|尊敬できる鮨[17]|

尊敬できる鮨の名店
【木挽町とも樹】東銀座

江戸前鮨の歴史は、師匠から弟子へと技と伝統が受け継がれ、紡がれてきました。そしてそれは平成の世となった現在も続いており、また新しい歴史が作られています。ここではそんな現在の鮨を生み出し続ける職人のみなさんをご紹介します。

美味しさの秘密は人との出会い日本各地を旅する鮨界の冒険者

勝どきの名店「鮨さゝ木」にて小林智樹さんが学んだ江戸前の技術。「木挽町とも樹」の親方として独立した今も、その丁寧な仕事ぶりに伝統の心が宿っています。真骨頂とも言えるのがアナゴの握り。煮汁で火を通す約20分の間に、味見すること6回。その度に濃口、薄口醤油、ザラメなどを使って、味を整えていきます。煮上がった後も1匹ごとにまた味見。納得のいかないものは、お店には出しません。そんな小林さんのライフワークとも言えるのが、旅をしながら仕入れルートを確立すること。「その日、最高のものを築地で仕入れると、結局は他の高級店と似たような鮨ダネになるんです。それだけでは個性がないと思い、産地へ出向くことにしました」。若い頃よく訪れたのが、地元の漁業関係者が集まる飲食店。そこで仲良くなった相手の紹介で、また新しい出会いがあり、その繰り返しで面白い魚も見つかることもあります。そういった関係が日本各地で築けたことにより、鮨ダネの仕入先も広がりました。唐津、気仙沼、明石、萩など、各地からダイレクトに届く旬の幸。築地を経由するよりも、一足先に仕入れることができるため、ケンサキイカやオニエビといった足の早い鮨ダネも美味しくいただけるのだとか。そうして仕入れた魚介類を、宝物のように愛でる小林さん。それぞれに出逢いのストーリーがあり、その土産話が鮨ダネの魅力を一層引き立てます。次の旅の結果はどのような味につながるのか、今後も目が離せません。

|小林智樹さん|

学生時代から趣味は自転車&登山&旅と根っからのアウトドア派。現在も連休があると必ず遠出をして新しい素材、仕入れ先の情報を探し求めている。従来のカタチにとらわれず、鮨屋ならではの小鉢類も開発中。

全国から選りすぐり!とも樹、ある日の仕入れ

北海道野付半島のホタテ、アオヤギ、千葉県銚子産のサバ。どれも自慢の品々ですが、やはり注目は20㎏近い大物を丸ごと仕入れる佐賀県唐津産のクエ。この日はぶつ切りの状態で熟成中。10㎏を超えることで脂の乗りが増すこの魚。ここまでの大型は産直でなければ仕入れることは難しい。酒蒸しにして日本酒といただくのがおすすめ。そしてピンク色をしたカニが通称モモちゃん。鳥取県で水揚げされる全体の10~15%程度しか取れない“当たり”とも言えるオスのズワイガニなのです

看板メニューのアナゴ、鳥取産直のノドグロ、そしてほぐした身の上にたっぷりとカニ味噌が載るモモちゃんの握り。どれも旬の素材を引き出す仕事が光る

三陸産のアワビは築地で仕入れたもの。現場を知るからこそ産直以外の鮨ダネの目利きも鋭い

虎ふぐのしらこ。旨みたっぷりで日本酒が恋しくなります

こびきちょう ともき

こびきちょう ともき

住所:
東京都中央区銀座4・12・2
TEL:
03・5550・3401
営業時間:
17:00 ~ 23:00 日・祝・第3月定休

Photo:加藤純平
Text:effec(佐藤潮、いずみかな、山田彩、荒井しんご)

※こちらの記事は2015年2月20日発行『メトロミニッツ』No.148に掲載された情報です。

更新: 2017年2月12日

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