|地中海料理という、暮らし方。[17]|

漁師料理に国境はない!
”ブイヤベース”は地中海の共通言語です

フランス料理として、有名なブイヤベースですが、この度、イタリア、スぺイン、ポルトガルに、ブイヤベースとそっくりな料理を発見!どうやら、元々漁師料理であったという共通点も。これは地中海の共通言語か!?ということで、さっそく調べてみました。

ブイヤベースについてお話しを伺いました

|東 敬司シェフ|
北海道出身。内幸町「キャッスル」で荒田勇作氏に師事した後、スイスのホテルを経て渡仏。「トロワグロ」など星付き店中心に十数軒で4年間研鑽を積み、帰国。2004年「シェ・アズマ」、09年「ブション・ドールリヨンの居酒屋」を出店。現在は、拠点を14年オープンの「ブション・ブロヴァンサル」に移し、活躍の場を広げる。『料理の鉄人』仔羊対決でも勝利を収めた、フランス料理界の重鎮

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ブイヤベースってどんな料理?ルーツから定義までお勉強!

世界三大スープの一つとも言われるブイヤベースが誕生したのは、フランスのプロヴァンス地方にある港町・マルセイユ。地中海に面した国内最大の商港です。ここで水揚げを終えた漁師たちが売り物にならない小魚や安い魚を鍋に放り込んで煮たスープ料理が起源で、ブイヤベースという名前は、煮込む(bouill)+火を止める(abaisse)の合成語と言われています。気取らない漁師料理であったブイヤベースは、オリーブオイル、サフラン、ニンニク、ハーブ類、トマトなどを加えたり、具材も様々な魚介を入れる工夫が重ねられ、プロヴァンス地方の名物として世界に知られるようになりました。ちなみに発祥地のマルセイユでは、伝統の味を守るために「ブイヤベース憲章」という公認レシピを定めており、「具材の魚は地中海の岩礁に生息するものに限定し、エビ類・貝類・タコ・イカは入れない」「具材の魚は最低でも??種類以上」「だしを取る小魚は決められた魚を使う」「短時間で仕上げる」とされています。とは言え、フランスでもブイヤベースは各店の料理人が独自のレシピで提供しており、千差万別。海老や貝類を使う店も多く、高級素材ではラングースト(伊勢海老)を入れたり、イワシなど魚??種類で作るもの、野菜だけのものまで、実に多彩なブイヤベースがあります。

フランス料理|中目黒 【ブション・プロヴァンサル】

ブション・プロヴァンサル特製!! ブイヤベース1人前1,950円(2人前~)。 伊勢海老にグレードアップしたブイヤベース・ロワイヤル1人前3,500円 (2人前~)もある

2014年「シェ・アズマ」が統合し、東シェフの新拠点となった南フランス料理とワインの店。プロヴァンス地方の郷土料理が中心で、ブイヤベースは言わずと知れた看板メニュー。重層的な旨みが秀逸な黄金色のスープは、単品でも提供する完成された味わいで、ここに伊勢より直送の上質な魚介が5種類入ります。バターライスとパルミジャーノチーズで作る。〆のリゾットも最高!

南仏料理のプロ・東シェフに聞く!フランスのブイヤベースとは?

4年間、南仏の店を中心に腕を磨いた東シェフに、現地のブイヤベースについて伺ってみました。「フランスでは鍋に水と具材、オリーブオイル、サフランを入れて簡単に作るのが基本で、日本の水炊きに近い感覚ですね。マルセイユでは大衆店から高級店まで、幅広い店で食べられます。スパイスは大抵サフランだけで、ローリエやセージ、タイムなどのハーブを使う人もいます。具材で必ずと言っていいほど入るのはアナゴ。日本より少し大きくて、味にコクが出るんですよ。魚はホウボウやカサゴ、ヒメジなどの白身魚で、伊勢海老やオマールが入ると殻からダシが出て高級な味になります。専門店では、丸ごと煮てスープから引き揚げた魚と、後でかけるために作ったスープが別々に出てきて、ギャルソンが目の前で魚をさばいてスープをかけて出すのが一般的です。3ツ星や2ツ星の店は、煮汁に使うスープ・ド・ポワソン(魚のスープ)に手をかけていますね」と東シェフ。「ブション・プロヴァンサル」のブイヤベースにも、5~6種類の白身魚でとるだしをベースに香味野菜やウイキョウなどを加えたスープ・ド・ポワソンを使用しており、フランスのリキュール・ペルノを使うのも味にコクを出すポイント。基本はシンプルながら、料理人の技巧で様々に進化する奥深い料理なのです。

ブション・プロヴァンサル
住所:東京都目黒区中目黒3・12・19 幸來路ビル2F
TEL:03・6452・4709
営業時間:11:45~14:00LO/17:30~24:00(22:00LO) 月定休・月1回日曜不定休
URL: http://www.chez-azuma.com

2軒目|イタリア料理【ペスケリアカーラ】三宿

目利きが厳選した上質な魚介を味わう
三宿交差点の角にあるシチリア料理の店。オーナーの北川さんは現地で修業を積んだ実力派シェフ。こちらの魚介は、魚河岸の仲買人を務める北川さんの父親から仕入れています。このズッパディペッシェ(1,980円)は、高級魚で知られるキンキをまるごと1尾使用。シチリア伝統の“ブロードディペッシェ”というトマトベースのソースと煮込めば、魚介の旨みが詰まった漁師料理の完成です。また、福岡県糸島の契約農家から直送される濃厚な味わいの野菜も魅力の一つ。

イタリア版ブイヤベース|Zuppa Di Pesce|(ズッパディぺッシェ)

南イタリアで漁師料理といえば、このズッパディペッシェが代表格。“ズッパ”はスープ、“ペッシェ”は魚を意味します。現地では主にカサゴや鯛など、煮込むと旨みの出る魚、そしてエビ、貝などを、シチリア伝統のソース“ブロードディペッシェ”とともに煮込みます。

ぺスケリアカーラ三宿
03・6453・4139
東京都世田谷区池尻3・30・10 三旺ビル 4F
11:45~14:00LO、18:00~翌1:00LO、 土・日・祝18:00~翌1:00LO、水定休
http://www.caramishuku.me/

3軒目|スペイン料理【ロス・レイエス・マーゴス】参宮橋

ソースに染み入るソースのこだわり
カタルーニャやバスク地方の郷土料理を中心とした50種類以上の本格メニューが揃う、1985年創業の老舗店。伝統の手法に則り、ソーセージからデザートまで全て自家製です。サルスエラ(1,868円)をはじめとするカタルーニャ料理に欠かせないソース、ピカーダ作りには、現地で仕入れた大理石製のすり鉢、モルテロを使用するこだわりぶり。機械には出せない不均一さが、豊かな風味を生み出します。築地で仕入れる魚介も、先代からの長い付き合いがあるからこそ、上質なものばかり。

スペイン版ブイヤベース|Zarzuela|サルスエラ

スペインの伝統的なオペラ音楽様式であるサルスエラが名前の由来。多彩な魚介の旨みに溢れたスープから、様々な登場人物が歌い交わす舞台の様子を連想するとは、さすが文化大国です。味の決め手は、アーモンドやニンニクなどをすりつぶしたソース、ピカーダ。

ロス・レイエス・マーゴス
03・3469・8231
東京都渋谷区代々木5・55・7
17:30~23:00、火定休
http://www.los-reyes-magos.net/

ポルトガル料理【ヴィラノヴァ】西麻布

地中海の玄関口は魚介の王国
西麻布にある本格的なポルトガルの郷土料理が味わえる店。地中海の入り口にあるポルトガルは魚介が豊富で、こちらでもイワシやアジ、タコ、タラなどを使ったメニューが、前菜からメインまで隈なく並んでいます。中でもアルガルヴェ地方の名物料理であるカタプラーナ(3~4人前4,500円)は、アサリ、タラ、ワタリガニなど6種の魚介をふんだんに使用した人気の一品。ポルトガルワインは常時60種類ほど揃え、オリーブオイルやオイルサーディンも現地から仕入れているとのこと。

ポルトガル版|ブイヤベース|Cataplana(カタプラーナ)

現地では魚介、肉を問わず鍋料理のことを総してカタプラーナと呼ぶそうです。この店ではにんにくをオリーブオイルで熱した鍋に、たっぷりの魚介とハーブ、スパイス、ホールトマトを入れて蓋を閉めるだけのシンプルな調理法を採用。蒸し焼きにして豪快に仕上げます。

ヴィラノヴァ
03・6427・7544
東京都港区西麻布2・24・17 1F
月~金11:30~14:00LO、18:00~ 22:00LO、土・日・祝17:00~21:30LO、 不定休

ション・フ゜ロウ゛ァンサル Photo 近藤信也 Text 松本典子
ヘ゜スケリアカーラ三宿 Photo 菊田香太郎 Text 荒井しんこ゛(effect)
ロス・レイエス・マーコ゛ス/ヴィラノヴァ Photo 内海裕之 Text 荒井しんこ゛(effect)

※こちらの記事は2015年5月20日発行『メトロミニッツ』No.151に掲載された情報です。

更新: 2017年2月1日

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