WHISKY DAISKY ! #3

国際的に評価される1本を生み出す
「富士御殿場蒸溜所」

Text: 佐藤太志
Photo: 奥山智明

モルトウイスキーと並び、ブレンデッドウイスキーのもうひとつの柱になるのがグレーンウイスキー。その両方を40年以上前から1カ所で製造。世界的に見ても希少な蒸溜所であり、国際的に評価される1本を生み出しています。

※写真は熟成を見守る熟成担当の前沢栄一さん

独自のスタイルでつくり続けてきた 個性あふれるグレーン原酒を駆使

今年、世界的なウイスキーのコンテストでマスターブレンダーが最優秀賞に輝いた、キリンディスティラリー富士御殿場蒸溜所。その評価の鍵になったのがグレーンウイスキーです。

トウモロコシを主原料に連続式蒸留器で蒸留するグレーンウイスキーは、ライトでクリアな味のものが多く、スコッチなどのブレンデッドウイスキーでは、骨太な味のモルトウイスキーの「割り材」として使われるのが一般的。つまり、主に脇役だった歴史があります。ところが富士御殿場蒸溜所は創業の1973年より風味豊かなグレーンを製造。「よくあるライトタイプだけではなく、ミディアム、ヘビーという計3種をつくり続けてきました。3タイプの個性あるグレーン原酒をモルトとのブレンドに使っています」と熟成チームリーダーの前沢栄一さんは言います。

その蒸留器を見せてもらうと、複雑な機構にちょっと驚き。まず、ライトタイプは多塔連続式蒸溜器の「マルチカラム」を使用。ミディアムタイプはカナディアンウイスキーで使われる単式蒸留器の「ケトル」を、ヘビータイプはバーボンの製造に使用されるのと同じ「ダブラー蒸留器」を使用。

実は同蒸溜所は、キリンビールと、スコットランドやアメリカのバーボン、カナディアンウイスキーの技術をもつ会社による合弁会社としてスタート。「合弁のため、キリンは製造技術をすべて開示してもらえたという利点があります。スコッチに学んだ蒸留所が多い中、バーボン、カナディアンの技術も学べたことで、独自のグレーンをつくり出すことが出来ました。操業当初から蓄積したノウハウが今に生きています」(前沢さん)。

スコッチ由来の伝統的な製法でつくるモルトウイスキーはもちろん、バーボンの技術などを基に生み出した個性あふれるグレーンを、貯蔵庫でしっかり管理しながら熟成し、駆使してきた実績が世界に認められたというわけです。現在のウイスキーシーンではブレンデッドが人気復活の兆し。ブレンドの鍵を握るグレーンへの注目度が上昇し、富士御殿場蒸溜所の存在感もさらに高まりそう。好評を受け、新しいブレンド商品などが生まれるのではと今後も楽しみです。

左/ライトタイプのグレーン用の多塔連続式蒸留器「マルチカラム」 中/ミディアムタイプの単式蒸留器「ケトル」 右/ヘビータイプの「ダブラー蒸留器」

敷地からは富士山も見える。

富士のふもとにある蒸溜所で、年平均気温は13℃と冷涼。駿河湾から吹く湿った風が富士山にぶつかり、霧がよく発生する湿度の高い土地柄もウイスキーづくりに最適だそう。メインの商品は「富士山麓 樽熟原酒50°」。蒸溜所やオンラインストアでは「富士山麓 Signature Blend(シグニチャーブレンド)」なども限定販売。

富士御殿場蒸溜所

「富士御殿場蒸溜所」
静岡県御殿場市柴怒田970
TEL:0550・89・4909
営業時間:9:00~16:30

蒸溜所見学は電話、もしくはHPより予約可
http://www.kirin.co.jp/entertainment/factory/gotemba/

Photo 奥山智明 Text 佐藤太志

※こちらの記事は2017年6月20日発行『メトロミニッツ』No.176に掲載された情報です。

更新: 2017年6月20日

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