心に響く「時代」や「暮らし」
|100年後まで残したい料理本[16]|

[温泉旅と料理本]
今年の秋は、おいしい旅を温泉にこもって「料理本」を読もう。

ここまでご覧いただきました、数々の「料理本」。その中に描かれている「料理」には、時代、国柄、そして誰かのライフスタイルや人生、嗜好や哲学など、何らかの背景を映し出していることもありました。「料理」は誰の暮らしの中でも欠かせないものであり、「料理本」は豊かな暮らしのヒントを教えてくれるもの。というわけで、特集の最後にご提案。この秋は、じっくりと味わってみたい「料理本」を持って温泉へ行ってみませんか?

『有田川』とともに行く 日光温泉郷 川治温泉 「湯けむりの里 柏屋」

『有田川』

有吉佐和子・著 講談社文芸文庫 2,052円

没後30年で、2014年読むべき作家と注目されている有吉佐和子の紀州3部作の1つ。日々の営みとしての食事シーンが随所に描かれている

紅葉の季節に行きたい、心つくしの絶景宿

『有田川』は川の氾濫に人生を翻弄されながらも、蜜柑作りに生きる喜びを見出した千代の物語。たくましく生きる姿は爽快で勇気をもらえます。さて、川の音に耳を傾けながら読書し、自分を見つめ直してみたい人におすすめの宿が「湯けむりの里 柏屋」です。ここ川治温泉は、江戸時代の享保年間、鬼怒川の上流である男鹿川が氾濫した際に発見された所だと言われています。鬼怒川と男鹿川の間にある峡谷に美しい自然が広がる温泉地で、中でも「柏屋」が建つのはちょうど2つの川の合流地点。この一帯は紅葉の名所としても有名で、秋が深まれば、全室が川に面している客室からも、源泉かけ流しの露天風呂からも、秋色に染まった風景が楽しめます(夜には庭園のライトアップも)。また、鬼怒川を間近に臨む大露天風呂からは、すぐ近くを走るクラシカルな野岩鉄道が渓谷の鉄橋を走る姿を眺められ、他ではちょっと味わえない情緒に包まれます。そして、何より心温まるおもてなしも◎

[柏屋の読書スポット]展望台付足湯

四季の森「展望台付足湯」は眼下に鬼怒川を臨み、秋には紅葉の中で、開放感いっぱいに足湯が楽しめる。読書しながらゆっくりと、どうぞ/利用可能時間 8:00~21:00

川治温泉の特徴は豊富な湯量で「丁度よく、あまり熱くなく、長湯ができ、それに柔らかい感じがする」。写真は、鬼怒川と男鹿川が合流する絶景の大露天風呂。他に、屋根付き露天風呂、露天風呂付客室などもある/基本料金:1泊2食付15,000円~/IN15:00、OUT10:00/ 0288・78・0002 栃木県日光市川治温泉高原62 送迎バスあり(野岩鉄道・会津鬼怒川線川治湯元駅より約5分)
http://www.kashiwaya-kawaji.jp/

【他にも温泉旅におすすめの料理本】

「旨いものはうまい」
吉田健一・著
角川春樹事務所 グルメ文庫 734円

昭和を代表する食いしん坊・英文学者の著者による旨いものを求める旅。「とびっきり旨い料理と旨い酒がここにある」と国内外の旅を経て、こだわりの末に見つけた食物の美、飲み方・食べ方、酒と肴について

「アンソロジーお弁当。」
PARCO出版・刊 1,728円

旅の途中、駅弁とも味わいたいお弁当の本。お弁当エッセイ41篇を集めた1冊で、著者は武田百合子、向田邦子、吉村昭など様々。「カレーライス」に続く、アンソロジーシリーズの2巻目(現在4巻まで刊行)

「長尾智子の料理1,2,3」
長尾智子・著
暮しの手帖社・刊 1,512円

料理家によるエッセイであり、料理生活のヒント集。全2巻、「料理のことを考えながら、気ままに旅をする。そんな旅の途中に、ひと休みしながらおしゃべりしている気分で書きました」という(続編の帯にて)

Photo/Textメトロミニッツ 編集部
※こちらの記事は2014年9月20日発行『メトロミニッツ』No.143に掲載された情報です。

更新: 2017年6月21日

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