今夜も“月”が楽しみになる
PEACE FULL MOON(ピースフルムーン)[6]

丼の中に眺める月もある!

温かい蕎麦に落とした生卵を月に見立てた「月見そば」。実は「食べる風景画」であることをご存知ですか?しかも、その「描き方」には一定のルールが存在しているそう。ここでは、月見そばの鑑賞法をひもといていきます。

今夜も“月”が楽しみになる「PEACE FULL MOON」

「peaceFullmoon」とは?
2011年9月から始まった活動。“満月の日” を地球や人々にとって特別な日と捉え、下の3つの約束を掲げています。満月の日には空を見上げ、地球の営みに感謝し、争わず、分かち合うこと。そして、大切な人たちと心豊かな時間を過ごすことをご提案。そんなふうにpeaceFullmoonという言葉に、毎月、満月の日は世界中の人々のもとに平和な夜が訪れてほしいというメッセージを込めています。

peaceFullmoon“3つの約束”
一、 満月の日は、大切な人と心豊かに過ごすこと。
一、 満月の日は、怒らず、争わず、許しあうこと。
一、 満月の日は、万物の営みに感謝をすること。

遊び心と美意識が生んだ、 月夜の風景を召し上がれ。

月見そばとは、単純にそばの上に卵を落としたもの。ついついそんな印象を抱きがちですが、実は具材を駆使して月夜の晩の夜空を描く「食べる風景画」だったという事実をご存知ですか?

卵黄が満月を表しているのは、きっと想像がつくはずです。ところが、白身は満月を見え隠れさせる雲を、その下に敷かれた海苔はそれら主役を引き立てる夜空を表し、かまぼこを山に、三つ葉をすすきに見立てるという具合にすべての具材に役割があったのです。作り手による具材のセレクト、使う分量や配置によって、十人十色の風景が出来上がっていきます。

作り方はいたってシンプル。基本はそばを器に盛り、海苔と卵をのせ、つゆをかけるというもの。最大の腕の見せ場は「熱々に温めたつゆを卵の黄身が割れないように注ぎ、白身に絶妙な加熱を行うこと」と、新橋『能登治』店主の七尾信昭さん。その塩梅次第で、雲に見え隠れする満月のじれったさをどう演出するかが決まってきます。七尾さんの月見そばは、雲が優しく満月を覆い、一見すると無造作に散らされた三つ葉が、風に吹かれるすすきのようで、涼しげな月夜の風景が見事に再現されています。

【店主・七尾 信昭さんに聞くー月見そばの作り方ー】

1 茹でた蕎麦を どんぶりに盛る。

冷水でしめた蕎麦をさっと湯に通し、器に盛ります。(温めたつゆを一緒に入れるお店も)

2 盛った蕎麦の上に 海苔で夜空を描く。

蕎麦の上に、風景画の土台となる海苔を置き夜空を描きます。月が浮かぶ舞台なので、海苔は大きめに切ります。

3 海苔の夜空の中心に、 卵を落として月を描く。

海苔の上に卵を落としたら、丼を手前に傾けて卵の位置を調整します。夜空の真ん中に月を描くのがポイントです。

4 つゆは素早く&慎重に。 白身が雲へと変化します。

白身の内側から外側に向かって熱したつゆをまわしかけます。つゆをかけた瞬間、亀裂が入るように白く色付きます。

5 白身が色付いたら、具をトッピング。

最後にかまぼこと三つ葉をのせたら完成。丼の中に、幻想的な満月の夜空が立ち上がる瞬間です!

芝新橋 能登治 [新橋]

出汁ともりそばのつゆを1 対1で合わせたというつゆは、甘く濃いめの仕上がり。

のとじ/ 03・3591・3584
東京都港区新橋3・7・5
11:00 ? 20:00(土・祝?15:00)日定休・祝不定休
http://shinbashi.notoji.jp

2|しながわ翁 [北品川]

丼いっぱいの夜空に映える、男っぷり満点の雲と満月。

丼の端から端までを覆う広大な夜空に、うっすらと雲がかかった満月が映える1杯。具は卵と海苔だけというシンプルな風景でありながら、四方にたなびいた力強い雲の存在で、むしろダイナミックな月空が立ち上がります。甘みのないキリッとした味のつゆと、芳しい海苔の香りで、食欲までくすぐってくれる完成度はさすが!

しながわおきな/03・3471・0967
東京都品川区北品川1・8・14
11:00?14:30LO(土9:00?)、17:30?20:00LO(水木金のみ)日・第2月定休・祝不定休
http://www009.upp.so-net.ne.jp/sinagawa-okina/

3|東嶋屋 [人形町]

月を覆う滑らかな雲が、雅な月空を演出する。

卵白全体に熱を加えることで生まれた雲が、月全体を均等に覆っているさまは見事のひと言。確かに派手に光り輝く満月ではないものの、緑のすすきの上で控えめながらも高貴な満月に。実に雅な風景です。つゆは「卵をつぶして食べた時にちょうど良くなるように」と、若干濃く作られた月見そば仕様だとか。

とうしまや/03・3666・6964
東京都中央区日本橋人形町2・4・9
11:30?16:00、18:00?21:30(土・祝?16:00) 日定休

4|神田まつや [神田]

雲を押しやって顔を出す、輝く満月の主役度が絶品。

雲間から満月が煌々と輝きながら顔を出した瞬間を、見事に捉えた1杯。丼の半分以上を占めるほど大きな雲の隙間から、ちらりとのぞいた夜空も見どころです。木々の緑を表すほうれん草と、山を象徴するかまぼこはどちらも大ぶりで、存在感溢れる満月とのサイズ感もバランス良し。壮大なパノラマを眺めているかのようです。

かんだまつや/03・3251・1556
東京都千代田区神田須田町1・13
11:00?20:00(土・祝?19:00)日定休
http://www.kanda-matsuya.jp

5|松翁 [神保町]

風に煽られ、たなびく雲。箸を入れると輝く満月が。

雲が印象的な1杯。濃淡が立体的で奥行きを感じさせる雲が、風に流れていくその様子は臨場感満点です。松を表す絹さやとほうれん草の緑が映え、右手の椎茸が山の地面を想わせます。丼の底が透けて見えるほど透明なつゆは、鰹節と白醤油をベースに調製。口に含んだ瞬間に、優しい香りと味わいが広がります。

まつおう/03・3291・3529
東京都千代田区猿楽町2・1・7
11:30?15:30、17:00?20:00(土11:30?16:00)日・祝定休

Photo 加藤純平、鈴木愛子、岩本良介 Text 梶山ひろみ 

※こちらの記事は2013年5月20日発行『メトロミニッツ』No.127に掲載された情報です。

更新: 2017年6月1日

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