提供のタイミングから考えるおでんの役割

|東京モダンおでんキュイジーヌ[17]|
美味しくて、新しい!モダンおでんのお店
11「和ゆずか」渋谷/12「味福あさの」広尾/13「淡々菜」乃木坂

おでんの食べ方は人それぞれ。一日の間でも、おやつに、食事に。一食の間にもおかず、つまみ、ご飯に乗せて…、とバリエーション豊か。おでんの実態がなかなかつかめないのは、そんな汎用性によるものなのでは。ここでは各店で異なるおでんの立ち位置からおでんとは何者かをもう一度考えてみたいと思います。

おでんはおかず?つまみ?

古くからおでんは“つまみ”としてお酒と一緒に食べられてきました。江戸時代に相撲の番付表に見立てた、節約おかずの番付「日々徳用倹約料理角力取組」には、「こんにゃくおでん」「長芋おでん」の名前が見られるのですが、こちらは焼いて味噌をつけていただく田楽のおでん…。煮込みおでんがおかずとして台頭するのは戦後からですから、それほど歴史は深くないようです。家庭に登場してから、ウインナーを入れてみたり、ロールキャベツを入れてみたりと、種によって“おかず感”が演出されてきたわけですが、その甲斐あってから、「白米に合わない」という声も聞かれつつも、おかずとしての地位を確立しているのです。

まずは優しい出汁を飲み干して 身も心もホッと安らぐ

11:[和ゆずか]渋谷

懐石料理や精進料理の店などで修業してきた、店主の細田祥志さんが独立しオープン素材の持ち味を引き出した上品な京風おでんが人気。出汁は、鶏ガラと鯛のカマを合わせており、まるで優しい味わいのスープのよう。「おダシと一緒に種を味わってちょうど良いようにしています」と、細田さんが語るように、特にアンキモや白子はさっと火を通してダシでいただくのが美味。

また、鶏ガラを使っているので、ベーコンや和牛のほほ肉といった肉を使った種にもよく合うんです。もちろん、自家製の練り物も充実。具材の味が溶け込んだ出汁は、旨みは深いが濃過ぎることなく、冬の寒さで冷え切った体を温めてくれること請け合い。来店したら、まずはおでん。温まってから、次の料理を考えましょう。

冷えたからだを温めるため、おでんは最初に

種は15?20種類を用意。定番のダイコンやトマト、つぶ貝、自家製のがんもやはんぺんに加えて、ハマグリやクエなどの新鮮な魚介類もおでんに。日本酒のあてにうれしい。おでん盛り合わせ(2?3人前2,000円?)。

お通しとして提供される八寸。海・山・川・丘の食材を使った4つの品がならぶ。金目鯛コロッケ(850円)は、八丁味噌とさくら味噌を加えたデミグラスソースの深いコクが魅力の人気メニュー

SHOP INFO
わ ゆずか
03・6415・5783 

東京都渋谷区桜丘町22・22 
11:30?14:00 17:30?22:30
日定休・祝不定休

おばんざいの先?ご飯っと一緒? 深く考えずゆるくいきましょ

12:[味福あさの]広尾

カウンターにずらりと並ぶ、京風おばんざいの数約15種類。近所の主婦がテイクアウトに買って行くほどの人気メニューだそうだ。「でもこのお店のいちばんのウリはなんといってもおでん。おでんを食べて欲しくてこちらのお店を開いたようなもの」と語るのは、店主の浅野勝正さん。

では、おばんざいを数種類つまんで、おでんの盛り合わせで〆るのがこちらのお店の楽しみ方?「実は、『じゃこ飯』(950円)も、人気なんです」じゃあ、〆は「じゃこ飯」が多いかと思えば、こちらのおでんダシは日本料理のお椀のような透明なスープ。「『じゃこ飯』片手におでんをお椀代わりして頼む人もいますよ」とのこと。自分の好なタイミングで好きなように楽しめる、そんなおでんの懐深さを知るのでした。

おばんざいと名物じゃこご飯の中継ぎとして

鶏ガラと煮干し、アゴのダシから作られたスープはしみじみと優しいお味のおでん。
種によって、それぞれのダシの割合を変えているというこだわりで、その種は定番物と変わり種で約20種ほど 

とはいえ、座れば目の前に並ぶおばんざいが気になります。思わずあれもこれもとオーダー。南青山店でも人気の「じゃこ飯」もいい。

 

SHOP INFO
あじふくあさの
03・5422・7427
東京都渋谷区広尾5・18・2
11:30?14:30 17:30?23:30不定休
http://hiroo-asano.com/

煮物としてのおでんと羽釜ご飯とで〆る

13:[淡々菜]乃木坂

豪勢な前菜の後にいただきたい、こちらのおでんは、会席料理の煮物の一つとして一年を通しておでんを提供。おでんはシンプルな料理なため、旬の野菜そのものの味を十二分に味わえるためだとか。野菜種はその日の仕入れによって変わりますが、無農薬、有機のものを中心に揃え、ダイコンやイモ類などのスタンダードな素材以外にも、小松菜などの葉物野菜もおでんに。

香り高い希少なカツオ節と昆布からとった出汁には、鶏のつくねなどの肉類の種を一緒に入れることで、より味に深みが出ています。さて、このおでんと一緒にいただきたいのが、全国より厳選した3種類の米を羽釜でふっくら、つやつやに炊いたご飯。種をかみしめるとあふれる出汁の旨みがご飯の甘みと相まって、至福の時へといざなうでしょう。

この店自慢の〆の土鍋ごはんと一緒に

手前からおでんの盛り合わせ(2人前・2,800円)、羽釜ご飯(1,560円)、トマト(630円)。おでんは赤柚子胡椒や味噌と合わせていただく

旬の食材を積極的に取り入れた前菜(2人前)。「水菜とカニの和え物」や「深川ゴボウの煮物」など

 おでんの出汁で塩漬けした豚のスネ肉を2日間じっくりと煮込んだ、「アイスバイン(3,680円)。豚の旨みなどが溶け出した出汁は、豚骨スープのよう

SHOP INFO
たんたんさい
03・3478・6229 
東京都港区南青山1・15・18 リーラ乃木坂1F
11:30?14:30LO、17:30?22:00LO、土12:00?14:30LO、
17:30?22:00LO 日祝定休
http://www.tantansai.jp/

Photo 花村謙太郎(和ゆずか)、柳大輔(味福あさの)、吉永和志(淡々菜)


※こちらの記事は2015年12月20日発行『メトロミニッツ』No.146掲載された情報です。

更新: 2017年1月17日

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