランチでも食後酒をたしなむ人が多いそう。

レ・カルト・ポスタル
Les Cartes Postales
TEL:+33 01 42 61 23 40
7 Rue Gomboust,1er

Photo shinji minegishi Text Megumi Komatsu

【取材協力】
フランス観光開発機構 http://jp.france.fr/
パリ観光・会議局 https://ja.parisinfo.com/

※こちらの記事は2017年5月20日発行『メトロミニッツ』No.175に掲載された情報です。

更新: 2017年5月20日

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