WHISKY DAISKY ! #1

どこまで知っていますか?
ウィスキーの基礎

Text: 佐藤太志
Photo: 佐藤学 奥山智明

ウイスキーは、木樽の中で眠ります。中には、20年や30年などの長き歳月を眠る場合も。もともとは、同じ蒸留酒の仲間であるジンやウォッカみたいに無色透明だったウイスキーも、木樽の中で過ごしている間に、熟成し、しだいに美しい琥珀色に変わっていきます。
また、味わいもまろやかになり、オークなど樽の木材の香りが染み広がっていきます。このように“木樽で熟成させる”というのはウイスキーの大きな特徴の1つです。

さて、夏目前にして、ビールはもちろんハイボールの美味しい季節になりました。でも、ビールに比べて、ウイスキーとは何か、よく知らない人も多いのではないでしょうか。ウイスキーはとても奥深き世界。ハイボールを入口に、ウイスキーを旅し始めたらやがてバーの扉も開きたくなるかもしれません。

ウイスキーとは?

「穀物を原料とした蒸留酒であり、木製の樽で貯蔵し熟成させた酒類」と一般的には定義されている。ただし、国によって法律上の定義に若干の違いがある。

[よく耳にする用語解説]

蒸留酒
穀物やフルーツなどを酵母により発酵させた醸造酒を蒸留して作られる酒。
ウイスキーの他、焼酎やウォッカなど。


5大ウイスキー
スコットランド、アイルランド、アメリカ、カナダ、日本で作られたウイスキーのこと。
それぞれに産地の個性がある。


スコッチ
発祥の地と言われるスコットランド産のウイスキーの呼称。
日本のウイスキーは当初スコッチを手本にしてつくられた。


バーボン
アメリカケンタッキー州でつくられるウイスキーの呼称。
とうもろこしや大麦、小麦、ライ麦が原料に使われる。


シングルモルト
単一蒸溜所のモルト原酒のみをブレンドしたウイスキー。
1つの樽からそのまま瓶詰したものはシングルカスクと呼ぶ。

ウィスキーの種類

ウイスキーは、原料と蒸留方法により、2種の原酒があり、それらをブレンドしたのが「ブレンデッドウイスキー」。
大麦麦芽(モルト)のみを原料とし、単式蒸溜器(ポットスチル)で蒸留されるのが「モルトウイスキー」。トウモロコシや小麦、ライ麦などを原料とし、タワー型の連続式蒸留器で作られるものが「グレーンウイスキー」だ。

ウィスキーの作り方

モルトウイスキーとグレーンウイスキーでは、製造工程にそこまで大きな違いは無い。ポイントはやはり、原料と蒸溜方法。

発酵

モルトウイスキーに用いるポットスチルは伝統的に銅製で、その形状によっても様々な香味の原酒ができる。ノーマルネック型は窯に戻る蒸気が少なく、重厚で複雑な香味を持つ原酒に。バルジ型は蒸気の流れが複雑になり、窯に戻る蒸気も多く、軽快で華やかな原酒になる。他にも加熱冷却方法や蒸留回数などにより、違いが生まれる。

蒸留

モルトウイスキーの場合、原料を糖化して得られた麦汁に酵母を入れ発酵させる。その際に麦汁や木桶発酵槽などに由来する乳酸菌が増殖。この乳酸菌と酵母のはたらきにより、ウイスキーの主要香味成分である脂肪酸や乳酸、エステル類など数百種類の香味成分が生成され、個々の蒸溜所の特徴を生み出す。

熟成

蒸溜して生まれた荒々しい味わいの無色透明の蒸溜液(ニューポット)は、樽の中で長年熟成することで、まろやかで琥珀色をしたウイスキーになる。低温で適度に多湿の自然環境が好ましく、熟成期間は数年〜数十年に及ぶ。ただ年数が長くなれば必ず香味が良くなるというわけではなく、樽の種類や原酒のタイプにより最適な年数は異る。

熟成の段階

初期段階
ニューポットに含まれる硫黄化合物などが揮発により減少。それに伴い刺激臭味も減少し、蒸留仕立ての不快な香りが薄くなると言われる。

第2段階
酸化還元反応が進行し、樽材の成分がアルコールによって溶出される。樽由来の成分の1つに、強い抗酸化作用があり、渋みや苦みを持つポリフェノールが
ある。

第3段階
水とアルコールの会合が進むと言われ、テクスチャーや風味に丸みが現れてくる。しかし、そのメカニズムや科学的な部分はまだ一部しか解明されていないと言う。

貯蔵中は年間2〜3%の原酒が樽の木目を通して自然に蒸発し、減少する。これを「天使の分け前」と呼ぶ。貯蔵方法にも、土の床の上に木のレールを敷き、その上に樽を並べる伝統的なダンネージ式や、鉄製の巨大な棚に並べるラック式などがある。
(写真は#2に掲載している秩父蒸溜所のダンネージ式の貯蔵庫)

Text 佐藤太志 Photo 佐藤学 奥山智明

※こちらの記事は2017年6月20日発行『メトロミニッツ』No.176に掲載された情報です。

更新: 2017年6月12日

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