WHISKY DAISKY ! #6

世界的にも珍しい
森の中にある蒸溜所
「白州蒸溜所」

ウイスキーづくりの大部分の時間を占める、原酒を樽に詰めての熟成。故に熟成させる環境が、重要です。白州蒸溜所は、世界的にも珍しい森の中にある蒸溜所。広い敷地内には数十万の樽が眠っています。

※写真は、白州蒸溜所のラック式の貯蔵庫。10~12段のラックに樽を貯蔵

広大な森林の中でゆっくりと熟成 豊かな自然環境に囲まれた蒸溜所

樽の貯蔵庫に入ると、空気はひんやり。外の気温と比べて数℃は低く感じられるほどです。そして、ウイスキーの香りも充満しているのがはっきりとわかります。「豊かな自然と日本の四季に育まれて、ウイスキーは熟成していくんですよ」、と白州蒸溜所の品質担当マネージャー・佐野博さんが話してくれました。

ここ、サントリーの白州蒸溜所は南アルプス甲斐駒ケ岳のふもと、標高700mの高地にあります。気温が夏は30℃くらいまで上がり、冬は氷点下にもなる環境ですが、貯蔵庫の中はちょっと事情が違うよう。「中はだいたい季節が2カ月ぐらい遅れて来るイメージです。そして年間を通して温度も一定して低い傾向にあります。周りの森林が影響していると考えられますね」(佐野さん)。

数年から長いものでは20年以上など、樽の中で熟成を経て世に送り出されるウイスキーにとって、熟成期間中の周囲の環境はとても重要です。そして、貯蔵庫は基本的に空調設備などがなく、温度や湿度は自然の環境のまま。白州のように、敷地内に広大な森林を備えた蒸溜所は、ウイスキーの本場・スコットランドでもなかなか見られず、世界的にも稀なのだそう。「温度の低い環境では熟成がゆっくり進みます。白州では、バレルとホッグスヘッドという、逆に熟成が速く進む小さめのサイズの樽のみを使用しているのもポイントです」(佐野さん)。

熟成中、ウイスキーの樽は呼吸をし、樽の中の水分やアルコールを蒸散させる一方で、外気も取り込みます。周りの森林の樹木から発散される成分が貯蔵庫内、そして樽の中にも入り込み、ウイスキーの風味に影響を与える可能性も。「弊社のブレンダーは『白州』をテイスティングした際のコメントで、“森の若葉のようにみずみずしくフレッシュな香り”と表現しています。はっきりと解明されていませんが、そのあたりが由来しているのかもしれませんね」(佐野さん)。熟成という、いまだに未知の部分が多い工程を経て完成に近付くのがウイスキー。奥深い香りや味とともに、ロマンも詰まっていると思いませんか?

貯蔵庫の見学コースにある「天使の分け前」を説明してくれる展示用の樽。

ウイスキー畑一筋の佐野博さん。白州蒸溜所開設の前年に入社。建設にも携わったそう。

1973年、サントリーの二代目社長、佐治敬三氏が開設した白州蒸溜所は、1923年開設の山崎蒸溜所とは異なるタイプのウイスキー原酒をつくるために誕生。南アルプスの山々に磨かれた天然の軟水を仕込水に使い、保温性が高い木桶発酵槽にこだわる。熟成に主に使用するホッグスヘッド樽は近くの自社工場で製樽しているのも特徴。

白州蒸溜所

「白州蒸溜所」

山梨県北杜市白州町鳥原2913-1
TEL:0551・35・2211
営業時間9:30~16:30( 最終入場16:00)

蒸溜所見学は電話、もしくはHPより要予約
http://suntory.jp/HAKUSHU_D/

Photo 奥山智明 Text 佐藤太志

※こちらの記事は2017年6月20日発行『メトロミニッツ』No.176に掲載された情報です。

更新: 2017年6月20日

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