未だ見ぬ、奥深い味と香りを求めて

|メキシコの風、吹く[18]|
第三章 メキシコの風が吹く店②
東京で最もメキシコに近い店「Salsita」

TEX-MEX、伝統的なメキシコ料理、そしてテキーラの風を追いかけてきましたが、まだまだ知らないことばかり。というわけで、本場の文化を伝えようと奮闘しているシェフのみなさんに各地の郷土料理や、名物料理をご紹介してもらいながら、メキシコのさらなる深淵へとご案内いたします。

広尾/Salsita

伝統料理の真髄を知る東京で最もメキシコに近い店

「もし、メキシコ人が来日してメキシコ料理を作ることになったら、メキシコらしい味をどう表現するのか? 考えるのはそればかりです」と言うのは、日本在住メキシコ人からも熱烈に支持されている「サルシータ」オーナーシェフ、森山光司さん。「メキシコらしさ」を思うとき、脳裏に浮かぶのは、修業時代にカリフォルニアやメキシコで出会ったメキシコの人々です。実は森山さん、渡米するまで、メキシコ料理を食べたことがなかったそう。「21歳で働いたカリフォルニアの和食店で、キッチンスタッフのほとんどがメキシコ人だったのがきっかけ。仕事後毎晩のように、彼らと飲みに行くうちに、メキシコ料理に興味がわきました。屋台の素朴なタコスも美味しくて」。そして、グルメの街として知られる、プエブラで食べたモレに驚きます。「美味しいモレはオーケストラのように調和が取れている」と感じた森山さんは、とうとうメキシコシティの大学でガストロノミーコースを学ぶまでに。

そこまで惹きつけられる、メキシコ料理の魅力とは一体? 「メキシコ料理は、古代オルメカ文明からマヤ・アステカ文明を経て、今も連綿と続く強固な土台があります。スペインの征服後、向こうから食材が流入しても、唐辛子、インゲンマメ、トウモロコシを軸に築いた独自性は、征服されず、むしろ新しい食材と融合して発展した。たくましさと柔軟さを合わせ持つメキシコ料理の奥深さを、伝えていけたらと思います」。

メキシコ料理をより深く知りたいなら

森山さん監修のメキシコ料理本が発売! メキシコで広く愛される家庭料理から地方に伝わる伝統料理まで網羅し、日本で再現可能な100レシピを厳選して掲載。『メキシコ料理大全』( 誠文堂新光社)

Salsitaの代表的なメキシコ伝統料理

鶏のピピアンヴェルデ
「ピピアン」は種を使ったソース、「ヴェルデ」は緑の意。まろやかなコクがあるきれいな緑のソースは、アメリカ大陸原産のかぼちゃの種をベースにグリーントマトと唐辛子を加えたもの。ソースは他に「ロホ(赤いトマトを使用)」や、「ブランコ(ゴマとアーモンド)」がありますが、現地ではヴェルデが最もメジャーな存在です。スペイン人が上陸する前から伝わると言われている、メキシコを代表する料理のひとつ。1,836円。

エンチラーダス
ソースがかかったタコスのような料理。鶏肉やチーズを包んだトルティーヤにたっぷりかかったソースは、グリーントマトの酸味、パラペーニョの辛み、アクセントに入れたコリアンダーが相まって、どこまでも爽やかな味わい!酸味と相性のよいカッテージチーズとサワークリームのトッピングも効いています。添え物の定番、豆のペースト「フリホーレス」は甘くなく、塩を入れたあんこの食感に似ています。1,944円。

モレ ポプラーノ
グルメの街である「プエブラの」という意味の「ポブラーノ」。鶏肉にかけられたこのモレのルーツは、修道院でのおもてなし料理だそう。最大の特徴はなんと言っても、仕上げに加えるチョコレート(糖分ゼロのカカオマス)。他にも、うまみの多いアンチョ、昆布のような味わいのワヒーヨ、アルボル、パスィージャの4つの唐辛子、フルーツなどが、どれも突出することなく調和。独特の深い風味がメキシコらしさです。2,106円。

サルシータ

TEL:03・3280・1145
住所:東京都港区南麻布4・5・65 広尾アーバンビルB1F
営業時間:11:45~14:15(13:45LO)、17:30~23:00(22:00LO) 月定休

Text:浅井直子
Photo:阿部ケンヤ

※こちらの記事は2015年6月20日発行『メトロミニッツ』No.152に掲載された情報です。

更新: 2017年1月21日

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