ビストロの現在地 #2

Style Bistrot de Paris 1
[パリ6 区]
伝統的なビストロ
allard

Photo: shinji minegishi
Text: Megumi Komatsu

※写真はできたての「シャラン鴨のオリーブ風味」が並ぶ、オープンキッチンのカウンター。入口の扉を開けると、こんな風景が視界に飛び込んでくる。

アラン・デュカス氏が復活させた、1932年創業の有名なビストロ

「まずは最もビストロらしい老舗にご案内しましょう!」。パリ観光・会議局のエロディ・ベルタ女史がそう言って案内してくれたのは、セーヌ川左岸の学生街で1932年に創業した「アラール」。扉を開けると正面は厨房で、キッチンカウンターに沿って廊下を進めば、突き当たりに小ぢんまりしたダイニングが現れます。ベルタ女史いわく、シンプルな木の椅子や錫のカウンター、壁に設置された手荷物の落下防止用の手すりは、どれも昔ながらのビストロの定番アイテム。現在の経営者は料理界の大御所アラン・デュカスシェフですが、ほぼ創業当時のインテリアが残されているのだと言います。地元客や観光客で賑わう店内はテーブルの間隔も狭く、隣の席の料理がはっきりひと通り見えるほど。「この狭さもビストロらしいんですよ」とベルタ氏に教われば、早くもレストランとの違いがわかったような気がしてきます。

おすすめ料理の一例は、自家製パテのパイ包み「パテ・アンクルート」や「エスカルゴ」「舌平目のムニエル」など、最近では珍しいほどクラシックな家庭料理。一番人気の「シャラン鴨のオリーブ風味」(2名~)は、創業者のアラール家から受け継がれたスペシャリテです。銀色の深皿に鴨を1羽盛り、その上にグリーンオリーブをたっぷり散らした盛りつけは迫力満点。料理はウェイターに取り分けてもらうのではなく、家庭料理のように各自が自分の皿に取り分けるスタイルですが、これもビストロ的な要素なのだそう。

「オーブンから出した耐熱皿をそのまま出すのがビストロの提供方法。お皿に盛りつけてソースで点を描くようなことはしませんね。残ったソースをパンにつけるのもマナー違反ではないですよ」そう聞いてソースにパンをつければ、肩の力も抜けてリラックス気分。濃厚ながらもくどさのない鴨は滋味深く、その旨みが染みたグリーンオリーブもワインのアテにぴったりです。デザートの「サヴァラン」や「イチゴのメルバ」は、古き良き香りが漂う正統派。

厨房を預かるファニー・エルパン氏は名店「タイユバン」を経て「ブノワ」のスーシェフを務めた、アラン・デュカスグループの期待の若手。ランチは34ユーロ、アラカルトは前菜14ユーロからと、お手頃価格で「伝統的なビストロ」の魅力を教えてくれます。

「アラール」店内では、伝統的なビストロスタイルの数々を目にすることができる。

(写真左)オーブンから出した耐熱ココット皿は、そのまま食卓へ運ばれる。いかにもビストロらしい提供スタイル (写真中央)ビストロで手荷物を置く場所は、壁際の座席の上。荷物が自分の方に落ちて来ないように、壁には手すりが設置されている (写真右)調味料やカトラリーを並べた木製棚は、昔ながらのビストロのインテリア要素

天板に錫の合金を貼った“ザンク”と呼ばれるカウンターもビストロの定番。昔はワインなどでカウンターが腐食するのを防ぐために亜鉛(ザンク)が用いられたが、現在は使用が禁止されている

(写真左)目の前でソースをかけて仕上げるデザート「イチゴのメルバ」 (写真右)前菜の「エスカルゴ」も昔から愛されるスペシャリテ

CHEF
ファニー・エルパンさん
-FANNY HERPIN-

アラール
TEL:+33 01 43 26 48 23
41 Rue Saint-André Des Arts, 6e

Photo shinji minegishi Text Megumi Komatsu

【取材協力】
フランス観光開発機構 http://jp.france.fr/
パリ観光・会議局 https://ja.parisinfo.com/

※こちらの記事は2017年5月20日発行『メトロミニッツ』No.175に掲載された情報です。

更新: 2017年5月20日

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