気軽な上質が新しい
|東京ハイカジ中華[1]|
これぞ“ハイカジ”中華「私厨房 勇」

「カジュアルでフレンドリーな雰囲気をまといながらも、その実は良質でラグジュアリー」。それが「ハイカジ」こと「ハイクオリティー・カジュアル」。ファッションにおいても、食の分野においても、なんだか今そんな気分になっているのではないでしょうか?言うなればハレとケの中間あたり、飾らず、気取らず、無理しない、身の丈に合ったちょっとした贅沢の形。例えばファッション誌の表紙を見るとカチっとスーツを着こなした成熟な大人像ではなく、フランクで遊び心のある大人を提案していたり。テーブルクロスにぶ厚いワインリストがあるレストランもいいけど、木目むき出しのテーブルにボトルに白ペンで値段が書かれているビストロに行きたくなる…という具合に。それは今回みなさんにご提案したい東京の中華料理事情についても同じ。街場の中華料理でもない、高級中華料理店でもない、その間にある”ちょうどいい”中華料理店が増えているのです。こちら白金の「私厨房勇」みたいな。今回はそんな東京の中華事情をハイカジという文脈を通じてご紹介したいと思います!

これぞハイカジ中華の真骨頂!「勇」のスタイルから見るイマドキの中華料理店とは?

見事な炎を上げて空芯菜を炒める「爆発炒め」が隠れた名物の『私厨房 勇』。「空芯菜の爆発炒めは、火が出る直前まで油を熱して一瞬で仕上げます。危ないんで、滅多にお出しできないですけどね(笑)」。2014年5月にオープンしたこちらは、まさにハイカジの代表格とも言える最注目なお店なのです。店主であるところの、現在 歳の原シェフは、柏の『文菜華』オーナーシェフである渡辺展久氏に師事。修業後に松戸で『中国麺飯勇』を構え、人気店へと押し上げた後、満を持して東京進出を果たした実力者。「松戸にいた頃、休みの度に東京の名店を食べ歩いていました。白金はシェフの個性を楽しみに来るお客さんが多い気がしたんですよね。大好きなフレンチレストラン『オーギャマンド トキオ』の影響もあるんですけど、1人でお店をやるなら個性が求められる場所で勝負をしたかったんです」

〆の一品で人気のサンラータン。ラー油は3種類の油と山椒を使った自家製。ピリリと辛いが、食後の爽快感はクセになります。

念願の東京。店作りへのこだわりも相当なものです。目指したのは「店主の個性を感じる、世界に一つだけの中華料理店」。オープンキッチンでカウンターは8席。イメージは香港にある“私房菜”という食文化。「有名シェフが引退後にゲストを招いて料理を振る舞うプライベートダイニングを“私房菜”と言うのですが、そんな雰囲気を再現したかった」と語ります。メニューは8品で6,000円のコースのみ。時を過ぎるとアラカルトを注文できたりと、フレキシブル。原シェフが得意とする広東料理をベースにした創意に溢れたメニューが並びます。

コース内の前菜4種盛り。黒ごまバンバンジー、ミニトマトの甘酢漬け、くるみの飴炊き、スモークサーモンと香菜のサラダ。

「日替わりでも、月替わりでもなく、“人替わり”」と、予約段階で好きな食材や当日のお酒の嗜み具合を綿密に聞き、その人だけのコースを組み立てます。なので、カウンターにいる8人が全員違う料理を食べている、なんてことも日常茶飯事。「赤ワインだから、〆はこってりめにしましょうか?」という具合に、咄嗟の判断でメニューが変わっていくのです。

営業中、ここはまさに原劇場。中華鍋をふるい、素早く調味料を足す。でき上がった料理は、次々とカウンターの空皿に盛り付けられていきます。当然、ゲストの目線は厨房内の原シェフに。「厨房はステージだと思っています。常に見られている意識を忘れず、振る舞いひとつひとつに気を配っています」。ムダのない洗練された動作は、思わず見とれてしまうほど。この臨場感は、他では体感できそうもありません。
お酒はワインに、紹興酒にと幅広く。ソムリエが選ぶワインは料理に寄り添うようなクリアで透明感のある自然派が中心。もちろん、ペアリングも提案してくれます。店主、店のスタイル、料理に接客と、とにかくハイカジな要素が満載。背伸びせず、自然体。ゲストが店に合わせるのでなく、店がゲストに合わせてくれる。そんな柔軟さも「ハイカジ」の要素なのかも、と得心するのです。

左は火柱をあげて完成させる空芯菜の爆発炒め。味付けはニンニクと自家製のハムユイ醤。一瞬で仕上げるため、油っぽさはなく、あっさりとした味。右はコース内のメイン一例。夏野菜と和牛のバラ肉のスパイス煮込み。季節感の演出も忘れません。

“ハイカジ”な中華のお店とは?3つのポイント

1. 凄腕なシェフが繰り広げる縦横無尽な新中華
例えば、有名店で何年も修業をしたり、はては料理長として腕を振るっていたり。そんなただ者ではない経歴を持つシェフが、あえて小規模なお店で勝負。それだからこそできる挑戦的でフレキシビルな中華料理を提供してくれます。
2. シェフやスタッフがフレンドリーながらホスピタリティ抜群
席数はほどほどに、目の届く範囲で、お客様にサービスを!をモットーにするお店が多い。メニューについてちょっとしたワガママを聞いてくれたり、普段はコース主体でも夜遅くなるとアラカルトでも対応してくれたり、使い勝手が良くて心地良いのです。
3. ここ中華料理店!?と思ってしまうお店の設え
いわゆる回転板つきのテーブルで、龍の絵がドーン!というようないかにも中華な内装ではなく、モダンで、シックで、フレンチのレストランか?と見まごうようなシャレた雰囲気。接待にもデートにもうってつけです!

Photo:磯部昭子 Text:船山壮太(verb)

※こちらの記事は2014年7月20日発行『メトロミニッツ』No.141に掲載された情報です。

私厨房 勇シチュウボウ ユン

住所:
東京都港区白金6・5・5
モリハウス1F
TEL:
03-5422-9773
営業時間:
18:00~23:00LO
定休日:
月曜日
URL:
http://yung-shirokane.com/

更新: 2016年9月29日

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