ビストロの現在地 #3

Style Bistrot de Paris 2
[パリ2区]
ビストロノミー
A.NOSTE

Photo: shinji minegishi
Text: Megumi Komatsu

※写真の肉料理は肉汁溢れる「マグレ鴨のロースト」。ぶどうの枝で燻しながら提供するのはフランス南西部の伝統的スタイル。

フランス南西部の郷土色あふれるタパスが人気のビストロノミー

伝統的なタイプのビストロには共通イメージがある一方、モダンなビストロは多種多様。中でも最近勢いがあるのは、賑やかな酒場スタイルの「ビストロノミー」です。パリ2区の大通りに面した「ア・ノスト」は、そんなビストロノミーの旗手、ジュリアン・ドゥブエ氏が2014年にオープンした話題の1軒。1階は背の高い大テーブルが並ぶ「タパスバー」で、30~40代を中心とした地元のグループ客で連日賑わい、人々の笑顔と熱気があふれています。

料理は「タパスバー」というコンセプトの通り、スペイン式のお酒のつまみ。ビストロでタパスと聞くと日本人には少々意外ですが、ドゥブエ氏の故郷のフランス南西部はスペインと地理的に近く、もともとスペインの食文化が身近だとか。タパスの人気はパリでも定着していますが、フランス南西部のランド地方やバスク地方の要素を取り入れたタパスが約30種類も揃うお店は稀少。特に、名物の「マグレ鴨のロースト」は高級店に勝るとも劣らぬ味わいで、同行したイタリアやドイツのジャーナリストたちとも、言葉を越えておいしさを分かち合える1品でした。約30種類のタパスの中には、1種類だけ「ココナッツ風味の海老カレー」というタイ風のタパスが混ざっていますが、これはドゥブエ氏が旅先のタイで気に入った料理を再現したというもの。ビストロノミーでは最近、アジアのフュージョン料理も人気なのだそうです。

ドゥブエ氏は、今回パリ市庁舎で表彰された「ビストロシェフ100人」の中で最年少の35歳ですが、26歳の若さで独立したため、オーナーシェフ歴は10年目。パリの「ジョルジュサンク」をはじめとするミシュランの星付きレストランで働いた後、独立して2軒の店を開き、2軒が合体して2014年に誕生したのが「ア・ノスト」です。

店名はバスク語で「私たちの家で」という意味。1階は8名以上から予約を受けるシステムゆえ、少人数で予約したい場合は少しあらたまった2階席「ラ・ターブル」へ。反対に予約なしで1人でも臆せず利用できるのは、1階の店内奥のフードトラック「タロア」です。トウモロコシ粉のパンケーキで具を挟むバスク地方のサンドイッチ「タロア」はボリューム満点。平日の正午~15時まではテイクアウトも可能です。お会計のレジに並んでいるだけでも、今をときめくビストロノミーの空気をひしひしと感じることができます。

(写真左から) 最初の1品はなめらかな「イワシのパテ」/生春巻きのような「ランド風サラダ巻き」。ランド地方特産のフォアグラ入り/バスク地方の木靴に盛った「イカのフライ」。バスク地方特産のエスプレット唐辛子を添えて/「 フェタチーズとエンドウ豆のカラマンシーソースサラダ」

(写真左から)「 海老とコリアンダーのクリーミーカレー」。シェフがタイを旅した際に出合った味を取り入れた、この店で唯一のフュージョン料理 /「 仔牛とアサリと野菜のロースト」/「 モリーユ(アミガサ茸)のリゾット」/「 パッションフルーツのクレームブリュレ」

CHEF
ジュリアン・ドゥブエさん
-JULIEN DUBOUÉ-

ア・ノスト
TEL:+33 01 47 03 91 91
6 bis Rue du 4 Septembre,2e

Photo shinji minegishi Text Megumi Komatsu

【取材協力】
フランス観光開発機構 http://jp.france.fr/
パリ観光・会議局 https://ja.parisinfo.com/

※こちらの記事は2017年5月20日発行『メトロミニッツ』No.175に掲載された情報です。

更新: 2017年5月20日

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