|尊敬できる鮨[18]|

尊敬できる鮨の名店
【新橋 鶴八 分店】新橋

江戸前鮨の歴史は、師匠から弟子へと技と伝統が受け継がれ、紡がれてきました。そしてそれは平成の世となった現在も続いており、また新しい歴史が作られています。ここではそんな現在の鮨を生み出し続ける職人のみなさんをご紹介します。

昔ながらの鮨屋の系譜がここに鶴八の魂を受け継ぐ分店

昨年9月に開店したばかりの「鶴八分店」。その立地は、実力派の職人を多く輩出してきた本店「新橋鶴八」(「神田鶴八」の暖簾分け)と同じニュー新橋ビルで、2軒隣という"鮨ダネの乾かない距離"です。親方は、高校を卒業してから18年もの間、本店に務めた五十嵐寛和さん。「当初は本店を移動させる予定でした。でも、親方が現役でいられるのもそんなに長くはないから、1人でやってみろ、と」。本店とは、仕入れた魚を分けあったり、弟弟子に手伝いに来てもらうこともあったりと、とても良い距離感だそう。「でも、なんでも自分でやらないと気が済まない性分で。本当は親方には向いていないと思う」と控えめな五十嵐さん。親方のやり方や鶴八の味を変えないと決めているのだそう。マグロを贅沢に使った名物の鉄火巻や、アジは切る前にさっと酢にくぐらせたり、煮汁やツメの味付けなどなど、本店の石丸親方から受け継がれた丁寧な仕事が光ります。「本店では仕込みも任されていたので、やってきた仕事を変わらず続けるつもりです。神田から続く鶴八のものだと分かってもらえるはず」。昔ながらの伝統を守ることは、大変なことではありますが、1つのお店に長くいたことで、感じるのはお客様の大切さ。「馴染みのお客様は旬を理解している。それに応えられるよう勉強して、仕入れにも力を入れて、親方はもちろんですが、お客様に育ててもらった部分も大きい」。そんな大切なお客様に好きな魚を、好きなだけ食べられるように、五十嵐さんの背後には鮨ダネを記した木札が。これもまたコースやおまかせのない、鶴八スタイルなのでした。

|五十嵐寛和さん|

千葉県の出身で、地元の高校を卒業してすぐ修業に入った。「鶴八」を知ったのは、母親がたまたま「神田鶴八」師岡幸夫親方の著書『神田鶴八鮨ばなし』読んでいたからだそう。18年の間に覚えた本店「鶴八」の仕事を遺憾なく発揮する。

目にも鮮やかな鉄火巻きも本店と変わらず。赤身と中トロ、トロが巻き込まれ、マグロのおいしさがこの中に凝縮されています

左から、たっぷりのうにが載った軍艦、丁寧なマグロのヅケ、あなご、ひらめのこぶ締め、そして、こはだが人気の鮨ダネです。「鶴八」の仕事は、これぞ江戸前とも言えるもはや伝統芸。鮨を知る人からすれば馴染み深く、初めての人にとっては江戸前鮨とは何たるかを知る機会になるはず

しんばしつるはち ぶんてん

しんばしつるはち ぶんてん

住所:
東京都港区新橋2・16・1・204
TEL:
03・6206・6886
営業時間:
11:30~13:00、17:00~22:00 日定休

Photo:加藤純平
Text:effec(佐藤潮、いずみかな、山田彩、荒井しんご)

※こちらの記事は2015年2月20日発行『メトロミニッツ』No.148に掲載された情報です。

更新: 2017年2月18日

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